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居住用財産の3,000万円特別控除とは?適用要件や必要書類について解説

居住用財産として利用しているマイホームを売却した際に発生する税金が最大で3,000万円控除されるという制度をご存じですか?
税金は知っているかそうでないかで大きな差が出ます。マイホームの売却を考えている場合は税制控除についてもしっかり学んでおきましょう。
 

目次

不動産売却で得た利益には税金(譲渡所得税)がかかる!

不動産の売却によって利益が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税という税金が発生します。あくまで利益に対してであるため、利益が出ない場合に譲渡所得税は発生しません。

譲渡所得税は次のように計算します。

収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額×税率

譲渡所得税を抑えるための税控除

譲渡所得税を安く抑えるためには各種の控除を積極的に活用することが大切です。代表的な控除としては次のようなものがあります。

3,000万円の特別控除の特例

居住用の財産、いわゆるマイホームを譲渡した場合、最大3,000万円の特別控除を受けることができます。
 

10年超所有軽減税率の特例

売った年の1月1日時点で10年を超えて所有しているマイホームを売却した場合、税率が最大で14.21%にまで下がるという特例を利用することができます。

特定居住用財産の買換え特例


特定居住用財産の買換え特例とは、マイホームを買い替えした場合、一定の要件を満たすことで、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるというものです。

3,000万円の特別控除の特例とは?

続いて、数ある控除の中でも特に積極的に活用していきたい3,000万円の特別控除の特例について解説していきます。
 

3,000万円の特別控除の概要

3,000万円の特別控除に関して一言でいうならば、マイホームを売却したときの利益について3,000万円までは税金を免除するよという制度です。
 

3,000万円の特別控除の計算方法

3,000万円の特別控除を用いて譲渡所得税の計算をすると次のようになります。
まず、譲渡所得税を算出するために課税譲渡所得を算出します。
課税譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円

その後、課税譲渡所得に税率をかけることで、実際に発生する譲渡所得税の金額を算出できます。
譲渡所得税=課税譲渡所得×税率(所有年数が5年を超える場合は15%、5年以下で30%)

では、簡単な事例を基に計算してみましょう。
2,000万円で購入したマイホームに9年間住んでから、100万円の費用をかけて6,000万円で売却したという条件で計算してみます。

すると計算式は下記のようになります。

6,000万円-(2,000万円+100万円)-3,000万円=900万円
900万円×20.315%=182万8,300円(計算結果の100円未満は切り捨て)

以上のように計算することになります。
 

他の特例と併用で更にお得に

3,000万円の特別控除の他にも10年超所有軽減税率の特例という特例があります。この両者の特例は併用することができ、それによって譲渡所得税の税率を譲渡所得額6,000万円までの部分までに限り、14.21%まで引き下げることができます。
すると先の例での計算式は次のようになります。

6,000万円-(2,000万円+100万円)-3,000万円=900万円
900万円×14.21%=127万8,900円

所有期間が10年を超えるだけで、他の条件が同じでも65万円程度の差がつくのです。 なお、譲渡所得が6,000万円を超える部分についての税率は20.315%となります。

3,000万円の特別控除の利用条件

ここまでの解説によって3,000万円の特別控除が税法上非常に有利な特例であることを実感されたことでしょう。では、続いて3,000万円の特別控除が適用できる条件について確認していきます。
 

3,000万円の特別控除の利用条件

3,000万円の特別控除の適用によって譲渡所得税をかぎりなく抑えることができます。しかし、それには次のような条件を満たすことが必要です。

・自分が住んでいる家屋、または、家屋とともに敷地や借地権を売却すること。
・家屋を取り壊していた場合、譲渡契約までの間に土地について他の使い方をしていないこと。
・売った年、その前年及び前々年にマイホームの買い換えなどの特例の適用を受けていないこと。
・売り手と買い手が親子や夫婦、生計を一にする親族などでないこと。
・別荘など娯楽に用いるものでないこと。
・一時的な居住を目的としていないこと。 など
 

3,000万円の特別控除の適用上の注意点

3,000万円の特別控除の適用における注意点として、売却する不動産の名義があります。不動産の名義が複数名で共有となっている場合、共有者全員で3,000万円の控除というわけではありません。共有者一人につき最大3,000万円まで控除されます。

【ケース別】適用要件

続いて、よくあるケースごとに3,000万円の特別控除の適用についてみていきましょう。


相続した空き家と自宅を両方売却した場合

同じ年に相続した空き家と自宅とを売却した場合、どちらにおいても3,000万円の特別控除を受けられます。ただし、控除額は合計で3,000万円までとなります。
 

兄弟で相続した土地建物を売却した場合

居住用の財産とみなされる空き家と土地を兄弟で相続した場合、兄弟それぞれが最大3,000万円の特別控除をうけられます。ただし、被相続人の居住用の家屋と敷地、両方の権利を3,000万円の特別控除の適用を受ける兄弟全員で取得することが必要です。たとえば、兄は土地、弟が家屋というような場合は対象外です。


店舗併用住宅を売却した場合

店舗と自宅とが併用されている場合、居住の用途に使っていた部分に限り、3,000万円の特別控除を受けられます。 なお、建物の90%以上を居住に利用していた場合は全体が住居だとみなされます。


一旦空き家となった後譲渡した場合

一時空き家となっていても、その理由が入院などであり後日戻ってくることが確実であるような場合は居住用として3,000万円の特例が受けられます。 しかし、実際に居住しなくなってから3年目の年末を経過してしまうと、特例は受けられなくなります。

手続きの方法と必要な添付書類

居住用財産の売却で3,000万円の特別控除を受けるには申請書類を揃えて手続きをすることが必要です。


必要書類

申請に必要な書類は次の2通です。

・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) ・住民票の写し

譲渡所得の内訳書は確定申告書とともに提出する書類で、売却する土地や建物の情報などを記載していきます。記載例は国税庁のHP等で公表されているため、自力で記載していくことも十分可能です。
住民票の写しについては対象となる不動産を売却してから2カ月を経過した後に発行されたものであることが必要です。
 

手続き方法

譲渡所得税はいわゆる分離課税と呼ばれるものに分類され、確定申告をする必要があります。この確定申告において、確定申告書に居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることを記載し、かつ、前述の必要書類とともに住所地を管轄する税務署に提出します。
譲渡所得税にかかる確定申告は不動産を売却した翌年の確定申告の期間中に行います。確定申告は例年2月15日頃から3月15日頃までの期間内に行わなければなりません。

不動産売却で損失が出た場合の特例

不動産の売却によって損失が出た場合にも受けられる特例があります。それが「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。ここからは、それぞれの概要や適用条件、メリットなどを解説します。


居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を受けることにより、不動産を売却した際に損失が発生しても、給与所得といった他の所得から差し引きすることができます。
また、差し引きしても損失が残る場合、本特例が適用された翌年以後3年間の総所得から譲渡損失を一定の方法によって、繰越控除することが可能です。居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を適用するためには、以下の条件をすべて満たしていなければなりません。

・資産の譲渡に係る損失が生じていること
・居住用財産の定義を満たしていること
・所有期間が売却する年の1月1日時点に5年を超えていること
・一定の要件を満たした新居を購入すること

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、住宅ローン控除との併用も可能となっています。ただし、適用期限は2021年12月31日の譲渡までとなっているため、注意が必要です。また、本特例の適用を受けるためには、必要書類をすべて揃えたうえで、確定申告をおこなってください。
 

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例も、不動産売却で損失が出たときに、他の所得から相殺ができる制度です。また、相殺しても赤字になる金額を翌年以降3年間繰り越して所得から控除できます。基本的に居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例と同様の内容になります。
ただし、本特例の適用に買換え資産を購入することや、売却する不動産に一定額以上の住宅ローン残高があることは、条件として含まれていません。本特例の適用を受ける場合も確定申告をおこなう必要があります。2021年12月31日の譲渡までが適用期限です。

その他の特例・控除

今回解説した3,000万円特別控除の他にも、いろいろな特別控除や特例があります。不動産を売却する場合、どの特別控除や特例を受けることができるのか、事前に知っておくとよいでしょう。ここからは、それぞれの概要や適用条件をご紹介します。
 

特例1:被相続人の居住用財産を売ったときの特例

被相続人のマイホームを売却したときに受けられる特例があります。これは、空き家の発生を抑制する特例措置であり、相続した空き家を売却する場合3,000万円の特別控除を受けることができる制度です。売却する不動産に被相続人がひとりで住んでいたこと、昭和56年5月31日以前に建築された住居であることが適用条件となっています。また、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売却しなければなりません。


特例2:農地保有の合理化などのため土地を売った場合の800万円の特別控除

農地拡大を希望する意欲的な認定農業者に土地を売却した場合、その譲渡益から800万円を控除できる特例です。適用条件は、譲渡先が農業委員会や農用地利用集積計画の斡旋を受けた相手であることや、農地中間管理機構や農地利用集積円滑化団体に売却した場合となります。ただし、抵当権などの権利設定があるときは、本特例が適用できません。


特例3:平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例

世界的な経済危機に陥った平成20年のリーマンショックによる景気後退を防ぐことを目的とした特例もあります。不動産流通を活発化させるため、平成21年と平成22年に取得した国内の土地において、それぞれ6年後の平成27年以降と平成28年以降に売却すれば1,000万円の特別控除が受けられる制度です。
 

特例4:特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例

国土交通省が管轄する土地区画整理事業のために不動産を売却した場合、その譲渡所得金額から2,000万円の特別控除を受けることができます。本特例は、譲渡が2年以上に渡ったとしても、最初の年にしか適用されない制度です。他にも地方公共団体などがおこなう特定住宅地造成事業などに土地を売却すれば1,500万円の特別控除が適用されます。


特例5:公共事業のために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除

公共事業などのために土地や建物を売却すれば5,000万円の特別控除を受けられる特例があります。該当する不動産が固定資産であること、買取の申出があった日から6ヶ月以内に売却していることなどが適用条件です。本特例においても、譲渡が2年以上に渡った場合でも、最初の年にしか適用されないようになっています。

居住用財産を売却する際は3,000万円の特別控除を積極的に利用すべき

不動産を売却して利益が生じると、その利益に対して譲渡所得税が発生します。しかし、その不動産が居住用財産、いわゆるマイホームであった場合は一定の要件を満たして確定申告時に申告することで最大3,000万円の特別控除を受けることができます。
居住用財産を売却する際は3,000万円の特別控除を積極的に利用し、賢く節税していきましょう。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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