不動産所得のポイントは、CF=キャッシュフロー
どんなに節税をしても、お金が溜まっていかなければ事業をやっている意味がない。今回はいかに不動産でお金を増やしていくか、その基本的な考え方を紹介する。
まずは、「キャッシュフロー」とはどういうものか。それは、家賃収入-支出(お金が出て行った経費や借入金の元金、利息、税金)=CFということ。収入から支出を引いたものなので、借入金の元金返済も含まれる。実際の現金の入出金なので感覚的には分かり易いはずだ。そして、この現金残をいかに毎年増やしていくかがポイントなのである。
それでは、利益とはどういうものか。家賃収入-経費(固定資産税や借入金の利息のみ、修繕費など)=利益で表される。そしてこの利益を元に税金を計算することになる。経費には借入金の元金返済部分は含まれない。経費とは利益計算をする際にマイナスをすることができるもので、その多くは支出した金額であるが、すべてではないことは理解しておいていただきたい。具体的にキャッシュフロー(CF)と利益の違いを具体例でみると図のようになる。
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CF計算
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利益計算
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家賃収入
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+
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500万円
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500万円
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経費
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-
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100万円
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100万円
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銀行返済(利息)
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-
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10万円
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10万円
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銀行返済(元金)
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-
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50万円
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0円
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減価償却費
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-
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※
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※
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差引き/利益
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340万円
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390万円
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↓
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-
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所得住民税60万円
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税引き後CF
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280万円
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では、キャッシュフロー(CF)を多く残すためにはどうしたらいいだろうか?
賃料アップは除いて考えると、答えは次の2つ。
1)借入金の返済期間を延ばす
2)利益を減らす
1)の借入金の返済期間を延ばすと、月々の元金返済が減るのでキャッシュフローが増える。返済期間が延びることへの不安を持つ人も多いが、余裕資金で修繕や設備の入れ替えをし、賃料のアップや維持につなげることも、事業として考える場合重要なことである。 2)の利益を減らす考え方として、減価償却費を重要なキーワードとして、次項で取り上げて考えてみることとする。
目先の節税にこだわると損をする。
減価償却費とは、支出した金額をその年(その期)に全額経費にしないで、何年かに分けて経費化していくときの、毎年の経費化分をいう。そして、この減価償却費の効果は2年目以降に現れる。2年目以降は支出なしで経費化でき、その結果、利益を減らすことが出来るのである。そして、利益が少なくなるということは、税金も少なくなり、その結果としてキャッシュフローは増えるのである。銀行もここを重視して審査している。キャッシュフローがたくさん出れば出るほど、リスクは低いと判断し、次の物件の時の融資にもつながる。確かに、1年目は修繕費として全額経費になったほうが税金は減価償却費よりは確実に少なくなるので、キャッシュフロー上は有利である。しかし、それは1年目だけの話で、減価償却期間を通じて考えれば、減価償却費として何年かに分けて経費化したほうが、トータルの税金は少なくなり、キャッシュフローは増えるケースが多い。
もちろん、さまざまなバランスを考慮しなければならないのは言うまでもないが、裏を返せば、今年の確定申告の節税になるからといって中途半端な修繕費を計上して、税金を少なくしても、トータルで考えたときにそれがベストな選択とはならないこともあるということだ。修繕費を単なる費用として考えるか、投資として考えるか、と言い換えることもできるかもしれない。
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