不動産登記をするときには、登記費用というお金が発生します。
意外と高額になることも多いので、登記費用がどれくらいかかるのかについて、あらかじめ知っておくようにしましょう。
不動産登記とは?
不動産登記とは、不動産の現在の状態を明らかにするものです。
不動産の現在の状態とは「その不動産は誰が所有しているか」「その不動産はどこにあるのか」などであり、これを証明するのが不動産登記です。
例えば、中古物件の売買を行ったとしましょう。この際には、所有権を別の人間に移す手続きが必要になります。
中古物件の売買をより詳しく説明すると「中古物件の所有権を第三者に移すこと」ということになります。 ただ家と金銭の受け渡しを行うだけではなく、所有権が移動したことを法律上明確にしておかなくてはいけません。そのために不動産登記が行われます。
不動産登記の種類
不動産登記の種類には、次の5つがあります。①所有権保存登記
②所有権移転登記
③変更登記・更正登記
④抵当権設定登記
⑤抹消登記
①所有権保存登記
所有権保存登記は、住宅を新築した時などに初めて不動産について行う登記のことです。
不動産の登記では権利部が甲区と乙区の2つに分かれており、所有権保存登記は甲区に所有者の住所や氏名、不動産の取得日、登記の原因などが記載されます。
所有権保存登記を行うことで所有者が明らかになり、利害関係のない第三者が勝手に住宅の所有権を主張することが防げます。
□関連リンク:
「所有権移転登記にかかる費用相場とは?事例別にわかりやすく解説」
②所有権移転登記
所有権移転登記は、売買や贈与、相続・遺贈などにより、不動産の所有者が別の人に移ったときに行う登記です。
所有権移転登記を行うことで、不動産の所有者が明らかになり、第三者が不法な手段で不動産の所有権を取得する事態が防げます。
③変更登記・更正登記
変更登記とは、所有者の氏名や住所に変更があったときに行う登記です。
たとえば結婚や引越しなどで氏名と住所に変更があった場合、変更があった日から2年以内に変更登記をしなければなりません。
一方、更正登記とは登記申請の内容に誤りや誤記載があった場合に、その内容を正しいものに直すために申請する登記です。
たとえば氏名が「山田太郎」とすべきところを「山口太郎」となっていたら、更正登記で正しい氏名に更正可能です。
④抵当権設定登記
抵当権設定登記とは、不動産を購入するために住宅ローンの融資を受けた場合に、金融機関が当該不動産に設定する登記のことです。
抵当権を設定することで、いざというときに金融機関が不動産を競売にかけられるほか、売却した代金から補償を受けられる優先順位も決定します。
ローンが完済すれば抵当権は登記簿から抹消できます。
⑤抹消登記
抵当権抹消登記は住宅ローンを完済した際に、登記簿上の抵当権を抹消する登記です。
住宅ローンを完済したにもかかわらず、抵当権抹消登記を行わないで放置すると、住宅を売却したいときに買い手がつかなくなることがあります。
住宅ローンを完済したときに送付される書類を提出し、抵当権抹消登記を申請してください。
□関連リンク:
「抵当権抹消にかかる費用ってどれくらい? 相場は?」
登記費用の内訳
不動産登記には費用がかかります。基本的に手続きを自分で行うか、司法書士へ依頼するかのどちらかになるのですが、どちらの場合であっても費用が発生するので確認しておきましょう。
登録免許税
登録免許税とは、所有権を移転させるための不動産登記や、住宅ローンを組んだ際の抵当権設定などにかかってくる税金です。司法書士への報酬
不動産登記の手続きは非常に難しく、専門的な知識がある程度ないと満足に行うことができません。そこで司法書士へ依頼をすることが多いのですが、その場合は司法書士に仕事の報酬を支払う必要があります。登記費用の相場はどれくらい?
不動産登記の費用相場について、必要な費用の種類は次の通りです。
・登録免許税
・司法書士の報酬
・書類の交付費用
・その他必要費
これらの中でも、大きな割合を占めるのが登録免許税と司法書士への報酬です。登録免許税は登記の種類によっても変わるため、どのような登記を行うか確認しておくことが大事です。
また、司法書士への報酬も司法書士によって違うため、司法書士ごとに比較検討することもポイントになるでしょう。
司法書士の報酬の相場
司法書士への報酬の相場は、住宅ローンを設定している場合は10万円前後となります。しかし、どの事務所に依頼をするのかなどによっても異なってくるので、あらかじめ複数の司法書士事務所に声をかけておくとよいでしょう。
土地家屋調査士の報酬相場
登記簿は、不動産の住所や面積などを記載した「表題部」と、所有権や抵当権を記載した「権利部」に分かれています。このうちの表題部は、土地家屋調査士に調査を依頼しなければなりません。
土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する登記につき、必要な土地又は、家屋に関する調査・測量を実施する専門家のことです。依頼を受けた土地家屋調査士は、不動産の物理的状況を調査し、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続などをおこないます。
以下が一般的な土地家屋調査士の報酬相場です。
■土地の表題登記:報酬額:7万円~
過去に登記されたことがない土地の所在や面積などの物理的状況を調査~登記をおこなう
■建物の表題登記:報酬額:8万円~12万円
新築した建物の所在や面積などの物理的状況を調査~登記をおこなう
登記費用と登記手数料の計算方法
登記費用とは不動産登記の際に発生する登録手数料のことを指します。司法書士に登記を依頼する場合は、その報酬として支払う金額も含めて登記費用と呼びます。
その登記費用がどれくらい発生するのかは、あらかじめ計算で求めることができるので、実際に行う前に調べておくようにしましょう。
「所有権移転登記」の場合
所有権移転登記の場合は、土地と建物で登記費用の計算方法が異なります。土地の場合は「土地の価格」×1.5%で登記費用(登録免許税)を求めることができます。建物の場合は「建物の価格」×2.0%で登記費用を求めることができます。
ここで注意するべきなのは、土地の場合の登記費用の求め方についてです。2021年の3月31日まではこの方法で求めることが可能なのですが、それ以降は建物の場合の計算方法と同じになります。
つまり土地の登記費用も「土地の価格」×2.0%で求めるということです。登記変更の予定がある方は、この時期までに済ませておくと安く抑えることができるのでおすすめです。
「抵当権設定登記」の場合
抵当権設定登記は、「債権金額」×0.4%が登記費用となります。住宅ローンを設定している場合
住宅ローンを設定している場合は、抵当権設定登記を行わなくてはいけません。そして住宅ローンを完済した場合には、抵当権抹消登記を行う必要がありますので注意しましょう。また、抵当権が設定されたままの不動産は売却することができないので、住宅ローンを完済するか、売却金額で住宅ローンを返済するという条件のもとに抵当権を外すかを金融機関と相談する必要があります。
軽減税率について
建物に関する登記費用と抵当権設定登記に対する登記費用に対しては、軽減税率が適用されることがあります。その条件とは以下の通りです。1. 自己居住用の住宅であること
2. 取得後1年以内に登記されていること
3. マンション等耐火建築物は、25年以内、木造等耐火建築物は20年以内に建築されたものであること。
この年数を超えている場合は、新耐震基準に適合していることについて証明されているか、既存住宅売買瑕疵保険に加入している必要がある。
4. 床面積が50m2以上であること この条件を満たした不動産であるならば、登記費用に軽減税率が適用されます。
建物は「建物の価格」×0.3%となり、抵当権設定登記は「債権金額」×0.4%となるので覚えておきましょう。
登記費用を抑えるには?
司法書士への報酬を考慮すると、登記費用は意外と高くなりがちです。
しかし、司法書士に依頼をしないで自分で進めようとすると、ミスも起こりますし時間もかかります。不動産登記にある程度のお金が必要になるのは仕方がないと割り切ったほうがよいでしょう。
また、軽減税率を適用したり、依頼する司法書士事務所を吟味したりすれば、登記費用を大幅に安くすることができます。少しでも安くなるように工夫をしましょう。
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監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。