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「不動産を遺すなら生前贈与で」は真実か?贈与税と相続税を比較

2015年の相続税改正に伴う増税により、生前贈与への関心が高まりつつあります。「不動産を遺(のこ)すなら生前贈与がよい」と耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、相続と生前贈与それぞれのメリットやデメリットを比較しつつ、果たして本当に生前贈与にメリットがあるのかご案内します。

目次

不動産の生前贈与と相続について

贈与税と相続税を比較するにあたって、まずは生前贈与と相続について概要やそれぞれのメリット、デメリットをご紹介します。

●生前贈与
生前贈与とは、贈与者(財産を贈与する人)の存命中に受贈者(財産を受ける人)へ無償で財産を譲ることです。非課税で贈与するには110万円(年間)という枠が設けられています。 贈与者の意思通りに財産を整理しつつ、非課税枠を利用して一定期間に亘り計画的に贈与し続けることで、相続税の負担を軽減させる効果が得られる可能性があります。

・メリット
贈与税が贈与契約成立時の財産評価額をベースに課税されるために、将来価値の上昇が見込める財産を贈与する場合、評価額が上昇した分だけ節税効果が期待できます。 また、65歳以上の親が20歳以上の子に贈与する場合、「相続時精算課税制度」の選択が可能となり、2,500万円までの基礎控除が受けられます。さらに同制度では贈与者の死亡後に発生する相続税の課税額からそれまで支払った贈与税分が控除されるメリットがあります。

・デメリット
デメリットとしては、贈与税の課税率が非常に高く、相続税ほどの節税効果が期待できない点が挙げられます。また、一度でも生前贈与を選択すると、それ以降は他の方法に変更できなくなります。相続税制度が有利に改正された場合に相対的に不利になる可能性があります。

●相続
相続とは、被相続人(亡くなった方)の財産等を法定相続人(財産を受ける方)に対して相続順位に従い分けることです。相続する財産には、不動産や株などの積極財産の他、借金などの負の財産も含まれますので注意が必要です。

・メリット
相続のメリットは、原則として3,000万円、さらに相続人1人あたり600万円までの基礎控除が受けられることです。一般的なマンションや一戸建て住宅の場合は、ほとんどが非課税となります。

・デメリット
相続税のデメリットは、相続財産が多く課税対象額が高くなる場合にあります。相続税の納付は被相続人の死後10カ月以内と定められているため、一度に多額の支出を強いられることになります。その負担は決して小さくないでしょう。

贈与と相続の効果

2015年1月の税制改正により、相続税が実質増税となりました。特に大きな変更点が基礎控除額の引き下げと最高税率の引き上げです。

これまで「5,000万円+1,000万円×相続人の数」だった基礎控除額が、「3,000万円+600万円×相続人の数」と大幅に引き下げられました。また、最高税率についても、これまでの50%から55%にアップし、法定相続分に応じた取得金額が6億円以上の場合には55%の新たな最高税率が適用されることになりました。

相続税の大改正を踏まえ、生前贈与への関心が一層高まりました。しかし、生前贈与は受贈者1人につき毎年110万円までしか非課税とならないため、課税評価額の比較的高い不動産の贈与には効果が小さいのが難点です。

相続時精算課税制度もまた、実際の相続発生時にはその時に贈与された財産が差し戻されて、相続財産として加算されることや1度この制度を使うと贈与された不動産などの財産は物納できなくなるというデメリットがあります。

従って、贈与と相続の節税効果は実際の状況に応じて異なるため、個々のケースによってメリットやデメリットを比較検討することが大切です。

贈与税と相続税の比較

ここで、贈与税と相続税の比較をするために一例をご紹介します。
(例) 課税評価額が5,000万円のマンションを夫名義で所有し、それを妻と10歳の子供1人が受け取る場合。

●生前贈与の場合
この例の場合「一般贈与」となり、贈与税の速見表から以下の計算式で求められます。

(5,000万円-110万円 ×2人)×55%-400万円=2,229万円
※110万円は非課税枠、400万円はこのケースの贈与控除額

一括で贈与するとかなりの高額納税となってしまいますが、生前贈与なら年間1人あたり110万円までは非課税となります。従って、仮に25年間をかけて、毎年この2人の名義で贈与登記し続けた場合は以下のように算出されます。

(110万円×2人)×25年=5,500万円

従って生前贈与の合計額が5,500万円となり、マンションの課税評価額の5,000万円を超えるため、理論上は非課税となります。

しかし、実際には25年間という長期に亘り、不動産のような高価値財産に対して毎年110万円を生前贈与していくのは非常に難しく、あまり現実的とはいえません。しかもそのようにして単純に毎年110万円ずつ生前贈与をした場合、税務署から一括贈与とみなされ、それまでの贈与分すべてに贈与税が課せられるリスクもあります。
 
●相続の場合
一方、速見表による相続税課税額は以下の通りです。

(5,000万円-4,200万円)×10%-0万円=80万円
※4,200万円は、このケースの基礎控除額

このことから、このケースの場合、生前贈与を数年間だけ行い、相続税の課税額をできるだけ減らしてから相続税を選択することなどが考えられます。

ただ、いずれにしても、実際の節税対策については、個々の状況や対策に講じることができる期間などに応じて異なりますので、税理士などの専門家に早めに相談することが大切です。

今回は、生前贈与と相続税について、不動産を遺すにはどちらがおすすめかを検証しました。結論として、どちらがいいかは対象となる財産の大きさや状況によって異なります。

ただし、相続財産が極端に大きい富裕層などを除けば、一般的には相続税の方が生前贈与よりもメリットが大きい場合が多いと言えます。いずれにしても専門家などを交えてしっかりとした対策を立てることが大切です。

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監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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