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遠距離でも安心!実家の処分を効率的に進める4つのコツ

全国の空き家は2023年時点でおよそ849万戸、住宅総数の13.6%に達し、20年前の約1.6倍に膨れ上がっています。特に郊外や地方では管理者不在のまま老朽化が進み、外壁の落下や雑草の繁茂による近隣トラブルが各自治体の相談件数トップ3に常に入る状況です。固定資産税の面でも、倒壊の恐れがあると判断された場合に「特定空き家」に指定されると住宅用地の特例が外れ、税額が最大4.2倍になるリスクがあります。

こうした背景を踏まえると、遠距離に住む子世代にとって空き家放置は「いつか片付けよう」で済ませられない課題です。売却や買取によって早期に手放せば、固定資産税・管理費・移動コストを一括で解消でき、精神的負担からも解放されます。

出口選択肢には大きく①仲介で売却、②不動産会社による買取、③解体して土地売却、④寄付や相続放棄があります。仲介は手取り額が高くなる一方で時間が読みにくく、買取は2~3週間で現金化できるものの価格が7~8割に下がる傾向です。寄付や放棄は負動産(ふどうさん:維持費ばかりかかって資産価値が乏しい不動産)の最終手段として検討されます。

この記事全体では、遠距離でも実家処分をスムーズに完了させるための4つの効率化コツを深掘りしていきます。

こんな人におススメ

  • 相続した実家の管理が大変な人
  • 実家が空き家になっている人
  • 実家が遠方の人
  • 実家の処分に迷っている人

実家の処分を始める前に知っておきたい基本情報

相続が発生した瞬間から売却代金が口座に振り込まれるまで、実家処分にはいくつもの法的・実務的ハードルがあります。時間や手間を最小限に抑えるには、あらかじめ全体像を把握したうえで計画的にタスクを並べることが不可欠です。

標準的なロードマップは次の7ステップです。
1 相続人と法定相続分の確定(死亡届提出から14日以内に戸籍取得が可能)
2 遺言書の有無確認と兄弟間協議(公正証書遺言があれば内容を優先)
3 遺産分割協議書の作成と署名押印(未成年がいる場合は家庭裁判所の許可が必要)
4 相続登記と名義変更(2024年4月以降は3年以内申請義務・過料は最大10万円)
5 不動産査定と売却方針決定(複数社に同時依頼で1~2週間)
6 売却活動・契約締結(媒介契約から成約まで平均3カ月、遠方ならオンライン内覧活用)
7 確定申告と税金精算(売却翌年2月16日~3月15日)。
各工程には法定期限やペナルティが潜むため、カレンダーとリマインダーで“逆算スケジュール”を作っておくと安心です。

兄弟姉妹間の合意形成は「感情」と「手続き」の両輪で進めると揉めにくくなります。
具体的には、
1 遺言書のコピーを全員で共有し、解釈を一致させる。
2 決定事項をメモして後日確認可能な形にする。
この手順を踏むことで「言った・言わない」問題を防ぎ、遺産分割協議書の作成もスムーズになります。

費用面では仲介手数料・登記費用・測量費・残置物処分費など10項目以上が発生しますが、見積もりと発生タイミングを一覧化すれば資金繰りの目安が立てやすくなります。たとえば仲介手数料は〈売却価格×3%+6万円〉が上限、残置物処分費は東京都心で1トンあたり3万円前後、地方では1.5万円前後が相場です。早期に情報を集め、税制優遇とコスト削減を同時に設計することが、最終的な手取りを最大化する近道と言えます。

このように実家処分は「期限を守る法的作業」と「家族で納得する心理的作業」が交互に現れます。最初に全工程の地図を描き、家族を巻き込みながら進行管理を行うことで、遠距離でもストレスなくゴールに到達できます。
 

実家処分の手段はどんなものがあるか

実家の処分方法はひとつではありません。代表的な6手段を知っておくことで、家の状態や家族の事情に合わせた最適ルートを選びやすくなります。

①仲介売却
最もポピュラーな実家の処分方法です。不動産仲介(買主を探してもらう)で売却することで、市場価値で売却できます。売却する時間が潤沢にある方向けです。売却が成立すれば、不動産管理から解放され、固定資産税の支払いもなくなります。一方で人口減少エリアでは仲介売却が長期化しがちで、管理コストが積み上がります。遠距離居住者は内覧立ち会いだけでも旅費が重荷になるため、数週間で現金化できる買取が精神的にも経済的にも軽負担です。加えて売却した後も、「契約不適合責任」が発生し、修復するための費用が発生する場合があります。また、売却活動を行っても、いつ買主が見つかって現金化できるのかスケジュールを立てるのが難しいこともデメリットの一つです。

②買取
不動産買取は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。不動産会社も買い取った後に販売活動を行うため、相場よりも2~3割程度安くなることが一般的です。ただ、メリットも多くあります。仲介で発生する「契約不適合責任」は不動産会社が買主の場合は該当しません。また、ポラスの場合では家の中を片付ける必要もありません。内覧立ち合いも原則1回程度です。さらには、買主が決まっていますので広告も行いません。近所の方に秘密にしたい、すぐに現金化したい方には喜ばれる実家処分の方法です。早く、手間なく処分をしたい方向けです。

③解体+売却
築50年以上で雨漏りやシロアリ被害が見つかった老朽家屋は、金融機関が住宅ローンを付けにくいので買主が現れにくくなります。この場合、解体して土地として売却すると想定売却価格は下がるものの、内覧準備や瑕疵対応のストレスを回避できます。ただし、ポラスでは売主判断での解体はお勧めしていません。買主がどのように判断するかを相談の上、解体を行うのか、解体費を値引きするのか、など検討するのが良いかと思います。物置として使うなどの希望があるかもしれません。

④相続放棄
遠距離かつ早期に固定資産税を止めたいなら相続放棄も選択肢です。ただし、相続放棄はすべての遺産を放棄することになるため、他に価値のある資産がある場合は慎重な検討が必要です。

⑤寄付
寄付は自治体や社会福祉法人などに物件を引き取ってもらう方法です。固定資産税負担を即座に回避できるメリットがありますが、耐震性や立地が一定水準を満たさないと受け入れてもらえません。受け入れてくれる団体や法人を探すのも大変ですし、かなりハードルが高く交渉期間が長くなりがちなので、急ぎの場合は不向きです。相続した土地は国が引き取ってくれる「相続時土地国庫帰属制度」がありますが、こちらも費用がかかる上に、基準が厳しいです。

⑥賃貸
賃貸活用は「いつか地元に戻るかもしれない」「子世代が独立後に使うかもしれない」といった将来プランがある家庭にマッチします。リフォーム費用を投資と捉え、家賃収入で回収するモデルです。管理会社と定期報告ルールを結べば遠距離でも運用しやすくなります。賃貸活用の注意点は、自分たちが住宅を利用するタイミングをはかり賃借人に事前に伝えておく必要があります。日本は賃借人の権利は比較的強く認められていますので、簡単に退去させることはできません。退去料が発生する可能性もあります。賃貸期間を定めることもできます(定期借家契約)が賃料は相場よりも安くなることが多く、賃借人を探すハードルも上がるため、空室リスクも高まります。この点を十分に理解しておく必要があります。
 

相続に関する基本的な手続き

親が亡くなった瞬間から相続はスタートし、不動産を含む資産の名義を新しい所有者に移すまでに数多くの手続きが発生します。もっとも重要なのは、相続登記を3年以内に行わないと10万円以下の過料が科される可能性があるという法改正(2024年4月施行)です。放置すると売却や担保設定ができず不動産の価値を眠らせることになるため、タイムラインを意識した行動が不可欠です。

一般的な時系列は以下のとおりです。

①死亡届提出(7日以内)と戸籍・住民票の取得、
②遺言書の有無を家庭裁判所の検認または公正証書で確認、
③相続人全員で遺産分割協議を行い「遺産分割協議書」を作成、
④協議内容を反映して相続登記を法務局で申請、
⑤不動産取得後に市区町村へ固定資産税の名義変更届を提出し、税通知先を更新します。

ここまでが不動産売却や処分を進める前提条件となります。

相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書、遺産分割協議書、固定資産評価証明書など多数の書類が必要です。法務局の窓口混雑や書類取得の郵送時間を考慮すると、準備だけでも1〜2か月みておくと安心です。

遺産分割協議書は相続人全員の署名・実印押印が必須です。実家が遠方にあるケースでは、回覧方式では時間がかかるため、オンライン会議で事前合意を取り付け、郵送はレターパックプラスや簡易書留を使って同時並行で進めると効率的です。

名義変更後は、固定資産税の清算が発生します。年度途中で所有者が変わる場合、多くの自治体は売主(旧相続人)が年度分をまとめて納付し、買主(新相続人)が日割りで精算金を支払う方式を採用しています。手続きはシンプルでも放置すると「納税通知書が実家に届いたまま誰も気づかず延滞金」という事態になりがちですので、郵送先を現住所に変える届出を忘れないようにしましょう。

共有名義トラブルの典型例として、兄弟3人が1/3ずつ持ち分を相続したものの、長男が海外赴任で連絡が取れず売却が頓挫したケースがあります。こうした事態を防ぐには、最初の遺産分割協議で「代表相続人を決めておく」「将来売却時の議決方法を取り決める」といった条項を盛り込むのが効果的です。
 

 

実家処分にかかる費用の内訳

実家を手放す際に必要となる費用は、表面的には「仲介手数料くらい」と思われがちですが、実際には10項目以上の出費が積み重なります。あらかじめ予算を可視化しておくことで、資金繰りや手残り額のブレを防ぎやすくなります。

主な費用科目と目安額(あくまで一般的なレンジ)は次のとおりです。

1) 仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税(2,000万円で約72万円)
2) 印紙税:5,000~60,000円
3) 登記費用(所有権移転・抵当権抹消など):2~10万円
4) 譲渡所得税・住民税:売却益の約20%(3,000万円控除適用後の課税分)
5) 測量費:30~80万円
6) 残置物処分費:20~100万円
7) 空き家期間中の固定資産税:年5~20万円
8) 管理委託料(通風・草刈り等):月5,000~15,000円
9) 火災保険・地震保険:年2~5万円
10) 解体費用(木造坪単価4~8万円、30坪で100~240万円)。

地域や建物構造、依頼先によって差が出るため、最低でもこれら科目ごとに見積書を取得することが安心材料になります。

見落とされやすいコストとして、庭木の伐採・抜根、井戸の閉鎖供養、仏壇・神棚の処分料、境界標設置、家財のリサイクル料金などが挙げられます。「現地に行ってから発覚した追加料金」が発生しやすい部分なので、事前に写真や動画を撮影して、専門業者に相談することが重要です。

空き家期間が長期化すると維持費の支払いも長期化します。例えば固定資産税10万円/年、管理委託料1万円/月、草刈り年2回で6万円、火災保険3万円とすると、5年間放置すれば合計約109万円です。さらに老朽化による雨漏り補修30万円が加わると、売却資金から約140万円が消えてしまいます。この金額は売却価格を100万円値下げするのと同じインパクトがあるため、早期着手が家計を守る近道です。

シナリオ別の総コストと想定手取りも試算してみましょう。

●シナリオA:解体して更地売却(建物30坪/土地40坪/相場1500万円)

①解体費用 約120万円
②残置物処分 約30万円
③仲介手数料 約55万円
④その他=印紙・登記等 約15万円

計220万円のコスト。更地査定価格が1500万円なので、手取りは約1280万円。
 

●シナリオB:ポラスにて買取(建物30坪/土地40坪/相場1500万円)

①解体費用 0円
②仲介手数料 0円
③残置物処分 0円
④その他=印紙・登記等 約15万円

計15万円のコスト。買取価格が相場の80%とすると1,200万円なので、手取りは1185万円。シナリオAに比べて手取り額は減りますが、現金化のスケジュールが立つことや、解体や残置物処理の交渉・手配などが不要になります。内覧時の実家との往復交通費や対応する時間などを考えると買取を選択される方も多くいらっしゃいます。
 

実家の売却準備を効率的に進める方法

売却準備をスムーズに進める鍵は、タスクを「時系列」で捉えるのではなく「並列処理」に変えることです。ガントチャートを作成し、遺品整理・名義変更・土地境界確定・不動産会社への査定依頼を同じタイムライン上に並べると、どの作業がどのタイミングで重なり合うかが一目で分かります。例えば、戸籍謄本や固定資産税評価証明書を取得している間に遺品整理の業者に見積もりを依頼するなど、待ち時間を最小化できます。手書きよりも無料テンプレートのExcelガントチャートを利用すると、着手日と完了予定日、担当者、コストをセルに入力するだけで自動的に進捗バーが更新されるので便利です。Googleのスプレッドシートを活用すると、相続人の間の情報共有にも便利です。

遠方に住む兄弟姉妹と連携する場合は、タスクと費用の「見える化」が欠かせません。家族間チャットツール(LINE、Slack)のグループを活用し、ガントチャートの最新ファイルや領収書の写真を共有すると、誰が何を負担したかをリアルタイムで確認できます。実際、首都圏在住の姉と関西在住の弟がこの方法を取り入れ、わずか1カ月で遺品整理と名義変更を完了させた事例があります。チャット上で「費用が見える」「タスクが見える」状態を維持したことで、分担が公平だと双方が納得しやすく、合意形成にかかる時間を半分以下に短縮できたといいます。

このように、ガントチャートで作業を並列化し、オンラインとオフラインを使い分け、家族チャットで情報を一元管理すると、売却準備のボトルネックが劇的に減ります。特に遠距離の場合、「移動コスト」と「意思決定コスト」が高くなりがちですが、デジタルツールの併用でその二つを同時に圧縮できる点が大きなメリットです。次の各セクションでは、遺品整理や名義変更など具体的なタスクごとのテクニックを詳しく紹介していきますので、全体像を頭に入れつつ、自身のスケジュールに落とし込んでみてください。
 

家財・不用品の片付けと遺品整理

大量の家財を前にすると「思い出が詰まっていて手放せない」という気持ちが先行し、作業が止まってしまいがちです。そこで有効なのが、感情的負担を最小化する3分類ルール——残す・譲る・処分を先に決めてしまう方法です。残す品は基本的に写真と重要書類、価値のある美術品など厳選した10%以下に限定します。譲る品は兄弟や親戚、知人の『欲しいリスト』を事前に共有フォルダで集めておくと、当日の仕分けがスムーズです。処分対象は迷いが出やすいので、スマートフォンで全体を撮影してからゴミ袋へ入れます。写真を残すことで“失う不安”を和らげられるため、心理的ハードルが大きく下がります。

写真をデジタル保存する際は、クラウドストレージを活用して「日付_場所_品名」のファイル名ルールを統一します。例えば「202306_居間_昭和タンス.jpg」のように整理すれば、あとから検索もしやすく、「念のため取っておく」が激減します。実際に50平方メートルの平屋を片付けたAさんは、2,000枚以上の写真データを4GBで管理し、物量ベースで35%を削減できました。

処分量が多い場合は、専門業者に委託するほうが結果的に早くて安い場合があります。特に遺品整理士は専門的な知見もありおススメです。遺品整理士とは、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する専門資格で、遺言書や仏壇など取扱い注意品の知識を持つ担当者がいるかが品質の目安になります。ポラスでは遺品整理士のいる専門業者をご紹介できます。

感情的にも金銭的にも負担が大きい家財整理ですが、3分類ルールで「意思決定」を先に終わらせ、写真デジタル保存で「思い出」を確保し、資格を備えた業者と自治体制度を活用して「費用」を抑える——この3ステップを踏めば、遠距離にいてもプロ並みのスピードと精度で片付けを完了できます。
 

名義変更と土地境界の確認

名義変更と土地境界の確定は、それぞれが独立した作業に見えて実際には密接につながっています。名義があなたへ変わらないうちは売主としての権利を証明できませんし、境界があいまいな土地は金融機関の融資や買主の意思決定に影響し、最悪の場合は売買契約が白紙に戻ってしまいます。遠距離で時間もコストも限られているからこそ、両タスクを同時並行で進めることが効率化のカギになるのです。

名義変更に必要な書類は、手配に時間がかかるものから着手しましょう。チェックリストとおおよその取得日数は次のとおりです。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式(3〜7日)
・相続人全員の戸籍謄本と住民票(1〜3日)
・遺言書または遺産分割協議書(協議期間を除き1日で作成可)
・固定資産評価証明書(窓口即日または郵送7日)
・不動産全部事項証明書(オンライン即日、窓口なら30分程度)。
郵送請求の場合は往復で倍の時間がかかるため、遠距離の方ほどオンライン請求や代理取得サービスを活用すると無駄がありません。

最後に、不動産の売却を行う場合、名義変更が終わった瞬間から売却広告を出せる状態が理想です。測量士から境界確認書を受け取ったら、その日のうちに不動産会社へデータを共有し、販売図面へ反映してもらいましょう。「名義変更・境界確定済み」という一言は買主に安心感を与え、問い合わせを増やすことができます。同時並行で進める行動が、売却スピードと最終的な手取り額を左右するのです。
 

不動産会社の査定と売却価格の設定

不動産会社が行う査定には大きく分けて机上査定と訪問査定の二種類があります。机上査定は、不動産の所在地・面積・築年数をもとに、過去の取引事例や公示地価、レインズ(不動産流通標準情報システム)に登録された成約価格データをアルゴリズムで照合して短時間で算出する方式です。訪問査定は、これに加えて担当者が現地で建物の劣化状況、接道幅、周辺環境、越境物の有無などを目視確認し、修繕コストや人気度合いを数値化して価格を微調整します。遠距離に住んでいても机上査定で概算をつかみ、訪問査定で確定させる二段構えにすることで、移動回数と時間を最小限に抑えられます。

査定の際にカギとなるのが、実勢価格データの読み解き方です。レインズには「昨年同じ町内で築30年の木造2階建てが1,700万円で成約」など詳細な情報が掲載されており、これを現在価値に換算するために建物の残存耐用年数や周辺インフラの変化を考慮します。また、国土交通省の不動産取引価格情報提供サイトでは、当該エリアの平均単価が1㎡あたり14.2万円といった統計も得られるため、複数ソースを重ね合わせると査定の精度が高まります。

売り出し価格を決めるときは、買主からの値引き交渉を織り込んだ「戦略的価格帯」を設定することが重要です。たとえば近隣の直近3件の成約価格が1,700万円・1,720万円・1,750万円だった場合、媒介契約直後に1,850万円で出稿し、内覧5件・問い合わせ10件を目標とします。2週間で目標を下回る場合は1,780万円に価格改定、さらに1カ月後に1,720万円へ調整するシミュレーションを営業担当と共有しておくと、値下げを感情論ではなく数値で管理できます。値引交渉で70万円下げても想定範囲内に収まり、心理的に余裕を持った交渉が可能になります。この販売戦略については、ぜひ営業担当に相談し、適切な提案をもらえる営業を選ぶとよいでしょう。ただ高いだけの目標を設定する営業もいますので、勢いだけでなく根拠も聞くと納得のいく戦略で売却することができます。

複数の不動産会社が提示する査定額に差がある場合は、各社のレインズ照会件数、価格改定のタイムライン、広告出稿媒体数を比較してください。査定額だけでなく売却戦略のロジックが提示されるかどうかが、パートナー選びの決め手になります。

売却活動をスムーズに進めるためのポイント

売却活動が停滞しやすい最大の原因は「何をいつまでに達成すれば合格か」という指標が曖昧なままスタートしてしまうことです。そこでまず、媒介契約を結んだ当日から目標を決めておくと、担当営業も家族も同じゴールを視覚的に共有できます。問い合わせ件数は「公開後14日以内に8件以上」、内覧率は「問い合わせの35%以上が現地・オンライン内覧に進む」、価格改定は「公開45日目の時点で内覧10件未満または購入申込ゼロなら5〜7%値下げ」というように、具体的な数値と期限をセットにするのがコツです。これにより、交渉力が最も高まる初動30日間を逃さずにすみます。

遠距離に住んでいると「現地の動きが見えず不安」という声が多いですが、実は営業担当の報告フォーマットを標準化するだけで大半のストレスは解消できます。おすすめはGoogleスプレッドシートを使ったレポートテンプレートで、列に「問い合わせ日時」「媒体(SUUMO/自社サイト等)」「顧客属性」「内覧希望日」「結果」を並べ、行を追加していくシンプルな設計です。担当者には週末までに入力を終えてもらい、月曜朝にリンクを確認する週次チェックルールを設定しましょう。コメント機能で質問を残せるので、時差のある海外在住者でもリアルタイム性を確保できます。

さらに、営業が出してくる週次レポートにKPI達成率を記載してもらうと、数字と感覚のズレがなくなります。例えば「今週の内覧率28%は目標35%を下回りました。主因は駅徒歩25分という立地への懸念が多かったため、来週は写真に最寄りバス停の時刻表を追加し、イメージ改善を図ります」のように、改善策までセットで報告してもらう形が理想です。売主はレポートを読みながら「改善施策が妥当か」「追加の販促費が必要か」を判断するだけで済むため、物理的な距離を意識する場面が大幅に減ります。

それでも一定期間で成約に至らない場合を想定し、プランBを初めから用意しておくと精神的な余裕がまるで違います。代表的な代替策は不動産買取です。不動産買取の場合、仲介価格の70〜80%程度にディスカウントされるものの、約14日程度で現金化でき、契約不適合責任(瑕疵担保責任)も免責になるメリットがあります。不動産仲介でチャレンジしながら、万が一の時は必要なタイミングで買い取ってもらいます。注意点としては不動産買取はどの会社でもやっているわけではありませんので、机上査定の際に買取もできるか確認しておきましょう。
 

媒介契約の種類と選び方

媒介契約は不動産会社と売主が取り交わす「販売活動のルールブック」です。実家を遠距離から売却する場合、連絡頻度や情報公開の範囲が契約ごとに異なるため、どの契約形態を選ぶかで売却スピードや最終手取り額が大きく変わります。ここでは専属専任・専任・一般という3種類の媒介契約を比較し、状況に応じた最適な選び方を解説します。

まず3契約の法定義務を整理すると次のようになります。
専属専任媒介:レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録が5営業日以内、販売状況の報告が最低週1回。
専任媒介:レインズ登録7営業日以内、報告頻度は2週に1回。
一般媒介:レインズ登録義務はなく、報告義務も任意です。
遠距離でこまめな進捗確認が難しい場合、報告義務が法律で担保されている専属専任と専任は「情報を自動的に受け取れる安心感」があります。

専属専任と専任は「1社限定」の契約で、一般媒介は複数社と同時契約が可能です。1社限定は責任の所在が明確になり、販売戦略が一本化されるメリットがありますが、囲い込み(他社顧客を拒んで自社で買主を見つけようとする行為)のリスクもゼロではありません。一般媒介は囲い込みリスクが低く販売チャネルが広がる一方、各社が優先順位を下げることで広告出稿や案内が手薄になりやすい点に注意が必要です。

契約更新や解約のペナルティも要チェックです。標準契約期間は専属専任と専任が3カ月、一般媒介は任意ですが、多くの会社が3カ月を基準にします。

囲い込み問題を避けるチェックリストも必須です。
1) レインズ登録完了証明書を発行してもらう
2) 問い合わせ履歴を定期共有してもらう
3) 自社買取契約への切り替え提案があった場合は同条件で他社にも査定依頼する
 —— の3点を押さえるだけで不透明な取引リスクを大幅に減らせます。
 

内覧対応と買主との交渉

遠距離に住んでいると、実家売却の山場である内覧対応をどう乗り切るかが大きな課題になります。しかし近年は鍵管理とオンライン内覧の仕組みが飛躍的に進化し、現地に足を運ばずに高品質な内覧体験を提供できるようになりました。ここでは鍵管理から買主との本格交渉まで、遠距離売主が押さえておきたい実践テクニックをまとめます。

まず鍵管理ですが、最も手軽なのは不動産会社が設置するキーボックスです。玄関脇に南京錠型のボックスを取り付け、暗証番号を担当者だけに共有する仕組みで、設置費用は5,000~8,000円程度と低コストです。ただし番号漏えいリスクを完全に排除できないため、よりセキュアにしたい場合はスマートロック導入が有効です。スマートロックはスマートフォンによる遠隔解錠が可能で、施錠履歴をアプリで確認できるため、内覧日時と開閉記録を突き合わせることで管理の透明性が高まります。代表製品の工事費込み導入費は2万~4万円ほどで、月額利用料は不要のものが主流です。

鍵管理の次は内覧方法のアップデートです。遠距離売主が増えたことで、不動産仲介業界では360度VR内覧サービスなどを使って買主を集める方法が増えてきました。撮影は360度カメラを使い、ワンルームであれば30分、戸建てでも2時間以内に完了します。VR内覧を導入した物件の問い合わせ件数が増えたとのデータもあり、優先度は高いです。内覧者が、物件の内覧前後にこのVRを活用することで、いつでも見れるようになります。残置物の問題がクリアできるのであればぜひ担当営業に相談してみましょう。

買主との交渉フェーズに入ると、瑕疵担保責任期間(契約不適合責任期間)と設備保証が鬼門になりがちです。中古住宅の標準契約では引き渡し後2~3カ月の責任期間が多いのですが、遠距離売主の場合は修繕指示や現地確認が難しいため、短縮や免責を提案するケースが少なくありません。ただし期間をゼロにすると心理的ハードルが上がり、値下げ要求が発生しやすくなります。ポラスでは売却応援サービス「UCHIサポ」を提供しており、安心して売却することができます。

値下げ要求への対抗策として効果的なのが付帯設備の譲渡と引渡時期の調整です。例えば買主が100万円の値引きを求めた際、同時に冷蔵庫・洗濯機・学習机など大型家具一式を残置する条件を提示したところ、搬出コストと購入費を加味した買主が50万円減額で妥結した事例があります。売主側は廃棄費用を節約でき、買主は初期費用を抑えられるウィンウィンの結果です。

これらのテクニックを最大化するには、不動産会社との事前打ち合わせが不可欠です。鍵管理方法、オンライン内覧シナリオ、責任期間の提示方法、交渉時の譲歩ラインをしっかり相談し、担当者と共有しておきましょう。遠距離でも事前準備がしっかりしていれば、内覧対応と買主交渉は「不在だから不利」ではなく「最新ツールで効率的」という武器に変わります。
 

不動産買取という選択

相続した実家を「とにかく早く、確実に現金化したい」と考える方にとって、不動産買取は有力なカードになります。買取とは、不動産会社や再販業者が売主から直接物件を買い取り、リフォーム後に転売するスキームです。仲介のように買主を探す期間がないので、現金化まで約14日程度といわれ、遠距離で頻繁に現地対応できないオーナーに適しています。

最大のメリットは二つあります。第一にスピードです。不動産仲介では、一般的に3カ月以内に売却できる価格を提示し販売活動を行います。広告で買主が早く見つかる場合もあるかもしれませんが、3カ月以内に売却できないことも数としては多くあります。不動産買取であれば、広告もおこないませんので、2週間程度で契約を結ぶことができます。第二に瑕疵担保責任(契約不適合責任)を免責にできる点です。シロアリ被害や雨漏りなど売却後のトラブルリスクを背負わずに済み、精神的な負担を大幅に軽減できます(ポラスの買取サービス)。

買取を検討する際は「仲介で3カ月売れなかったら買取へ切り替え」というハイブリッド戦略が合理的です。具体的なタイムラインは下記のイメージです。
1週目: 仲介専任媒介契約を締結、販売開始
4週目: 内覧件数と反響を評価し、価格改定の可否を判断
8週目: セカンドオピニオンとして買取業者へ簡易査定依頼
12週目: 売却決定が難航していれば買取に方向転換、
14週目に決済完了
この流れなら、市場価格での売却チャンスを確保しつつ、長期化リスクも抑えられます。(ポラスの買取保証付仲介サービス※利用には条件があります)

遠距離でも安心して実家を処分するための工夫

遠距離に住んでいると、実家が空き家になってからの管理コストや防犯リスクが頭から離れません。移動に片道2~3時間かかるケースでは、交通費と時間を合わせて年10万円以上を費やしている例が珍しくないからです。そこで「現地に行かずに安心を確保する仕組み」を整えることが、効率的な処分計画の第一歩になります。
 

定期的な管理が難しい場合の対策

遠距離に住んでいると、実家に足を運ぶ回数が限られます。その結果、建物の劣化や第三者による被害に気づくタイミングが遅れがちです。例えば、屋根瓦が台風で飛ばされて雨漏りが発生し、気付いたときには天井裏の梁が腐って修繕費用が150万円に膨らんだ事例があります。水道管の凍結破裂を半年放置し、内部のカビ除去と床板交換で総額90万円かかったケースも報告されています。不法侵入による窓ガラス破損と室内荒らしでは、ガラス交換・清掃・鍵交換で計45万円が必要でした。放置すると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が約4倍に跳ね上がるリスクもあるため、経済的ダメージは想像以上です。

こうしたリスクを抑える一手が管理委託契約です。一般的な空き家管理サービスでは、月1回訪問プランが6,000〜10,000円、隔月訪問プランが4,000〜7,000円が相場です。サービス内容は戸締り確認、通気・換気、簡易清掃、郵便物転送が基本セットで、オプションとして庭木剪定が年2回で20,000〜30,000円、防草シート施工が30㎡あたり15,000円などがあります。訪問頻度が高いほど費用は上がりますが、早期発見による修繕コスト圧縮効果を考えると、月1回プランでも十分に採算が取れることが多いです。(ポラスの空き家管理サービス
 

遠方の不動産会社選びのポイント

遠距離に住みながら実家を売却する場合、「地元の相場に詳しい」「リモートでスムーズに連絡が取れる」という二つの条件を同時に満たす不動産会社を選ぶことが成功のカギになります。地域密着度とリモート対応力、この両輪をどう見極めるかを具体的に解説します。

まず地域密着度です。候補となる会社の店舗が主要駅のみならず、各駅停車しか止まらない駅などにもにあるか確認し、直近1年間の成約件数と平均成約期間を尋ねると実力が透けて見えます。さらに「過去に空き家を何件扱ったか」を尋ねると、空き家特有の売りづらさを理解しているかも分かります。

次にリモート対応力です。電子署名やオンライン面談(Zoom、Google Meetなど)の導入状況、週次の進捗レポートをチャットツールで送ってくれるかを確認しましょう。紙の契約書を郵送で回す体制しかない会社は遠距離案件には不向きです。360度VR内覧の制作実績があるかも評価ポイントになります。

複数社を比較するときに有効な質問リストを用意しておくと商談がスピーディーです。例として「販売戦略はネット広告重視か地元チラシ重視か」「囲い込み防止のため他社客付けを拒否しないか」「問い合わせ数が月に何件以下なら価格戦略を見直すか」「週次報告のフォーマットはエクセルかオンラインダッシュボードか」「レインズ登録後の公開開始日はいつか」など、すべて定量的な回答を求めると判断材料になります。

地元の相場に精通し、オンラインでこまめに状況を共有してくれる会社を選べば、移動コストとストレスを大幅に削減できます。候補企業には上記指標と質問リストを用いて徹底的にヒアリングし、手数料や契約条件を交渉材料にしながら、納得できるパートナーを見つけてください。
 

実家処分に関するトラブル回避のコツ

実家を処分するプロセスでは、感情や法律が複雑に絡み合うため、わずかな行き違いが深刻なトラブルへ発展しがちです。特に「共有者間対立」「境界紛争」「契約不適合責任」の三つは発生頻度が高く、追加コストの発生を招いた事例があります。

共有者間対立の典型例として、三人きょうだいのうち一人だけが遠方在住で話し合いに参加できず、売却時期と価格を巡って意見が割れたケースが挙げられます。この家庭では、最終的に売却が一年遅れ、固定資産税や空き家管理費用として約85万円が余計にかかりました。原因は「何をいつ誰が決めるか」を共有者全員で合意した文書が最初から存在しなかったことです。

こうした対立を防ぐには、早い段階で「共有者合意書」を作成するのが効果的です。合意書には
1) 売却・解体など出口方針、
2) 必要経費の負担割合、
3) 意思決定方法(多数決か全員一致か)
を明記し、全員が署名押印します。市販のひな形をベースに弁護士へリーガルチェックだけ依頼すると、作成コストを3万円前後に抑えつつ法的拘束力を高められます。

次に境界紛争の事例です。築50年の木造住宅を更地にして売却しようとしたところ、隣地所有者から「ブロック塀は本来こちらの敷地だ」と主張され、境界確定のための現地立会いと測量をやり直す羽目になりました。測量士費用と工事の遅延損失を合わせて約120万円が追加出費となり、買主がいったん撤退する事態にまで発展しています。

境界トラブルのリスクを最小化するには、売却準備の初期に土地家屋調査士へ依頼し、隣地立会いまで含めた「境界確定図」を取得しておくことが重要です。費用発生しますが、売買契約白紙化を回避できる保険と考えれば十分に合理的な投資と言えます。

三つ目の契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)では、シロアリ被害を告知せずに売却した例が有名です。引き渡し後に床が抜け、買主から改修費と代替住居費を合わせて損害賠償請求を受けました。売主は「知らなかった」と主張しましたが、床下に大量の木くずが残っていたことから「注意を払えば発見できた」と判断され、最終的に全額負担となっています。

未然防止には、建物状況調査(インスペクション)を実施し、その結果を買主へ開示しておく方法が有効です。ポラスでは建物診断サービスを提供しています。

万が一クレームが発生した場合は、感情的なやり取りを避け、次のフローで行動すると損害の拡大を防げます。
ステップ1:事実確認—相手の主張内容と証拠(写真・書類)を整理。
ステップ2:専門家へ連絡—48時間以内に不動産会社へ状況を共有し、法的リスクを評価。
ステップ3:解決策の提示—修繕・値引き・契約解除など複数案を比較し、書面で提案。
ステップ4:合意と履行—合意内容を合意書にまとめ、期日を明示して実行。

これらの対策を計画的に組み込むことで、実家処分の道のりは格段にスムーズになります。感情面での軋轢と金銭面での想定外コストの双方を抑えられるため、遠距離に住んでいても安心して手続きを進められるでしょう。

実家処分を成功させるためのまとめ

実家の処分を実行する際に迷わないよう、期限付きチェックリストを用意しました。プリントして貼る、スマホのリマインダーに登録するなど活用してください。

【7日以内】
□ きょうだいグループチャットを開設し、今週末までに遺産分割協議のオンライン日程を確定
□ 被相続人の戸籍謄本・固定資産税納税通知書を取得し、共有ドライブにアップロード

【30日以内】
□ 司法書士・税理士・不動産会社の無料相談をそれぞれ2社ずつ相見積もり
□ 遺品整理業者3社に写真見積もりを依頼し、概算費用をエクセルで比較
□ 測量士へ境界立会いスケジュールを打診

【90日以内】
□ 不動産会社と媒介契約を締結し、販売価格と価格改定ルールを文書化
□ VR内覧用の360度写真を撮影してオンライン広告を公開
□ 3カ月で成約しなければ買取へ切り替える条件を家族で合意

期限を具体化することで先延ばしグセを封じ込め、結果として管理費や草刈り費用など“じわじわ系出費”を年間数十万円単位で抑えられます。

実家を無事に手放せば、新しいスタートラインが見えてきます。売却益を老後資金に回して資産運用を始める人もいれば、子どもの教育資金一括払いで家計を身軽にする人もいます。空き家という重荷を下ろしたことで、親子関係が穏やかになったという声も少なくありません。

行動は早いほどメリットが大きく、遅れるほど損失が拡大します。今夜、グループチャットに「相続登記を進めよう」と一言投稿するだけで、時計の針は動き始めます。シンプルな第一歩が、家族全員の未来を軽くする近道です。
 

事前準備の重要性

実家の処分をスムーズに進めるかどうかは、着手前の準備にどれだけ本気で取り組むかで決まります。タスクが複雑に絡み合うため、行き当たりばったりでは必ず抜け漏れが起こり、結果としてコストも時間も余分にかかってしまいます。

まず導入したいのが期限管理シートです。Googleスプレッドシートを使い、行に「遺産分割協議書作成」「相続登記」「名義変更」「不用品処分」などのタスク、列に「担当者」「着手日」「締切」「進捗率」を設定します。条件付き書式で締切が近いセルを赤くするだけで、家族全員が危険信号を一目で把握できるようになります。

次に費用試算Excelのテンプレートも欠かせません。シート1に「仲介手数料」「印紙税」「測量費」「残置物処分費」「解体費」の見積額、シート2に「譲渡所得税シミュレーション」を組み込み、売却想定価格を入力すれば自動で手取り額が算出される設計にします。複数のシナリオを比較すると、最適な出口戦略が数字で見えてきます。

情報共有には家族共有クラウドが威力を発揮します。Google DriveやDropboxに「01_書類」「02_見積書」「03_写真」の三つのフォルダを作成し、スマホで撮った遺言書の画像や業者の見積PDFを即時アップロードします。離れて暮らす兄弟がリアルタイムで確認できるため、「最新書類はどこ?」というストレスがゼロになります。
 

実家処分を通じて得られる新たなスタート

長年そのままにしていた実家を手放すと、まとまった現金が手に入るだけでなく、人生設計そのものをアップデートするチャンスが生まれます。固定資産税や維持管理費という「出ていくお金」を止めて、「将来に向けて増やすお金」へ置き換えることで、家族全体の安心感が大きく変わる例が増えています。

実家を手放すことは心の整理にも直結します。グリーフケアとは、大切な人や場所を失った悲しみを和らげ、前向きな感情を取り戻すプロセスのことです。大量の家財を仕分けし、写真や手紙など本当に残すべきものだけを選ぶ作業は、自分のルーツを見つめ直す貴重な時間になります。「物理的に片付くと、心の中にもスペースが生まれる」という参加者の声は多く、心理的負担が軽くなった結果、新しい趣味や副業に挑戦するエネルギーが湧いたという報告もあります。

実家処分は「終わり」ではなく、「新たなスタートライン」と捉えることができます。売却益を活用した資産形成、子どもの将来投資、地域活性化への寄与、そして心のリセット——これらを組み合わせることで、実家じまいは家族と社会の未来を明るく照らすプロジェクトへと変わります。

監修者

コラム監修者 岩本大介
岩本 大介(いわもと だいすけ)

相続診断士(一般社団法人 相続診断協会)
不動産終活士・不動産終活アドバイザー(一般社団法人 不動産終活支援機構)
終活セミナー講師認定資格(一般社団法人終活協議会)
福祉住環境コーディネーター2級
不動産営業及びマーケターとして20年以上従事。
シニアやその子世代に寄り添い、
不動産のエキスパートとして
不動産の相続・空き家問題に取り組む。

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