離婚による不動産の名義変更について知りたい方へ
- 必要な書類や費用、税金について解説
- 離婚による名義変更をする場合の注意点
- 住宅ローンの名義変更についても解説します
例えば妻と子どもがそのまま住み続け、夫が家を出て行く場合、「家の所有権(名義変更)は?」「住宅ローンはどうなるの?」など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。
この記事では、離婚による不動産の名義変更の注意点と、その方法について解説します。
目次
離婚時に不動産(家)の名義変更はできるのか
離婚により夫が出て行き、妻が家に住み続けることになった場合、家の名義を夫から妻へ変更することはできるのでしょうか?
住宅ローンが既に完済されている場合には、法務局に登記申請をすることで名義変更は可能です。ただし、登記申請をして所有権を移転すると、登録免許税や不動産取得税が課税されます。その他にも、手続きを代行してくれる司法書士に支払う手数料なども必要です。
住宅ローンが残っている物件の名義変更をする場合は、基本的に金融機関の承諾を得る必要があります。万が一、無断で名義変更をしてしまうと、契約違反になってしまうこともあるので注意が必要です。
離婚時の不動産の名義変更に必要な書類
離婚時の不動産名義変更に必要な書類は、以下の通りです。
・財産分与があったことを証明する書類(財産分与協議書など)
・登記名義人の印鑑証明書
・財産分与を受けた人(登記権利者)の住民票
・不動産の登記識別情報または登記済証
・不動産の固定資産評価証明書
・戸籍謄本
不動産の名義変更時にかかる費用や税金
名義変更にかかる費用や税金に関して、よくある疑問とともに解説します。
名義変更に必要な費用一覧
不動産を名義変更する場合、登記に必要な費用を含めてさまざまなお金がかかります。一般的に名義変更で必要な費用は、以下の通りです。
・契約時の印紙税
・登記に必要な書類発行の手数料
・登録免許税
・司法書士への報酬
上記の費用の中で、名義変更の理由によって大きく変わるのが登録免許税です。
登録免許税は固定資産評価額に対して、登記原因に応じて異なる税率をかけて計算します。
・相続:1000分の4(0.4%)
・贈与/離婚/売買:1000分の20(2%)
また、印紙税も契約書の金額によって税額がかわります。
・10万円を超え50万円以下のもの:200円
・50万円を超え100万円以下のもの:500円
・100万円を超え500万円以下のもの:1,000円
・500万円を超え1,000万円以下のもの:5,000円
・1,000万円を超え5,000万円以下のもの:1万円
・5,000万円を超え1億円以下のもの:3万円
財産分与で贈与税は発生する?
財産分与では、財産分与を受ける方に原則として贈与税はかかりません。財産分与には夫婦の財産関係の清算と、離婚後の生活保障の意図があるからです。ただし、分与された財産が婚姻中に築いた財産よりも明らかに多い場合は、贈与税が課されることもある点に注意しましょう。
また、財産を分与する側には譲渡所得税が発生することもあるため、双方ともに注意が必要です。
不動産を売却した場合、税金がかかる?
不動産を売却した場合、以下の税金がかかります。・契約時の印紙税
・登記時の登録免許税
・不動産会社に支払う仲介手数料の消費税
・所得税
・住民税
・復興特別所得税
上記の中でも所得税・住民税・復興特別所得税は、所有期間5年以下の短期譲渡所得か、5年超または10年超の長期譲渡所得かによって税率が異なります。
不動産の名義変更する場合の注意点
住宅ローンが残っている不動産の名義変更をするのは、決して簡単なことではありません。
まず、しっかりと理解しておきたいことは、不動産の名義と住宅ローンの名義は全くの別ものだということです。たとえ家の名義を夫から妻へ変更したとしても、住宅ローンの名義が夫になっている以上、夫がローンの支払い義務を負います。
とはいえ、実際には住宅ローンが残っている状態で、不動産の名義のみを変更することは、あまり現実的ではありません。
なぜなら、住宅ローンを借りるときには、銀行と「金銭消費賃借契約」というものを締結していて、住宅ローンの対象となる不動産の名義変更をする場合には、事前に銀行の承諾を得ることを義務づけられているケースがほとんどだからです。
銀行に無断で家の名義を変更することは契約違反と見なされ、最悪の場合には、住宅ローンの一括返済を求められるケースもあります。
どうしても不動産の名義を変更するのであれば、住宅ローンの名義変更と合わせて行うか、住宅ローンの完済を待って不動産の名義変更を行うことも可能です。
住宅ローンの名義を変更する3つの方法
住宅ローンの名義を変更するのは実はかなり大変なことで、なかなか銀行の許可がおりないものだということを理解しておきましょう。
とはいえ、方法が全くないわけではありません。以下の3つの方法であれば、実現の可能性が高くなるはずです。
方法① 住宅ローンの借り換えをする
妻が新規で住宅ローンを契約して、残りの住宅ローンを支払っていく方法です。ただし、この方法が実現するには、妻が正社員として働いていて安定した収入を得られていることが大前提です。方法② 連帯債務や連帯保証人を、ほかの人に変わってもらう
夫が住宅ローンを借りていて、妻がその連帯保証人になっていた場合、離婚によって連帯保証人から外れるためには、連帯保証人をほかの人に変わってもらうことで可能なケースもあります。ただし、連帯保証人の変更を認めるか否かは銀行が判断することで、認められないケースも多いことを承知しておきましょう。
方法③ 共有名義をどちらかに統一する
夫婦で連帯債務を負っている場合、共有名義をどちらか一方に統一させることは可能です。ただし、その場合は単独名義となる側に、安定した収入や返済能力があることが条件です。困ったときは専門家にご相談を
離婚による不動産の名義変更には、住宅ローンの組替えをはじめとした、さまざまな手続きが発生します。
万が一のときには司法書士や税理士、不動産業者などのプロに相談してアドバイスをもらうようにしましょう。
不動産の売却は、お気軽にポラスまでご相談ください。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。