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相続時精算課税制度の改正と注意点(その2)

目次

【3.とにかくここは必ず押さえておこう】
(1)価格変動に注意
前節でも例えで紹介したが、持ち戻すときは贈与時の価額で持ち戻すこととなる。したがって、値上がりするものは相続税の計算上得をすることになるが、値下がりをするものは損をすることとなる。よって、相続税の節税を考える場合は、価額が今後どう変化するのかを見極めることが大切となる。

(2)相続放棄をしても持ち戻す
この制度を選択した人は、その贈与があった財産を相続したことになるので、例えば相続放棄をしたとしても、相続税の課税価格の計算は行うので、注意が必要だ。

(3)小規模宅地等の減額特例は受けられない
この制度を使って贈与した財産は相続時に持ち戻すが、それが小規模宅地等の減額特例の要件に当てはまっていたとしても、特例の適用は受けられなくなるので、ここもしっかりと押さえておいてほしい。なぜなら、相続又は遺贈による取得ではないからだが、理由はさておき、小規模宅地等の減額特例が使えそうな、又は使う予定の土地は対象から外して、それ以外の財産を贈与するのがポイントであるということだ。

(4)遺留分の侵害に注意
この制度は、相続が発生したときにトラブルになりやすいのだ。それが遺留分計算をする際に起きやすい。当然ながら、遺留分計算においてこの贈与財産も対象に含めて計算をすることになるので、過去にこの制度の利用があったことを忘れないようにしなければならない。


【4.最後に】  
この制度ができてから10年以上が経過した。現場では、この制度を利用した後の相続の事例もボチボチ出始めて、思わぬ問題も発生しているのだ。相続時に、この制度を知らなかった他の相続人(例えば次男など)が、生前にこの制度を自分以外の相続人(例えば長男など)が使って贈与を受けたことが判明して揉めたり、また、そもそも相続税の計算時にこの制度を使っていたことを忘れて申告し、後日追徴課税を受けたりと、少なからずの問題が発生しているのだ。この制度を使う場合は、他の兄弟姉妹たちにも了解を得るようにするなど、十分な注意と配慮をすることが重要なのである。
 



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監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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