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空き家対策の実態は?活用方法や自治体が取り組む最新事例もご紹介

都市部だけでなく全国的に空き家が多くなり、社会問題となっていることはご存じの通り。その理由として、少子高齢化、需要とのミスマッチなどが挙げられますが、空き家は今なぜ大きな問題になっているのでしょうか。
本記事では、空き家の現状、平成26年に成立した「空き家対策特別措置法」、空き家を放置するとどうなるか、空き家活用の対策など、近年問題になっている空き家について解説します。

目次

空き家の現状は?

平成31年4月に総務省統計局より発表された「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要(※)」によると、「居住世帯のない住宅」のうち空き家は846万戸と、平成25年と比べ26万戸(3.2%)増加しています。さらに、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%と、平成25年の13.5%から0.1ポイント上昇しており、過去最高となっています。
昭和63年から平成30年まで空き家の数は増加が続いており、30年の間で452万戸増加しています。 少子高齢化などで世帯数の減少も始まる中、ますます深刻になるとみられている空き家問題の現状はどのようになっているのでしょうか? 次から見ていきましょう。

(※)平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 
結果の概要:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf
 

空き家の現状1:日本の空き家は増え続けている

増え続ける日本の空き家ですが、平成20年までは共同住宅の空き家数が急増し、平成20年以降は戸建ての空き家の割合が増えてきています。都道府県別の空き家の割合をみると、最も高いのは山梨県の21.3%で、次に和歌山県が20.3%、長野県が19.5%、徳島県が19.4%、高知県及び鹿児島県が18.9%となっており、特に甲信、四国地方は高い空き家率になっています。
 

空き家の現状2:空き家増加の原因

空き家増加の原因としては、新築住宅の過剰な供給と中古住宅の不人気が考えられます。せっかく家を買うなら新築がいいという人は多く、新設住宅着工戸数は年々上昇しています。新しいものが欲しくなる消費者の心理は変わらないので、今後も新築住宅の過剰共有は続くと考えられます。
また、「少子高齢化」や「地方の人口減少」も空き家問題に影響を与えています。今後さらに高齢化が進むと言われているので、高齢者のみの世帯や高齢者の単身世帯が増えることでしょう。また、地方から都会などへ行った子供は戻って来ないと予想され、空き家問題はさらに深刻化していくと考えられています。

空き家はなぜ問題になっているの?

年々増え続けている空き家ですが、なぜ問題になっているのでしょうか。周辺住民や景観への影響、犯罪の温床になる懸念、災害時の命を守る観点から、問題点を解説します。
 

空き家の問題1:周辺住民への悪影響

人の住んでいない住宅は、管理や手入れなしに放置されます。放置された空き家は痛んでしまい、倒壊の危険や景観の乱れなど周辺住民へ悪影響を及ぼすことになってしまいます。また、放置されたことにより、害獣・害虫の温床になりやすく周辺へ拡散することも。それ以外にも、空き家内での犯罪や放火の危険性など、周辺の治安にも影響し、安心して生活することができなくなります。
 

空き家の問題2:災害時の障害になる可能性

古くなった家は耐震性能が失われてしまうので、巨大地震に耐えることができません。豪雪地帯の場合は、雪の重みに耐えられず倒壊してしまうことも。 倒壊してしまったことにより、災害時に重要な道路を塞いでしまう可能性も高く、周辺住民の避難や救出の障害になることも考えられます。

空き家対策特別措置法ってなに?

空き家については、自治体などがこれまでも対策を行ってきましたが、増え続ける空き家問題を解決するために、平成26年11月に国会で「空き家対策特別措置法(空き家法)」が成立しました。「空き家対策特別措置法」ではどのようなことが定めらているのでしょうか。
 

空き家対策特別措置法(空き家法)とは

空き家対策特別措置法(空き家法)とは、空き家全体の中で、特に危険度が高い空き家を「特定空家等」と定義するなど、空き家を持っている人に大きな影響を与える法律です。空き家対策特別措置法の趣旨は、所有者に自発的な空き家対策をさせ、解決を促すものですが、対策をしない所有者を想定した規定も含まれています。
 

特定空き家とは

空き家対策特別措置法における特定空き家とは、国土交通省によると 「特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう」 と定義されています。ただし、特定空き家に指定される原因となった不適切な箇所を改善すれば、特定空き家からは解除されます。

空き家を放置するとどうなる?

空き家を放置するとどうなるのでしょうか。空き家が放置される理由、特定空き家に指定された場合の指導や勧告にはどのようなものがあるのでしょうか。
 

空き家が放置される理由は「固定資産税」にある?

空き家が放置される理由には、税金との深い関係があります。土地や建物には「固定資産税」と呼ばれる税金がかかります。土地に対する固定資産税は、住宅用地の特例という制度により、土地だけの更地よりも住宅が建っている方が安くなります。空き家を解体する費用がかかるうえに、更地にしたほうが固定資産税の金額が高くなるので、解体をする必要がないと考えてしまうのも当然かもしれません。
 

特定空き家を放置すると税金6倍!?

特定空き家に指定されてしまった場合でも、改善できれば問題ありません。しかし、改善できずに勧告を受けてしまうと、固定資産税が軽減される住宅用地の特例制度が適用されなくなります。「空き家を放置すると税金が6倍になる」と世間でいわれているのは、特例制度が適用されなくなった結果、今までよりも固定資産税を多く払わなければならなくなる、という意味合いもあるようです。

空き家対策をしよう! 活用方法は?

空き家対策には、解体や売却だけでなく、活用するという選択肢もあります。空き家を活かす活用方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
 

空き家活用法1:そのまま人に貸す

空き家の活用としてまず考えられるのが「そのまま人に貸す」という方法です。戸建賃貸やシェアハウス、民泊などとして建物をそのまま使用すれば、リフォーム工事費用は多少必要ですが、建て直しなどの費用のかかる大掛かりな工事をする必要はありません。
 

空き家活用法2:建て替えて人に貸す

空き家の活用として次に考えられるのが「建て替えて人に貸す」という方法です。今まであった家の解体、建て替え費用はかかりますが、解体に補助金が出る自治体もあります。空家の立地の賃貸需要を調査する必要がありますが、需要が高ければ家賃収入を得ることも可能です。
 

空き家活用法3:駐車場、コインパーキング、事業用地として貸す

空き家の活用法として、更地にして活用するという方法があります。更地は自由度が高く、活用方法の選択肢が広がります。駐車場、コインパーキング、事業用地として貸し出すことも可能です。建物の立っていない更地は、住宅用地の軽減措置特例の適用を受けられないため、固定資産税が高くなる可能性もあるので注意が必要です。
 

空き家活用法4:解体する

建物を解体し、土地をほかのことに活用する方法もあります。たとえば、土地を貸したり、駐車場にしたり、太陽光発電システムを設置したりです。土地貸しや駐車場であれば、初期費用が抑えられ、なおかつ安定した収入を得ることができます。太陽光発電システムの設置は、初期投資やランニングコストはかかりますが、郊外などの土地活用におすすめです。
 

空き家解体費用の補助成金制度

空き家解体には費用がかかります。資金が苦しい場合には、自治体の空き家解体費用の補助金・助成金制度を利用するとよいでしょう。この助成金制度は、自治体によって呼び名、条件、内容が異なります。
また、都道府県単位で行なっている場合もあるので注意してください。 助成金を受けるには、自治体の認定や耐震診断を受ける必要があり、解体費用の1/5から1/2程度が支給されることが一般的です。空き家のある自治体のホームページで詳細を確認してみましょう。
 

解体ローンを活用

自治体の助成金を受けても資金が厳しい場合には、金融機関の解体ローンを活用する方法があります。解体ローンとは、空き家を解体するための専用ローンです。住宅ローンのように解体費用のローンを組むことができます。
この解体ローンは、空き家が社会問題になっていることから、各金融機関で取り扱いがはじまりました。 金融機関によっては、家族が所有する空き家の解体のためでもローンが組めることがあります。解体ローンの特徴はそれぞれなので、金融機関に相談してみるとよいでしょう。
 

空き家活用法5:売却する

空き家を売却することも選択肢のひとつです。売却には「そのまま売却」と「更地にして売却」の2パターンあります。それぞれのメリット・デメリットを解説していきましょう。
 

そのまま売却

「そのまま売却」とは、建物が建っている状態で売却することです。これには、「住居用戸建ての売却」と、「古家付きの土地として売却」の2種類あります。古家付きの土地の場合は、売却後に建物が取り壊され、土地を目的に購入する人が多いです。

そのまま売却のメリットは、建物の解体が必要なく、費用がかからないことが挙げられます。また、家具・家電などの家の中身もそのまま売却できることもあり、処分費用を抑えられるのもポイントです。

デメリットは、買い手がなかなかつかない可能性があること。立地が良く、築年数が比較的浅く、建物の状態が良い物件ではないと、売却できない可能性が高いです。
 

更地にして売却

建物を解体し、更地にしてから土地を売却する方法もあります。

この場合、建物付きよりも早く買い手が見つかる可能性が高いのがメリットといえます。また、建物が解体してあるので、その分高く売れる可能性もあるのもうれしい点です。さらに、買い手にとって土地の大きさが把握しやすい、購入後のイメージがつきやすいというのもメリットでしょう。

デメリットは、解体費用、建物の中の家電や家具の処分費用がかかることです。解体費用は、建物の構造によって変わり、1坪あたり木造で約3万円~5万円、鉄骨造で4〜6万円、RC造で4〜7万円程度です。

また、解体中に地中埋設物が見つかり、問題が発生することもあります。その場合には、追加費用を請求されることがあるので、解体前に見積もりをきちんととるようにしましょう。

もう1つ難点なのは、建物がなくなることで、固定資産税や都市計画税の支払いの優遇措置が受けられなくなることです。税金の支払い額が増えるということを覚えておいてください。

地方自治体が取り組む空き家対策事例

各自地方自治体では、空き家対策としてさまざまなことに取り組んでいます。その事例をご紹介します。
 

事例1:宮城県仙台市

仙台市では、空き家を所有している人、空き家になる見込みの人を対象に、空き家についての相談会を開催しています。司法書士、行政書士、宅地建物取引士、建築士、税理士、法務局職員などの専門家に、空家に関するお悩みを無料で相談できます。

また、平成29年度から令和3年度までを計画期間とする「仙台市空家等対策計画」を策定。適切に管理が行われていない空家などの対策、活用に関する施策を、総合的かつ計画的に推進することを目的として活動しています。
 

事例2:群馬県伊勢崎市

伊勢崎市では、空き家の発生を予防し、空き家の活用の推進を図るために空き家情報バンク事業を実施しています。空き家情報バンクは、市内の登録された空き家の購入または賃貸借を希望する人にその情報を発信する仕組みです。

また、「空家等対策協議会」を設けて、空き家の対策計画や補助金交付の選考、特定空き家への対応などを行政や学識者によって審議しています。
 

事例3:岡山県笠岡市

老朽化などにより危険な状態となっている空き家の除却に係る費用の一部を補助する制度を設けている岡山県笠岡市。補助対象経費の50/100に相当する額以内で、上限額は50万円となっています。

そのほか、空き家の有効利用を促進するために空き家バンク制度を設けています。また、移住希望者向けに、市内案内から空き家バンク紹介までの、オーダーメイド型現地案内も行っているのが特徴的です。
 

事例4:山形県酒田市

「酒田市空き家等情報サイト」は、山形県酒田市の酒田市空き家等ネットワーク協議会が運営するホームページです。酒田市内の空き家・空き地の物件情報はもちろん、所有する空き家の売却、解体費用について、空き家の相続手続きなどの情報も見ることができます。

また、定期的に無料相談会も実施。空き家の売買、取り壊し、相続手続きなど、空き家に関する相談ができます。
 

事例5:埼玉県

埼玉県では、「空き家の持ち主応援隊」を結成し、空き家対策に努めています。応援隊は、地域の不動産団体です。空き家の管理、売却、賃貸、解体などを気軽に相談、依頼できる地域の不動産業者を、簡単に検索できるサイトがあります。

また、埼玉県内の空き家バンクがまとめて掲載されているホームページもあります。10の地域に分けられており、それぞれの自治体の空き家バンクのホームページにリンクが貼られているので、空き家を借りたい人が比較検討する際におすすめです。

空き家問題を理解し、適切な対策管理を

空き家の現状、平成26年に成立した「空き家対策特別措置法」、空き家を放置するとどうなるのか、空き家活用の対策など、近年問題になっている空き家について解説しました。
空き家問題は、これからさらに深刻化していくことが予想されます。どの地域でも起こりうる重要な問題ですので、他人事と考えず空き家対策を行っていきましょう。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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