
この販売計画とはどのようなもので、何を重視して立てるべきなのでしょうか。
ここでは理想的な販売計画を立てるために知っておきたいことをご紹介しましょう。
販売計画の必要性
マンションなどの不動産物件を短期間で売るのは簡単なことではありません。
とはいえ、売れるまでの期間が長くかかりすぎるのは困るという人もいるでしょう。
そこで肝心なのは、金額はある程度妥協してでもなるべく早いうちに売却したいのか、時間がかかっても納得のいく金額で売却したいのか、といった方針を先に決めることです。
ほかにも、物件の特性や条件、売主の事情などによって、どのような売り方をしていくかを検討する必要があります。
これが販売計画で、売主と不動産会社で綿密な打ち合わせをしながら、最適な売り方とスケジュールを考えたいところです。
販売計画の例
では、具体的な販売計画とはどのようなものなのでしょう。
一般的な販売までの流れはこうです。
まず不動産会社が物件調査を行い、査定額を提示します。
査定は場所、物件の広さ、築年数などの情報をもとに行う簡易査定のほか、現地を訪問して行う訪問査定があります。
ほかにも権利関係や法令上の制限に関する調査もあります。
売却査定が終了し、その不動産会社に仲介を依頼することを決めたら、会社と媒介契約を結ぶことになります。
ここからが不動産販売の開始です。
不動産会社は販売図面を作成し、その情報をレインズ(指定流通機構によるコンピュータネットワークシステム)に登録して、業界内の業者が物件情報を参照できるようにします。
また、自社のサイトや不動産ポータルサイトにも物件情報を掲載し、サイトや新聞折り込みチラシ、ポスティングなどによる広告展開も行います。
物件によっては単独チラシやDMを作成することもあります。
さらに購入希望者が物件を見学するオープンハウスを企画することもあります。
その後、問い合わせ状況や市場の動きを見ながら、必要なら価格の見直しが行われます。
売却開始からここまでは、少なくとも1カ月程度はかかります。一般的に物件が高く売れる時期は、売り出してから3カ月以内が目安といわれます。
それ以上長引くと、なかなか買い手が現れないことが多いということです。
ただし、最初から販売期間を半年間と計画しておいた場合はその限りではありません。
それぞれのケースに応じて期間やディテールの調整を行って、販売計画を立てることが大切です。
販売計画を明確に立てるコツは?
販売計画は媒介契約を行った不動産会社が作成します。
売主は、査定依頼時に間取り図や権利証書など必要書類を用意しておく必要がありますが、販売計画については基本的に売却目的や希望条件を告げて業者に任せる形になります。
しっかりとした販売計画を立ててもらうには、まずは査定の結果を見ながら、信頼できる不動産会社を選んで媒介契約を結ぶことが第一のポイントになるでしょう。
担当者とコミュニケーションが十分に取れそうか、計画的に販売・広告・営業活動を行ってくれそうかといった点を見極めることです。
販売計画をどのように立ててくれるのかを直接、聞いてみるのももちろん有効です。
なお、媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
それぞれメリット・デメリットがありますが、簡単にいえば一般媒介契約を選んで多数の不動産会社と契約を締結する場合には、不動産会社側には販売報告の義務はなく、レインズへの登録の義務もなくなります。
対して、専属専任もしくは専任の場合はこのいずれに対しても義務が生じます。
この2つは売買契約が成立すれば必ず契約した不動産会社に手数料が入ることになるため、より積極的で内容の濃い販売活動を行う傾向が高くなります。
明確な販売計画を求めるなら、契約の際、専属専任もしくは専任を選んだほうがいいでしょう。
販売計画はどんなスケジュールでどんな売り方をしていくかを決めるものですが、そこには価格の設定や、買主が現れたときにどのタイミングで売却をしたほうがいいかなど、戦略的な要素も含むものです。
そうした意味でも、どんな不動産会社を選ぶかが大きなウェイトを占めます。
結局はしっかりとした不動産会社選びが、理想的な販売計画につながるといえるでしょう。
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監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。