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相続時精算課税制度の改正と注意点(その1)

今回は、相続時精算課税制度についての話である。この制度は平成15年の税制改正で創設されたもので、既に10年以上が経過した。平成27年度税制改正において対象範囲が広がり利用しやすくなった反面、時の経過と共にこの制度の落とし穴も出てきたので、今回は制度のおさらいと注意点をみておきたいと思う。

目次

【1.制度の概要】
この制度は、「生前贈与による資産の移転の円滑化に資することを目的」として創設された制度であるが、要するに親世代の蓄えを若い世代に移させ、経済を活性化させよう税制面からの政策だ。国税庁の発表によると、平成25年度の適用申告者は全国で5万2千人、申告額は6,335億円と年々増えている。中々の人気振りだ。

この制度の詳細は後述するとして、ざっくり言ってしまえば2,500万円までの贈与には贈与税がかからない、という制度である。いままでチマチマ110万円とにらめっこしながら贈与していたのとは随分違い、一度にドカンと贈与できるので人気があるのかもしれない。ただし、おいしい話にはご用心、ともいえるので注意点を中心に紹介していくこととする。

【2.適用要件】
 贈与者は60歳以上の親、祖父母で、受贈者(もらう人)は、贈与者の推定相続人である20歳以上の子、又は孫となっている。平成27年度税制改正で、ここの年齢が変更されたのである。 それでは、この制度の注意点を三つ紹介しておこう。

 まず一つ目は、年齢だ。贈与者の60歳以上、受贈者の20歳以上の年齢は、贈与した年の1月1日現在のものであること、となっている。したがって、平成27年中にこの制度による贈与をした場合、たとえば子が27年6月1日に20歳の誕生日を迎える場合は、27年1月1日現在ではまだ19歳なので適用はできないということになるのだ。

二つ目の注意点は、この制度の名が表している通り、相続が発生した場合は、贈与分を持ち戻し(精算)しなければならないということだ。贈与した現物を戻すのでない。あくまで相続税の計算上で、という話だ。しかも、贈与時の価額で、というおまけつきである。どういうことかというと、例えば2,000万円分の土地をこの制度を使って父から長男へ贈与したとする。
そして10年後、父に相続が発生した時、この土地の名義は長男のものになっているが、父の相続税の計算上において、この土地を含めて計算をするのだ。そしてその時のもち戻し計算に組み入れる金額が、10年前の贈与時の金額である2,000万円を使うのだ。仮に相続時に1200万円に値下がりしていても、又は逆に3,000万円に値上がりをしていても、持ち戻す金額は2,000万円になるのだ。

最後に三つ目の注意点であるが、この制度を使った場合、暦年課税制度は使えなくなるのだ。暦年課税制度とは、通常の贈与で年間110万円を超えると、超えた金額に応じて贈与税が課税される、いわゆる一般的な贈与課税制度である。
したがって、一度相続時精算課税制度を使った場合、例えばその後100万円の贈与をした場合は、暦年贈与で考えるのではなく、相続時精算課税制度で考えるので、この100万円と過去からの相続時精算課税制度を使った贈与の累計が2,500万円までであれば無税ということになり、超えたら超えた部分の金額の20%が贈与税として課税されることになる、ということだ。

その他の要件などは、一覧にしたので確認しておいてほしい。


次回は相続時精算課税制度において、押さえておくべきポイントについて書こうと思う。
 



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監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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