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【完全ガイド】リースバックの仕組みとは?メリット・デメリットから活用事例まで徹底解説

「住み慣れた自宅で暮らし続けたい、でもまとまった資金が必要…」そんな悩みを解決する手段として注目されているのが「リースバック」です。
本記事では、リースバックの基本的な仕組みから、利用するメリット・デメリット、具体的な活用事例、さらには後悔しないための会社の選び方まで、専門家の視点で徹底的に解説します。リースバックを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
こんな方におススメ
- リースバックについて知りたい
- リースバックを検討している
- まとまったお金が必要
- 自宅の処分を考えている
目次
リースバックの基本|住みながら自宅を売却できる仕組み
リースバックとは、一言でいえば「ご自身の家を売却した後も、賃貸としてそのまま住み続けられる」サービスです。売却と賃貸を組み合わせることで、所有権は手放しますが、生活環境を変えることなく資金を調達できるのが最大の特徴です。
リースバックの仕組みを解説
リースバックの仕組みは、以下の2つの契約を同時に行うことで成り立っています。
- 売買契約:あなた(所有者)が、自宅をリースバック会社や投資家に売却する契約です。この契約により、あなたは売却代金としてまとまった現金を一括で受け取ります。この時点で、家の所有権は買主に移転します。
- 賃貸借契約:売却した家を、あなた(借主)が買主(貸主)から借りるための契約です。この契約に基づき、あなたは毎月家賃を支払うことで、売却後も同じ家に住み続けることができます。
つまり、「売主」でありながら、同時に「借主」にもなるのがリースバックの大きな特徴です。この仕組みにより、引っ越しをすることなく、住み慣れた環境を維持したまま資金問題を解決できるのです。
対象となる不動産の種類
リースバックの対象となる不動産は、非常に幅広く、基本的には売買可能な不動産であれば利用できる可能性があります。
- 居住用不動産:戸建て、マンション(区分所有)
- 事業用不動産:店舗、事務所、倉庫、工場
- その他:土地、駐車場、店舗付き住宅など
多くのリースバック会社は戸建てやマンションを主な対象としていますが、会社によっては事業用の不動産や土地のみを専門に扱うところもあります。築年数が古い物件や、地方の物件であっても、会社の査定基準によっては利用できるケースが多いため、まずは諦めずに相談してみることが重要です。
リースバックを利用する5つのメリット
リースバックには、他の資金調達方法にはない独自のメリットがあります。ここでは代表的な5つのメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット1:早期にまとまった資金を調達できる
最大のメリットは、資金調達のスピードです。通常の不動産売却では、広告を出して買主を探し、内覧対応、価格交渉などを経るため、売却完了まで数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。
一方、リースバックは不動産会社が直接の買主となるため、買主を探す手間がかかりません。査定から契約、そして売却代金の入金までが非常にスピーディーで、最短で数週間から1ヶ月程度で完了します。急な医療費、事業の運転資金など、緊急でまとまったお金が必要な場合に非常に有効な手段です。
メリット2:引っ越しの手間や費用がかからない
自宅を売却しても、そのまま住み続けられるため、引っ越しの必要が一切ありません。新しい住まいを探す手間や、引っ越し業者に支払う費用、新しい住居の敷金・礼金といった初期費用も不要です。
また、住み慣れた地域や家を離れる精神的な負担がないことも大きなメリットです。お子さんの学区を変える必要がなく、ご近所付き合いもそのまま維持できるため、家族の生活環境を大きく変えたくない方にとって、理想的な選択肢となり得ます。
メリット3:固定資産税などの維持費が不要になる
不動産を所有していると、毎年「固定資産税」や「都市計画税」といった税金がかかります。また、マンションの場合は「管理費」や「修繕積立金」、戸建ての場合は将来の修繕費用や火災保険料なども所有者の負担です。
リースバックを利用して所有権を手放すことで、これらの維持費を支払う義務がなくなります。毎月の支払いは家賃のみ(管理費等が家賃に含まれる場合)となり、将来の突発的な出費を心配する必要がなくなるため、家計の管理がシンプルになります。
メリット4:将来的に買い戻せる可能性がある
リースバック契約時に「買戻し特約」を付けておくことで、将来的に資金的な余裕ができた際に、一度売却した自宅を買い戻すことが可能です。
「今は資金が必要で仕方なく手放すけれど、いつかは取り戻したい」という想いがある方にとって、この「買い戻しの選択肢」が残されていることは大きな精神的な支えになります。ただし、買い戻しには期間や価格の条件があるため、契約内容を十分に確認する必要があります。
メリット5:周囲に知られずに売却できる
通常の不動産売却では、インターネット広告やチラシなどで物件情報が公開され、不特定多数の人が内覧に訪れます。そのため、ご近所の方や知人に「家を売りに出している」ことが知られてしまう可能性があります。
リースバックの場合、不動産会社との直接取引となるため、このような売却活動は一切行われません。見た目上は何も変わらず、そのまま住み続けるため、プライバシーを守りながら売却手続きを進めることができます。
注意すべきリースバックの4つのデメリットとリスク
デメリット1:売却価格が市場相場より安くなる傾向
リースバックの売却価格は、通常の市場価格で売却する場合に比べて、7割〜9割程度と安くなる傾向があります。
これは、買主であるリースバック会社が、家賃収入による投資利回りや、将来あなたが買い戻さなかった場合の再販リスク、登記費用などの諸経費を考慮して価格を算出するためです。そのため、「できるだけ高く売りたい」という方には、通常の不動産売却の方が適している場合があります。
デメリット2:家賃が周辺相場より高くなる可能性
リースバック後の家賃は、近隣の同じような物件の賃貸相場よりも高く設定されることが一般的です。家賃は「売却価格 × 期待利回り(年率)」で算出されることが多く、買主の投資採算が反映されるためです。
例えば、2,000万円で売却し、年間の期待利回りが8%だとすると、年間家賃は160万円(月額約13.3万円)となります。この家賃を長期的に支払い続けられるか、ご自身の収入や年金と照らし合わせて、慎重にシミュレーションする必要があります。
デメリット3:所有権を失う(リフォーム・建て替え不可)
売却後はあくまで「賃貸物件」に住むことになるため、所有権は買主に移ります。そのため、これまでのように自分の判断で自由にリフォームや増改築、建て替えを行うことはできません。壁に釘を打つといった軽微なことであっても、貸主(リースバック会社)の許可が必要になる場合があります。
「自分の家」という感覚で住み続けることはできますが、法的な権利関係は大きく変わるということを認識しておく必要があります。
デメリット4:買い戻し価格が高額になる場合がある
将来的に買い戻す際の価格は、一般的に売却した時よりも高くなります。目安としては、売却価格の1.1倍〜1.3倍程度に設定されることが多いです。
これは、買主が負担した不動産取得税や登記費用、固定資産税などの経費や、一定の利益が上乗せされるためです。将来的な買い戻しを視野に入れている場合は、契約時に「いつまでに」「いくらで」買い戻せるのか、その条件を明確に確認することが極めて重要です。
リースバックはどんな人におすすめ?具体的な活用事例
メリットとデメリットを踏まえた上で、リースバックはどのような方に適しているのでしょうか。具体的な活用事例を見ていきましょう。
■ケース1:老後資金や年金だけでは生活費が不足している
退職後、年金収入だけでは思ったようにゆとりのある生活が送れない、というケースです。リースバックで自宅を現金化し、その資金を生活費に充てることで、生活水準を維持しながら住み慣れた家で暮らし続けることができます。リバースモーゲージの年齢制限に合わない方にも有効です。
■ケース2:事業資金や子どもの教育資金など一時的な資金が必要
事業の運転資金や設備投資、子どもの進学費用など、特定の期間にまとまった資金が必要になるケースです。銀行融資の審査が間に合わない、または審査に通らなかった場合でも、リースバックなら迅速に資金を調達できます。数年後に事業が軌道に乗ったり、家計に余裕ができたりしたタイミングで買い戻すという計画も立てられます。
■ケース3:住宅ローンの返済が困難になった
収入の減少などにより、住宅ローンの返済が苦しくなった場合にも活用できます。このまま滞納が続くと、最終的には自宅が「競売」にかけられてしまいます。競売になると市場価格より大幅に安く売却され、強制的に退去させられます。
その前にリースバックを利用すれば、売却代金でローンを完済し、競売を回避できます。そのまま住み続けながら生活を立て直し、将来的に買い戻しを目指すことも可能です。
■ケース4:相続資産を現金化して整理したい
親から相続した不動産を、複数の兄弟で公平に分割したい、というケースです。不動産のままでは分けにくいため、リースバックで現金化し、その現金を相続分に応じて分配します。相続人のうちの一人がその家に住み続けたいと希望している場合などに、円満な解決策となり得ます。
リースバックと他の資金調達方法との比較
自宅を活用した資金調達には、リースバック以外にも方法があります。代表的な「リバースモーゲージ」と「通常の不動産売却」との違いを比較してみましょう。
リバースモーゲージとの違い
リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借りる、高齢者向けのローン商品です。
- 所有権:リースバックは「移転する」、リバースモーゲージは「移転しない(担保に入れるだけ)」。
- 資金使途:リースバックは「原則自由」、リバースモーゲージは「生活資金などに限定」されることが多い。
- 契約対象者:リースバックは「年齢制限なし」、リバースモーゲージは「55歳以上など高齢者限定」が一般的。
- 税金:リースバックは固定資産税の支払いが「不要」になるが、リバースモーゲージは所有者なので「必要」。
- 契約終了時:リースバックは「退去 or 買い戻し」、リバースモーゲージは契約者死亡後に「自宅を売却して借入金を返済」する。
通常の不動産売却(住み替え)との違い
自宅を売却して、別の賃貸物件などに引っ越す方法です。
- 売却後の居住:リースバックは「住み続けられる」、通常売却は「引っ越しが必要」。
- 売却価格:リースバックは「相場より安め」、通常売却は「市場価格で売れる可能性」がある。
- 売却スピード:リースバックは「速い」、通常売却は「買主探しに時間がかかる」。
- 諸費用:リースバックは「引っ越し費用などが不要」、通常売却は「引っ越し費用や新居の初期費用が必要」。
失敗しない!リースバック会社の選び方と契約時の5つのチェックポイント
リースバックで後悔しないためには、信頼できる会社を選び、契約内容をしっかり確認することが不可欠です。以下の5つのポイントを必ずチェックしましょう。
- 複数の会社から査定・見積もりを取る
リースバックの売却価格や家賃設定は、会社によって大きく異なります。1社だけの提案を鵜呑みにせず、必ず複数の会社(できれば3社以上)から査定・見積もりを取りましょう。これにより、条件を比較検討でき、ご自身の状況に最も合った、有利な条件の会社を見つけることができます。
- 賃貸借契約の種類(普通借家か定期借家か)を確認する
これは最も重要なチェックポイントの一つです。賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
- 普通借家契約:あなたが希望する限り、貸主側に正当な理由がなければ契約を更新できます。長期的に安心して住み続けたい場合は、こちらが断然有利です。
- 定期借家契約:契約期間が満了すると、契約は終了します。再契約できる場合もありますが、貸主が拒否すれば退去しなければなりません。
契約がどちらの種類なのか、必ず書面で確認してください。
- 家賃や管理費が適正な価格か確認する
提示された家賃が、ご自身の収入に対して無理なく支払い続けられる金額か、冷静に判断しましょう。周辺の家賃相場と比較することも大切です。また、家賃以外に管理費や共益費、契約更新時の更新料などがかかるかどうかも事前に確認しておきましょう。
- 買い戻し条件(価格や期間)を明確にする
将来的な買い戻しを少しでも考えているなら、契約書に「買戻し特約」が盛り込まれているか、その内容を隅々まで確認してください。特に、「いつからいつまで買い戻せるのか(買戻し期間)」と「いくらで買い戻せるのか(買戻し価格)」の2点は、口頭での説明だけでなく、契約書に明確に記載されていることを確認しましょう。
- 実績が豊富で信頼できる運営会社を選ぶ
リースバックは比較的新しいサービスのため、会社の信頼性を見極めることが重要です。会社のウェブサイトで設立年や資本金、過去の取引実績などを確認しましょう。大手不動産会社や金融機関系の会社は安心感が高い傾向にあります。また、問い合わせや面談時の担当者の対応が丁寧で、メリットだけでなくデメリットもきちんと説明してくれるかどうかも、信頼できる会社を見分けるための重要な判断材料です。
リースバックに関するよくある質問(Q&A)
最後に、リースバックに関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 住宅ローンが残っていても利用できますか?
A1. はい、利用できます。ただし、リースバックによる売却代金で、住宅ローンの残債をすべて完済できることが条件となります。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態では、原則としてリースバックは利用できません(自己資金で差額を埋める場合は可能)。
Q2. 家賃を滞納するとどうなりますか?
A2. 一般的な賃貸契約と同じです。家賃の滞納が続くと、リースバック会社(貸主)から契約を解除され、最終的には家を退去しなければならなくなります。リースバックを利用する際は、長期的に家賃を支払い続けられるかしっかりとした資金計画を立てることが大前提です。
Q3. 必ず買い戻さなければいけませんか?
A3. いいえ、その必要はありません。買戻しはあくまで「権利」であり、「義務」ではありません。将来、資金の目処が立たなかったり、心境の変化で別の場所に住みたくなったりした場合は、買い戻しをせず、賃貸契約の期間満了時に退去するという選択も自由です。
まとめ:リースバックはメリット・デメリットを理解し、計画的な利用が重要
リースバックは、「住み慣れた家を離れることなく、まとまった資金をスピーディーに手に入れられる」という、非常に魅力的な仕組みです。老後資金の確保や急な出費への対応など、様々なニーズに応える有効な解決策となり得ます。
しかしその一方で、売却価格が相場より安くなったり、家賃が割高になったりするデメリットも存在します。
大切なのは、これらのメリットとデメリットを天秤にかけ、ご自身のライフプランや資金計画にとって、リースバックが本当に最適な選択肢なのかを冷静に見極めることです。そして、利用すると決めた際には、複数の会社を比較し、契約内容を隅々まで理解した上で、慎重に手続きを進めましょう。
この記事が、あなたの後悔のない選択の一助となれば幸いです。
監修者

岩本 大介(いわもと だいすけ)
相続診断士・
不動産終活士・不動産終活アドバイザー・
終活セミナー講師認定資格・
福祉住環境コーディネーター2級
不動産営業及びマーケターとして20年以上従事。
シニアやその子世代に寄り添い、
不動産のエキスパートとして
不動産の相続・空き家問題に取り組む。
















