ここでは、住宅ローンの滞納や払えない場合の解決策についてご説明します。
住宅ローンを滞納するとどうなる？
その月に限ってうっかり支払いを忘れてしまい、金融機関から電話を受けてすぐに支払いを行えば大きな問題にはなりません。支払いが遅れた日数に応じて遅延損害金を請求される場合がありますが、信用情報への影響もないと考えて良いでしょう。
ただし、数カ月に渡って滞納してしまった場合は深刻です。電話での催促だけではなく文書での通知が行われ、指定期日まで滞納分を支払わなければ、保証人または保険会社などの第三者が、債務者に代わって住宅ローンを支払う手続きが進められます（代位弁済手続き）。
その後は、この第三者が債権者となり、債務者に対して金銭の支払いを請求したり、抵当権の担保権を実行したりする権利を得ることになります。代位弁済手続きは、第三者が住宅ローン残債を肩代わりする制度ではないため注意が必要です。
住宅ローンを滞納せざるを得ない場合の解決策
住宅ローンがどうしても支払えず、滞納せざるを得ない状況になってしまったら、まずは借入先の金融機関に相談をしましょう。やむを得ない理由で収入が激減し、住宅ローンを支払うことで生活を維持できない場合には、返済期間延長により月々の支払額を調整できる可能性があります。
金融機関との折り合いが付かず、そのまま滞納を続けてしまうと、給与や不動産物件の差し押さえ、さらにはマイホームを競売にかける手続きが進められてしまいます。
ただし、早い段階で債務者自らがマイホームを売却し（任意売却）住宅ローン返済に充当させるよう手続きを行えば、差し押さえは実行されずに済みます。
任意売却と競売の違いについて
競売とは、住宅ローンを滞納し続けた場合に、裁判所の権限によって強制的に差し押さえられた住宅を売却し、その売却代金を債務返済に充てる手続きのことを指します。
競売にかけられた住宅は、一般的な相場よりも安い価格（市場価格の5～7割程度）で売買されるため、滞納していた住宅ローンの返済や引っ越しにかかる費用を捻出することが困難となるでしょう。また、競売の場合、裁判所のウェブサイトにマイホームの外観や室内の様子を撮影した写真が公開されるため、自宅が競売にかけられたことが地域住民や職場に知られてしまう恐れがあります。
一方、任意売却では、債務者同意の元、ほぼ市場価格に近い金額でマイホームを売却できる可能性が高まり住宅ローン返済の見通しも立てやすくなります。債務者の収入状況によっては、残った住宅ローンを分割返済するなどの交渉が可能です。もちろん、債務者や売却物件の情報が外部に漏れる心配もありません。
いったん競売の手続きが進んでしまうと、債務者による任意売却の選択肢が失われてしまいます。 住宅ローンを滞納せざるを得なくなってしまったら、できるだけ早い段階で金融機関または専門機関に相談するようにしましょう。
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監修者
大沼 春香（おおぬま はるか）
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。
