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【売れない実家】を売却へ。築40年の税金・費用・査定のコツ

ご両親が住まわれていた築40年の実家について、「売れないのではないか」「相続や売却の手続きが複雑そうで費用も心配」といった漠然とした不安を抱えていませんか?多くのご家庭で、大切な思い出が詰まった実家をどうすればよいか、頭を悩ませています。特に築年数が古い物件の場合、その価値や売却の難しさについて不安を感じる方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。築40年の実家であっても、適切な知識と戦略があれば、スムーズに売却を進めることは十分に可能です。本記事は、そんなお悩みを持つ方々のために、築40年の実家を売却するための具体的なロードマップを提供します。売却の適切なタイミング、発生する費用や税金の知識、そして査定額を最大化するための具体的なコツまで、網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、これまで抱えていた不安が解消され、「これなら自分でも実家の売却を進められそうだ」という具体的な希望に変わっていることでしょう。大切な実家を負債ではなく、新たな資産へと変えるための一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。
このような方におすすめ
- 実家の売却を先延ばしにしている方
- 実家の売却の流れを知りたい方
- 実家を相続する可能性のある方
目次
「売れない」と思い込む前に。築40年の実家が抱える課題と可能性

築40年を超える実家を前に、「もう売れないのではないか」と漠然とした不安を抱えている方は少なくありません。確かに、建物の老朽化や現代のニーズとのずれから、売却は難しいと感じるかもしれません。しかし、その先入観にとらわれて実家を放置してしまうと、税金負担の増加や資産価値のさらなる低下など、見過ごせないリスクが生じます。実家は単なる古い建物ではなく、将来に向けた大切な資産です。このセクションでは、築40年の実家が抱える具体的な課題に共感しつつ、行動を起こさないことの危険性、そして売却という選択肢が持つ可能性について解説します。
実家を放置せず、適切な知識を持って向き合うことで、あなたの不安は具体的な解決策へと変わります。売却が難しいと感じる背景にはどのような問題があるのかを明確にし、それらの課題を乗り越えるための道筋が見えてくるでしょう。
なぜ「売れない」と感じるのか?築古物件に共通する悩み
築古物件の所有者が「売却は難しい」と感じてしまうのには、いくつかの共通した具体的な理由があります。まず、最も大きな要因の一つは建物の老朽化です。特に築40年ともなると、耐震性への不安がつきまといます。現在の耐震基準を満たしていない可能性が高く、買主側からすると地震に対する安全性が大きな懸念材料となります。また、雨漏りやシロアリ被害のリスクも高まり、これらの修理には多額の費用がかかるため、買主にとっては購入後の出費がネックになりがちです。
次に、現代のライフスタイルに合わない間取りや設備の古さも大きな障壁となります。例えば、昔ながらの和室中心の間取りや、使い勝手の悪い古いキッチン、断熱性の低い窓などは、現代の暮らしには馴染みにくい要素です。水回り設備なども経年劣化が進んでいることが多く、購入後に大規模なリフォームが必要となるケースもあります。このようなリフォーム費用を考慮すると、買主は新しい物件に目がいきやすくなります。
さらに、実家が建つ立地条件も売却の難易度に影響します。公共交通機関からのアクセスが悪い、周辺に商業施設が少ない、将来的な再開発の予定がないといった立地は、新築を建てたいと考える層やファミリー層にとっては魅力が薄れる原因となります。特に、過疎化が進む地域や駅から遠い場所にある物件は、買い手を見つけるのが一層困難になり、「売れない」という感覚を強めることにつながるのです。
放置は危険!空き家がもたらす3つのリスク(税金・倒壊・近隣トラブル)
実家を「売れないから」と空き家のまま放置することは、非常に危険な選択です。空き家には、経済的リスク、物理的劣化、そして近隣トラブルという、3つの大きなリスクが伴います。これらのリスクは、放置すればするほど深刻化し、あなたの資産価値を著しく損ねるだけでなく、精神的な負担も増大させる可能性があります。
最も無視できないのが「経済的リスク」です。2023年の空き家対策特別措置法の改正により、「管理不全空き家」という新たな概念が導入されました。もしあなたの実家が管理不全空き家に指定されてしまうと、固定資産税の住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。これは家計に大きな打撃となるでしょう。また、「特定空き家」に指定されれば、市町村による代執行で解体された費用を請求されることもあり、さらに負担が増えることになります。
二つ目のリスクは「物理的リスク」です。誰も住まなくなり管理が行き届かなくなると、建物の老朽化は急速に進みます。雨漏りや設備の故障が放置されれば、建物そのものの寿命が縮み、最悪の場合、倒壊の危険性も出てきます。また、手入れされていない庭は害虫や害獣の温床となり、それが建物内部に入り込むことでさらに劣化を加速させます。火災のリスクも高まり、周囲に延焼するような事態になれば、管理状況によっては賠償責任を問われる可能性もあります。さらに重大な過失があると判断された場合には、損害賠償責任を負うことになります。これらの物理的な劣化は、実家の資産価値を著しく低下させ、将来的に売却しようとしても買い手がつかない、あるいは買い叩かれる原因となります。
最後に、「近隣トラブルのリスク」も見過ごせません。空き家を放置することで、庭の雑草が伸び放題になったり、不法投棄の場所になったりすることがあります。これにより、周辺の景観が悪化するだけでなく、衛生状態も悪化し、近隣住民から苦情が寄せられる可能性が高まります。状況によっては、自治体からの指導や勧告、さらには法的な措置を講じられるケースも存在します。こうしたトラブルは、所有者にとって精神的なストレスとなり、解決のために時間や費用を費やすことにもなりかねません。実家を空き家のままにする選択は、決して安易に考えられるものではないのです。
【売却方法の選択】あなたの実家に合うのは「仲介」「買取」「更地」?

築40年の実家を売却する際、方法は一つだけではありません。ご自身の希望する「価格」「スピード」「手間」によって最適な選択肢は異なります。大きく分けて、「仲介」「買取」「更地売却」の3つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。このセクションでは、それぞれの売却方法の概要と特徴を比較しながら、あなたの実家に最も適した売却方法を見つけるためのヒントをご紹介します。ご自身の状況に照らし合わせながら、どの方法が最も合っているかを考えてみてください。
少しでも高く売りたいなら「仲介売却」
「仲介売却」は、不動産会社に依頼して買主を探してもらう方法です。不動産会社は、チラシ広告やインターネット上の不動産ポータルサイトなどを活用して幅広く買主を募集し、市場価格に近い価格での売却を目指します。売却活動のプロである不動産会社が間に入るため、個人で買主を探すよりも効率的かつ専門的なサポートを受けられるのが特徴です。
この方法の最大のメリットは、市場価格に近い、あるいはそれ以上の高値で売れる可能性があることです。多くの購入希望者の中から条件の良い買主を選べるため、ご自身の希望に沿った売却が期待できます。しかし、デメリットとして、買主が見つかるまでに時間がかかる不確実性があります。また、内覧対応や契約条件の交渉など、売主として関わる手間も発生します。さらに、売却後には「契約不適合責任」を負う可能性があり、引き渡した物件に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合に、買主から修繕や損害賠償を求められるリスクがあることも理解しておく必要があります。高値を重視し、時間に余裕がある方におすすめの選択肢です。
早く・確実に現金化したいなら「買取」
「買取」は、不動産会社が直接あなたの実家を買い取る方法です。この方法の最大の魅力は、売却までのスピードと確実性にあります。最短では数日、長くても数週間で現金化が可能なケースが多く、急いで資金が必要な場合や、売却活動に時間をかけられない方に適しています。
買取のメリットは他にも多くあります。まず、不動産会社が買主となるため、一般的な買主への内覧対応が不要で、近隣に売却を知られにくいという利点があります。また、物件の現状をそのまま買い取ってもらえるため、リフォームや解体費用を負担する必要がありません。さらに、売却後の契約不適合責任も、契約内容によっては免除されることがあるため、引き渡し後のトラブルの心配が少ないという安心感があります。一方で、デメリットとしては、売却価格が仲介売却に比べて市場価格の7〜8割程度と低くなる傾向がある点です。価格よりも「早さ」や「手間がかからないこと」を優先したい方、遠方に住んでいて実家の管理が難しい方にとって、非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
建物の状態が悪い場合は「解体して更地で売却」
実家の老朽化が著しく、耐震基準を満たしていないなど、建物自体の価値が低いと判断される場合や、買主が新築を建てたいと考えているエリアであれば、「解体して更地で売却」する方法も有効な選択肢となります。建物を取り壊し、まっさらな土地として売却することで、建物の状態に左右されずに土地本来の価値で評価してもらうことができます。
この方法のメリットは、買主の層が広がる可能性が高いことです。古い建物のリフォーム費用や手間を懸念する買主にとって、更地であれば購入後に自由に建築プランを立てられるため、検討の対象になりやすくなります。しかし、デメリットも複数存在します。まず、数百万円単位の解体費用がかかる点が挙げられます。また、建物を解体した後は「建物の滅失登記」を行う必要があり、手続きに費用と手間がかかります。さらに重要な点として、建物がなくなることで「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍に上がる可能性があります。解体費用と売却価格の上昇幅を慎重に比較検討し、費用対効果を見極めることが非常に重要です。
実家売却のタイミングはいつがベスト?「生前」vs「相続後」を徹底比較

実家の売却を考え始めたとき、多くの方が悩むのが「いつ売るのが最適なのか」というタイミングではないでしょうか。特に築40年の実家の場合、親御さんがご存命のうちに売却する「生前売却」と、親御さんが亡くなった後に相続人が売却する「相続後売却」という、大きく分けて2つの選択肢があります。この2つの方法は、税制面や手続きの複雑さ、そして家族間の合意形成といった点で大きく異なります。
どちらのタイミングで売却するのが有利かは、一概には言えません。親御さんの健康状態、ご家族の状況、相続人の人数や関係性、そして売却したい目的など、様々な要因によって最適な選択は変わってきます。このセクションでは、それぞれの売却方法の特徴を詳しく解説し、ご自身のケースに照らし合わせて最適なタイミングを見つけるための比較検討の視点を提供します。
親の意思で進められる「生前売却」のメリットと注意点
親御さんがご存命のうちに実家を売却する「生前売却」は、様々なメリットがあります。まず、売却によって得た代金を親御さんの介護費用や老後の生活資金に充てることができるため、経済的な安心感が大きくなります。また、親御さんが元気なうちに意思確認を行いながら進められるため、相続発生後に兄弟姉妹間で売却方針や売却代金の分配を巡ってトラブルになるリスクを未然に防ぐことができます。
さらに、売却する実家に親御さん自身が居住していた場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という特例を利用できる可能性があります。これは、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度で、税負担を大幅に軽減できる大きなメリットです。
一方で、生前売却には注意点もあります。最も重要なのは、親御さんの住み替え先を確保する必要があることです。また、長年住み慣れた思い出深い実家を手放すことに対し、親御さんが精神的な抵抗を感じることも少なくありません。ご家族で十分に話し合い、親御さんの気持ちに寄り添うことが不可欠です。もし売却で得た資金を子どもに贈与する場合、年間110万円を超えるとその超えた部分に贈与税がかかる可能性があるため、税金面でも事前の確認が必要です。
相続発生後に行う「相続後売却」のメリットと注意点
親御さんが亡くなった後に実家を売却する「相続後売却」は、親御さんが最期まで住み慣れた家で過ごせるという大きなメリットがあります。また、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「空き家特例」を利用できる可能性があります。この特例は、相続した空き家を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度で、税負担を大きく軽減できます。築40年の実家の場合、この特例が適用できるケースが多く、非常に有効な選択肢となります。
しかし、相続後売却にはいくつかの注意点があります。まず、相続不動産の売却には相続人全員の同意が不可欠です。意見がまとまらず、売却がスムーズに進まないといったトラブルが発生するリスクも考慮しなければなりません。また、2024年4月からは相続登記が義務化されており、売却の前提として相続登記を済ませる必要があります。遺産分割協議なども含め、手続きが煩雑になる傾向があります。
さらに、実家が空き家になってから期間が長引くと、建物の劣化が進んだり、雑草が生い茂るなど管理が行き届かなくなり、近隣トラブルの原因となる可能性があります。最悪の場合、「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が解除されて税負担が増大するリスクも生じます。そのため、相続後売却を選ぶ場合でも、計画的に準備を進め、可能な限り早く売却活動に取りかかることが重要です。
失敗しない!実家売却の全手順を6ステップで完全ガイド
ご両親から受け継いだ大切な実家。いざ売却しようと思っても「何から手をつければ良いのか分からない」と不安に感じる方は少なくありません。特に築40年ともなると、老朽化による売却への懸念や、手続きの複雑さに戸惑うこともあるでしょう。
しかし、ご安心ください。実家売却は、適切な知識と手順を踏めば決して難しいものではありません。このセクションでは、実家の売却を成功に導くための全プロセスを、準備から確定申告まで6つのシンプルなステップに分けてご紹介します。それぞれのステップで具体的に何をすべきかを明確にし、全体像を把握することで、複雑に思える売却手続きも着実に、そして安心して完了させることができるはずです。
Step1:準備(相続登記・境界確定・書類集め)
売却活動をスムーズに始めるためには、事前の「準備」が非常に重要です。この段階で怠りなく進めることで、後の工程で発生しうるトラブルを未然に防ぎ、売却期間を短縮することにも繋がります。
まず、相続によって実家を取得した場合、不動産を売却するための大前提となるのが「相続登記」です。所有者が故人名義のままでは売却手続きを進めることができません。特に、2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性もありますので、早急に手続きを進めましょう。
次に「境界確定」も重要な準備の一つです。隣地との境界線が不明確な場合、将来的なトラブルの原因となる可能性があります。土地家屋調査士に依頼して、現地の測量を行い、隣地の所有者との間で境界標を確認・設置することで、買主への安心材料を提供できます。
そして、売却に必要な「書類集め」も早めに着手しましょう。具体的には、登記済権利証(または登記識別情報通知)、固定資産税納税通知書、実印、印鑑証明書、住民票、身分証明書など多岐にわたります。これらの書類は、査定依頼時や媒介契約、売買契約の締結時に必要となるため、事前にリストアップし、漏れなく揃えておくことが肝心です。
Step2:査定依頼(不動産会社選びのコツ)
実家の売却価格を適切に把握するために不可欠なのが「査定依頼」です。査定には、詳細な調査を行わずに大まかな価格を算出する「机上査定」と、不動産会社の担当者が現地を訪問し、物件の状態や周辺環境を詳しく見て算出する「訪問査定」の2種類があります。
正確な相場観を掴み、実家の適正価格を知るためには、必ず3~4社程度の複数の不動産会社に査定を依頼する「相見積もり」が鉄則です。不動産会社によって査定額が数百万円異なるケースも珍しくありません。複数の査定を受けることで、実家の市場価値を多角的に判断できるだけでなく、後の不動産会社選びの重要な判断材料にもなります。
査定の際は、単に金額の提示を受けるだけでなく、その根拠や、どのような販売戦略を考えているのかも詳しく聞くことが大切です。特に築40年の実家の場合、リフォーム提案の有無や、買主ターゲット層の考え方など、各社の専門性や得意分野が見えてくるでしょう。
Step3:媒介契約の締結
査定を通して信頼できる不動産会社を見つけたら、いよいよ「媒介契約」を締結します。この媒介契約とは、不動産会社に売却活動を依頼するための契約で、主に以下の3種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に最も適した契約形態を選ぶことが重要です。
「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に同時に依頼できるため、より多くの買主候補にアプローチできる可能性があります。一方で、不動産会社に囲い込みをされるリスクや、売却活動への積極性が低くなる可能性も考慮に入れる必要があります。売主自身で買主を見つけて契約することも可能です。
「専任媒介契約」は、一社の不動産会社にのみ売却活動を依頼する契約です。不動産会社は売主に対して2週間に1回以上の頻度で売却活動の状況を報告する義務があり、よりきめ細やかなサポートが期待できます。売主自身で買主を見つけた場合でも、その買主と契約することが可能です。
「専属専任媒介契約」も一社の不動産会社にのみ依頼する契約ですが、専任媒介契約よりも報告義務の頻度が高く(1週間に1回以上)、売主自身が買主を見つけても、必ずその不動産会社を通して売買契約を締結しなければなりません。特定の不動産会社に全面的に任せたい場合や、早期売却を強く希望する場合に適しています。
ご自身の「早く売りたい」「高く売りたい」「手間をかけたくない」といった希望を明確にし、不動産会社とよく相談して最適な媒介契約を選びましょう。
Step4:売却活動と売買契約
媒介契約を締結したら、いよいよ不動産会社による本格的な「売却活動」がスタートします。不動産会社は、インターネットの不動産ポータルサイトへの物件情報掲載、チラシの配布、現地看板の設置、オープンハウスの開催など、様々な方法で買主を探します。売主としては、購入希望者が現れた際に物件を見学してもらう「内覧」に対応する必要が出てきます。内覧時には、物件をきれいに保ち、明るく好印象を与えるよう心がけることが大切です。
購入希望者からの問い合わせや内覧を経て、買主が現れると、一般的に価格交渉が入ることが多いです。不動産会社と相談しながら、希望価格と買主の提示価格のバランスを見極め、双方にとって納得のいく条件で合意を目指します。
買主と売却条件が合意に至ったら、「売買契約」の締結へと進みます。契約に先立ち、宅地建物取引士が「重要事項説明書」を読み上げ、物件の法令上の制限、設備の状況、契約内容に関する重要な事項を説明します。説明内容をしっかりと理解し、疑問点があればその場で確認することが非常に重要です。その後、売買契約書に署名捺印し、買主から手付金を受け取ることで契約が正式に成立します。この際、契約不適合責任(物件に隠れた不具合があった場合の売主の責任)についても確認しておきましょう。
Step5:決済と引き渡し
売買契約締結後、通常1〜2ヶ月後に最終段階である「決済」と「引き渡し」が行われます。この日は、買主が売却代金の残金を支払い、売主が物件の鍵を買主に渡し、所有権が買主に移転する非常に重要な日となります。
決済は、買主が利用する金融機関や不動産会社の会議室などで行われるのが一般的です。当日は、売主、買主、不動産会社の担当者、そして所有権移転登記を行う司法書士が立ち会います。買主から売買代金の残金が売主の指定口座に振り込まれたことを確認した後、司法書士が所有権移転登記に必要な書類を確認し、法務局へ申請します。
もし売却する実家に住宅ローンが残っている場合は、この決済のタイミングでローンを完済し、同時に抵当権抹消手続きも行います。これら一連の手続きが完了し、買主に鍵を引き渡すことで、正式に物件の所有権が買主に移り、売却プロセスは完了となります。これで、長年の管理負担からも解放されることになります。
Step6:確定申告
物件の引き渡しが完了した後も、最後の重要な手続きが残っています。それが「確定申告」です。実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、管轄の税務署へ確定申告を行い、税金を納める義務があります。
譲渡所得とは、売却価格から物件の購入費用(取得費)や売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた金額のことです。もし譲渡所得がマイナス(損失)になった場合や、売却益が出なかった場合は、原則として確定申告は不要となります。しかし、後述する「3,000万円の特別控除」や「軽減税率の特例」といった税金の特例を利用して税負担を軽減したい場合は、利益の有無にかかわらず確定申告を行う必要があります。
確定申告は複雑に感じるかもしれませんが、税理士に相談したり、国税庁のウェブサイトにある確定申告書等作成コーナーを利用したりすることで、比較的スムーズに進めることが可能です。適切な申告を行うことで、不必要な税金を支払うことなく、実家売却の恩恵を最大限に受けることができます。
【費用と税金】売却にいくらかかる?手元に残るお金の計算方法

築40年の実家を売却した際、売却で得た代金がすべて手元に残るわけではありません。売却価格から、さまざまな「費用」と「税金」が差し引かれるため、最終的にいくら手元に残るのかを事前に把握しておくことが大切です。このセクションでは、実家売却にかかる費用と税金について具体的に解説し、どのような項目でいくらくらいかかるのか、そして最終的な手取り額をご自身で計算できるようになることを目指します。複雑に感じるお金の話も、一つずつ丁寧に分解してご説明しますので、どうぞご安心ください。
売却時にかかる「費用」一覧(仲介手数料・印紙税など)
実家を売却する際には、売却代金以外にいくつかの費用が発生します。これらの費用は売却が成立した際に支払うものが多いため、事前に把握し、資金計画に含めておくことが重要です。
最も大きな費用の一つは「仲介手数料」です。これは不動産会社に売却を依頼し、無事に買主が見つかり売買契約が成立した際に支払う成功報酬です。法律で上限額が定められており、400万円を超える物件の場合には「(売買価格×3%+6万円)+消費税」という速算式で計算されます。例えば、2,000万円で売却した場合、仲介手数料は約72.6万円(税込み)となります。
次に「印紙税」があります。売買契約書に貼付する収入印紙代で、契約金額に応じて税額が変わります。例えば、500万円を超え1,000万円以下の場合は5千円、1,000万円を超え5,000万円以下の場合は1万円が必要です。(令和9年3月31日までに作成される不動産の譲渡に関する契約書について、印紙税の軽減措置が適用されます。)また、不動産登記に関する「登記費用」も発生します。特に、実家に住宅ローンが残っている場合は、抵当権を抹消するための登録免許税と、その手続きを司法書士に依頼する報酬が必要です。相続した実家を売却する場合は、相続登記が未完了であれば、まず相続登記の費用もかかりますので注意しましょう。
その他、建物の状態が悪い場合に解体して更地で売却する選択をした際には「解体費用」が、隣地との境界が不明瞭な場合は「測量費用」が必要となることがあります。買主への印象を良くするためにハウスクリーニングを行う場合は、その費用も考慮に入れる必要があります。これらの諸費用は売却価格や状況によって大きく変動するため、事前に不動産会社に相談して概算を把握しておくことをおすすめします。
利益が出たら納める「税金」(譲渡所得税・住民税)の計算方法
実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」が課されます。これらの税金は売却の翌年に確定申告をして納税する必要があります。ここでは、税金の計算方法を3つのステップでわかりやすく解説します。
Step1: 譲渡所得の計算
まず、売却によって発生した利益である「譲渡所得」を計算します。計算式は『譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)』です。「取得費」とは、実家を購入したときの代金や、購入時にかかった仲介手数料、印紙税、登記費用などの費用を指します。もし増改築をしていれば、その費用も取得費に含めることができます。しかし、築40年の実家の場合、取得費が不明なケースも少なくありません。その場合、「売却価格の5%」を取得費とみなして計算する「概算取得費」というルールがありますので覚えておきましょう。「譲渡費用」とは、今回の売却にかかった仲介手数料や印紙税、測量費用などです。
Step2: 所有期間の確認
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。売却した年の1月1日時点で所有期間が「5年以下」の場合は「短期譲渡所得」となり税率が高く、「5年超」の場合は「長期譲渡所得」となり税率が低くなります。親から相続した実家を売却する場合、親が所有していた期間も引き継ぐことができます。築40年の実家であれば、ほとんどの場合で長期譲渡所得に該当し、税率が優遇されます。
Step3: 税額の計算
譲渡所得が算出され、所有期間が確認できたら、いよいよ税額を計算します。長期譲渡所得の場合、所得税が15%、住民税が5%、そして復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算され、合計で約20.315%の税率が適用されます。短期譲渡所得の場合は、所得税が30%、住民税が9%、復興特別所得税が加算され、合計で約39.63%とかなり高くなります。例えば、長期譲渡所得が500万円だった場合、約100万円の税金がかかることになります。これらの税額は、後述する特例を利用することで大幅に軽減できる可能性がありますので、次のセクションで詳しくご紹介します。
【節税のコツ】知らないと数百万円の差も!使える控除・特例をフル活用
実家の売却において、手元に残るお金を大きく左右するのが「節税」の知識です。売却で利益が出た場合に課される譲渡所得税は高額になることが多く、売却価格が同じでも、知っているか知らないかで手取り額に数百万円単位の差が生じる可能性があります。
国は、特定の条件を満たす不動産売却に対して、税負担を軽減するためのさまざまな控除や特例を用意しています。これらの制度を賢く活用することで、税金の負担を大幅に軽減し、より多くの売却代金を手元に残すことができるでしょう。
このセクションでは、実家売却で利用できる可能性のある主な税制上の優遇措置を網羅的にご紹介します。ご自身のケースに最適な節税戦略を立てるための知識を身につけ、後悔のない売却を実現してください。
最大3,000万円控除!「マイホーム特例」と「空き家特例」
不動産売却における節税策で最も大きなインパクトを持つのが、「3,000万円の特別控除」です。この制度には、主に2つのパターンがあります。どちらも適用されれば譲渡所得から最大3,000万円が控除されるため、課税対象となる所得を大幅に減らすことができます。
一つ目は「マイホーム特例」、正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」といいます。これは、親が居住していた家を売却する、いわゆる生前売却のケースで適用される可能性があります。売主である親自身がその家に住んでいた期間や、売却のタイミングなどの要件を満たす必要があります。
二つ目は、特に築40年の実家売却を検討されている方に注目していただきたい「空き家特例」です。正式名称は「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、相続によって取得した空き家を売却する際に適用できる可能性があります。主な適用要件は以下の通りです。
相続開始のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
相続直前まで親(被相続人)が一人で住んでいた家であること
売却価格が1億円以下であること
1981年5月31日以前に建築された家屋の場合、耐震基準を満たすリフォームをするか、更地にして売却すること
これらの要件をすべて満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円が控除され、税負担を大きく軽減できる可能性があります。ご自身のケースが適用対象となるか、必ず確認するようにしましょう。
相続税を払ったなら「取得費加算の特例」
実家を相続する際に相続税を納めている場合、「取得費加算の特例」が利用できる可能性があります。この特例は、売却する不動産の「取得費」に、支払った相続税のうちその不動産にかかる部分を加算できる制度です。
譲渡所得税は「売却価格 − (取得費 + 譲渡費用)」で計算されるため、取得費が増えれば増えるほど、課税対象となる譲渡所得が減少し、結果として譲渡所得税が安くなります。この特例は、売却によって発生する税金を効果的に圧縮する手段の一つです。
取得費加算の特例を適用するためには、「相続開始の翌日から3年10ヶ月以内」に売却を完了させる必要があります。この期間を過ぎると特例が使えなくなってしまうため、早めの行動が重要です。ただし、前述の「空き家特例」と「取得費加算の特例」は、原則としてどちらか一方しか選択できません。どちらの特例がご自身のケースで有利になるか、専門家と相談して慎重に判断するようにしてください。
10年以上所有している場合の「軽減税率の特例」
長期間所有していた不動産を売却する場合、「軽減税率の特例」を利用することで、譲渡所得税の負担をさらに軽減できる可能性があります。親から相続した実家の場合、親の所有期間も引き継がれるため、築40年の実家であれば、多くの方がこの特例の対象となるでしょう。
この特例の適用要件は、売却した年の1月1日時点で不動産の所有期間が10年を超えていることです。要件を満たした場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対して、通常の長期譲渡所得税率(所得税15%+住民税5%=約20%)よりも低い、所得税10%+住民税4%=約14%の税率が適用されます。
例えば、譲渡所得が6,000万円以下であれば、約6%の税率差が生まれることになり、これにより税額が大きく軽減されます。この軽減税率の特例は、先ほどご紹介した「3,000万円の特別控除」(マイホーム特例または空き家特例)と併用が可能です。つまり、3,000万円の控除を受けた後の譲渡所得に対して、さらに軽減税率が適用されるため、非常に有利な節税策となります。ご自身の所有期間を確認し、この特例が適用できるか必ずチェックしましょう。
【査定のコツ】築40年の実家の価値を最大化する4つのポイント

築40年の実家を売却する際、「もう古いから、たいした価格はつかないだろう」と諦めていませんか。しかし、査定は不動産会社の言い値を受け入れるものではなく、売主様ご自身の準備と工夫次第で、その評価を上げることが可能です。このセクションでは、築40年の実家でも最大限の価値を引き出し、少しでも高く売るための具体的なテクニックを4つのポイントに分けてご紹介します。これからご紹介する実践的なアプローチは、数十万円、場合によっては百万円以上の差を生み出す可能性も十分にあります。ぜひ、ご自身の状況に当てはめて、できることから実践してみてください。
査定依頼の前に!準備しておくべきことと掃除のポイント
不動産会社の担当者が査定に訪れる前に、いくつかの準備をしておくことで、より正確で有利な査定を引き出すことができます。まず、物件の情報を正確に伝えるために、権利証、測量図、建築確認済証、設計図書といった関連書類を事前にまとめておきましょう。これらの書類が揃っていると、担当者は物件の履歴や法的状況をスムーズに把握でき、査定の精度向上につながります。
次に、建物の「第一印象」は非常に重要です。購入検討者が内見のため訪問した際に、「大切に使われてきた家」という好印象を与えるため、掃除と整理整頓を行いましょう。特に、玄関、リビング、キッチン、浴室、トイレなどの水回りは、清潔感が評価を左右するポイントです。販売のための広告のため写真も撮影するので、購入検討者を集める大事な顔になります。不要な荷物は一時的にでも片付け、室内を広く見せる工夫も有効です。これらの準備を通じて、購入検討者の物件への評価がポジティブなものになりやすくなります。
複数社比較が鉄則!不動産会社に相談しよう
実家の正確な市場価値を把握し、最適な売却を実現するためには、必ず複数の不動産会社に査定を依頼する「相見積もり」が鉄則です。不動産会社によって得意な物件タイプや顧客層、販売戦略が異なるため、査定額が数百万円単位で開くことは珍しくありません。
特に、遠方に実家がある場合や、多忙で各社を訪問する時間がないという方には、インターネットの「不動産一括査定サイト」の活用も手段の一つ。一度の入力で複数の会社に査定依頼ができるため、手間と時間を大幅に削減できます。ただし、単に最も高い査定額を提示した会社に飛びつくのではなく、各社の査定額の根拠や、なぜその価格になるのかの説明をしっかり聞き、ご自身の実家の相場観を養うツールとして賢く利用することが大切です。
築古物件に強い不動産会社の選び方
築40年の実家という特殊な条件の物件を任せるには、どのような不動産会社を選ぶかが売却成功の鍵を握ります。査定を依頼した複数の会社の中から、以下のポイントを確認し、信頼できるパートナーを見つけましょう。
まず、その会社が「築古物件の売買実績」を豊富に持っているかを確認してください。過去に同様の物件をどのように販売し、どのような結果を出したのかを具体的に質問することは非常に重要です。次に、「地域密着度」も大きな判断基準となります。そのエリアの市場動向や、どのような買主層が物件を探しているのかを熟知している会社は、より的確な販売戦略を立てることができます。
さらに、「売却戦略の具体性」も評価すべき点です。リフォームを提案するのか、解体して更地として売るのか、あるいは現状のままで売却するのか、物件の状態と市場のニーズに合わせて具体的な販売プランを提示してくれるかを見極めましょう。最後に、「担当者との相性」も忘れてはなりません。質問に丁寧に答えてくれるか、連絡はスムーズか、不安に寄り添ってくれるかなど、売却活動の期間を共に歩むパートナーとして信頼できるかを見極めることが成功へと繋がります。
査定価格の根拠をしっかり確認する
不動産会社から提示された査定価格は、あくまで「これくらいの価格で売れるだろう」という目安です。その価格を鵜呑みにせず、なぜその価格になったのか、その「根拠」を深く掘り下げて確認することが非常に重要です。
担当者に対して、「なぜこの価格なのですか?」と率直に質問し、具体的な説明を求めましょう。確認すべきポイントは複数あります。まず、「比較対象物件」として、どのような物件(築年数、広さ、立地、状態など)と比較して価格を算出したのかを聞いてください。次に、ご自身の物件の「プラス評価の点」として、土地の広さ、日当たり、駅からの距離、周辺環境など、どの部分を高く評価したのかを確認します。逆に、「マイナス評価の点」として、建物の劣化具合、間取りの古さ、周辺施設の状況など、価格を下げる要因となったのはどこかを聞き出すことも大切です。
これらの質問を通じて、担当者の知識レベルや誠実さ、そして物件に対する理解度を見極めることができます。納得感のある説明を受けられる会社を選ぶことで、売却活動全体を安心して進めることが可能になり、最終的に満足のいく結果へと繋がります。
まとめ:不安を解消し、実家売却の最適な一歩を踏み出そう
築40年の実家売却は、「売れない」と諦めてしまう前に、まずは正しい知識と具体的な手順を知ることが何よりも大切です。この記事を通じて、実家が抱える課題を理解し、それぞれのご家庭に合った売却方法の選択肢、手続きの流れ、そして最も気になる費用と税金、さらには手元に残るお金を最大化するための節税のコツまで、網羅的に情報武装できたことと思います。
情報という武器を持つことで、漠然とした不安は解消され、具体的な「やることリスト」に変わります。売却活動は決して一人で抱え込むものではなく、専門家である不動産会社を始め、必要に応じて税理士や司法書士の力を借りながら進めることができます。
まずは、ご家族と売却の意向や思い出について話し合う時間を設けてみてください。そして、最初の一歩として、、複数の不動産会社から査定を受けてみましょう。これにより、実家の現在の価値や市場の動向を肌で感じることができ、信頼できる不動産会社を見つける大きな手がかりとなります。この一歩が、実家売却という大きなタスクを成功に導くための最適なスタート地点となるでしょう。


















