
しかし、さまざまな理由で早く不動産を売却したいと思っている方も多いのではないでしょうか。そんな方には不動産を直接買取ってもらえるサービスが便利と言えます。
この記事ではメリット・デメリットを中心に、不動産買取についてご紹介します。
目次
そもそも不動産買取とは?不動産仲介との違いは?
不動産買取とは、不動産会社が物件を直接購入する仕組みで、不動産仲介とは異なり買い手を探す手間が省けるのが特徴です。
仲介では不動産会社が市場に物件を公開し、購入希望者を探しますが、売却までに時間がかかる場合があります。
不動産買取には「買取保証」と「即時買取」という2つの方法があります。
買取保証
買取保証とは、一定期間は通常の不動産売却と同じように売却活動を行い、その期間中に買い手が見つからなかった場合に、あらかじめ約束していた金額で業者が買取るというシステムです。売却期間に少し余裕がある場合や、少しでも高く売りたいと考えている方におすすめです。
即時買取
一方の即時買取は、リサイクルショップや中古ショップにものを売りに行くのと同じ感覚で、不動産の売却活動を行わず、即座に業者に不動産を買取ってもらう方法です。すぐに不動産を売却する必要がある場合などに適しています。
売却のスピードを優先したいのか、それともより高い価格で売却したいのか、自分のニーズに合った選択をすることが重要です。
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不動産買取のメリットとは?
不動産買取にはさまざまな利点があります。ここでは、主なメリットを3つのポイントに分けて解説します。
メリット① すぐに現金化できる
不動産買取の大きな特徴は、取引が迅速に進む点です。不動産仲介では、購入希望者を探す過程に時間がかかる場合がありますが、買取では不動産会社が直接購入するため、こうした手間を省略できます。
特に相続や転勤などの理由で早急に資金を確保したい場合、即時買取などの仕組みを活用することで、短期間で現金化することが可能です。
メリット② 仲介手数料が発生しない
通常、仲介を利用して不動産を売却する際には、売却価格の一定割合を仲介手数料として不動産会社に支払う必要があります。しかし不動産買取では買い手が不動産会社自身であるため、この仲介手数料が発生しません。その分手元に残る金額が増えるため、コストを抑えたい方に適しています。
メリット③ 契約不適合責任が免除される可能性がある
契約不適合責任とは、物件に欠陥があった際に売主が補償などを負う責任のことを指します不動産買取の場合、契約内容によってはこの責任が免除されるケースが多く、売主のリスクが大幅に軽減されます。
例えば古い物件や修繕が必要な物件でも、不動産会社がリフォームを前提に購入することが一般的なため、安心して売却できるでしょう。
不動産買取のデメリットはある?
不動産買取はスピーディーで手間の少ない売却方法ですが、その一方でいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、不動産買取を利用する際に知っておきたい主なデメリットを3つご紹介します。
デメリット① 仲介による売却に比べて売値が安くなってしまう
不動産買取の最大のデメリットは、仲介と比べて売却価格が低くなる傾向があることです。不動産会社は購入後に物件を再販売することを前提としており、その際の利益を見込んで買取価格を設定します。
そのため、仲介を通じて市場価格で売却する場合よりも、買取価格が割安になるケースがほとんどです。高い売却額を求める方には向かない方法といえるでしょう。
デメリット② 売却条件の柔軟性が低い
不動産買取では、条件交渉の余地が少ない場合があります。不動産会社は事前に査定額を提示し、迅速な売却を進めるため、その査定額での売却を求められることが一般的です。一方、仲介では購入希望者との交渉によって条件を調整することが可能なため、売主の希望に合った条件を追求しやすいといえます。
デメリット③ 仲介よりもサポートが簡略化されることがある
不動産買取はスムーズな手続きを重視するため、仲介と比べてサポートが簡略化されることがあります。特に物件に関する詳細な市場情報や、購入者のフィードバックを得られる機会は限られるため、売却までの透明性が低く感じられることもあります。不動産売買に関する知識が少ない場合には、事前に十分な情報を収集しておきましょう。
不動産買取におけるデメリットへの対策・予防方法
不動産買取はデメリットもあると理解したうえで、慎重に進めることが重要です。
ここではデメリットを回避し、納得のいく取引を行うための具体的な対策や予防方法を解説します。
対策① 契約内容をよく確認する
不動産買取では、契約の詳細をしっかり確認することが欠かせません。特に、契約不適合責任の取り扱いや買取価格の算出基準について十分に理解しておきましょう。書類の内容が複雑な場合は不動産に詳しい専門家や弁護士に相談し、契約条件が納得のいくものであるか確認することが必要です。
対策② 事前に相場を調べておく
物件を売却する際には、事前に市場の相場を調べることが大切です。ひとつの不動産会社の査定だけに依存せず、複数の会社に査定を依頼することで、より正確な価格を把握できます。
またインターネットや不動産ポータルサイトを活用して、近隣地域や同条件の物件の売却例を調べるのも効果的です。
対策③ 業者の評判を調べる
信頼できる取引を行うには、業者の評判や実績をチェックすることがポイントです。インターネットの口コミや評価サイトを活用し、他の利用者の経験談を参考にしましょう。また地域での取引実績が豊富な業者は、地域特有の市場動向に詳しいため信頼性が高いことがあります。
対策④ 信頼できる業者を選ぶ
不動産買取では、信頼できる業者を選ぶことが成功のカギとなります。透明性が高く、査定額や契約内容について明確に説明してくれる業者を選びましょう。また宅地建物取引業法に基づき営業許可を受けた会社であることを確認すると、安心して取引を進められます。
不動産買取を選んだ方がいい人はどんな人?
とにかく急いで不動産を手放したい人(転勤や離婚、相続)や、周りに知られず秘密で手放したい人に向いていると言えます。
また長い間売りに出しているにもかかわらず、なかなか売れない物件を持っている人も一度買取を検討してみてもいいかもしれません。
そのほか不動産業者への行き来や打ち合わせ、内覧のお世話などの時間が取れない人も不動産買取に向いていると言えるでしょう。
まとめ
このように不動産の買取は、有利な点が多いものの、売却価格が下がってしまうデメリットがあります。
そのため迷っている方はそれぞれの見積もりを取ってみて、実際にどれくらい差が出るのかシミュレーションしてみるのもよいでしょう。
この記事を参考に、慎重に売却方法を決めるようにしてください。
監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。