この記事はこんな人におすすめです
- 今の住まいが手狭になったので、増築を考えている
- 増築にかかる費用を知りたい
- 増築のメリット・デメリットを知りたい
「増築」は、今ある住まいを活かしつつできるだけ安く、早く環境を整えたいと考える人におすすめの選択肢です。しかし建物の状態によっては修繕、補強費用の負担が増す可能性もあるため、専門の業者に相談しながら判断するようにしましょう。
ここでは、子供が増えたときに増築をするメリットとデメリットについてご説明します。
そもそも「増築」とは?
増築とは、今ある建物を壊すことなく、建物の一部に新たな建物(部屋)を付け加え、同じ敷地内で床面積を増加させることを言います。
例えば、平屋に二階を建て増ししたり、一階の一部に子供部屋を増設したりするような工事が挙げられます。 似たような工事でも、床面積を変えずに間取りの変更のみを行う場合は「改築」、外装や内装の補修や設備関係の修理工事、耐震工事などは「修繕」と呼ぶことが多いです。
一方、増築とは逆に、二階をなくして平屋にするなどの工事で床面積が減少する場合は「減築」と呼ばれます。子供が巣立ってから部屋が余ってしまい、掃除などの管理ができない時に行うことが多いです。
工事場所別の増築費用
工事の場所別にどのくらいの増築費用がかかるのか、目安について紹介します。
① トイレ・浴室・キッチン
トイレ・浴室・キッチンなどの水回りの増築では、給排水用配管、設備機器据え付け、床・壁造作工事、電気配線などの工事が必要です。それぞれの費用の目安を一覧にすると、次の通りです。
上記の表からもわかるとおり、水回りの工事を行うとおよそ100~150万円ほどの費用が必要です。
トイレ・浴室・キッチンをまとめて増築する場合は、300~400万円程度の費用が必要になると考えればよいでしょう。
また、この他にも間取りを変更したり、内装にこだわったりするとさらに工事費用が必要になります。
② 部屋
既存の家に部屋を増築する場合、構造によって費用は大きく変わります。■木造・鉄骨/鉄筋コンクリートの場合
木造・鉄骨・鉄筋コンクリート造の場合、1畳あたりの費用は構造によって違います。例えば、木造は最も安くすむことが多く、30~40万円/畳程度が相場とされています。
一方、鉄骨/鉄筋コンクリート造は50~60万円/畳程度になることが多いです。
■木造・プレハブの離れの場合
木造・プレハブの離れを増築する場合、費用は比較的安くすむことがあります。業者にもよりますが、25~50万円/畳程度となります。
ただし、離れを作る場合は地盤工事が必要になる場合もあるため、数社の見積もりを比較して選ぶことが重要になるでしょう。
■2畳・6畳・8畳・10畳の場合
木造・鉄骨/鉄筋コンクリート造で、部屋を増築する場合の費用の目安は次の通りです。
基本的には小さい部屋の増築ほど単価も高くなる傾向があります。
■水回り設備も追加する場合
水回りの設備には、キッチン・トイレ・浴室・洗面所などがあります。
それぞれの設備を追加する場合、費用の目安は次の通りです。
キッチンはスタンダードタイプやシステムキッチン、ハイグレードモデルかどうかで費用は大きく違います。
また、浴室については坪数やユニットバスのタイプによって費用が変わるため、余裕を持った予算を準備しましょう。
■渡り廊下も増築する場合
渡り廊下の増築費用の目安は次の通りです。
ただし、以下の条件に該当する場合は、建築確認申請に別途20万円程度の費用がかかります。
・10㎡以上の増築
・建物所在地が防火地域または準防火地域
③ 2階を増築
2階の増築では、どのような部屋を増築するかで費用が以下のように変動します。④ バルコニー・ベランダ
バルコニー・ベランダの増築の費用の目安は、素材やデザインによって変わります。一般的には間口3.6m×奥行き1mの場合、30~60万円程度とされています。
ただしコンクリート打設が必要な場合もあり、費用は家の間取りや構造によって変わる点に注意しましょう。
⑤ サンルーム
サンルームは広さや材質、設備によって費用の目安は変わります。例えば、洗濯ものを干すための3~4畳のシンプルなサンルームを取り付ける場合、費用は70~100万円程度です。
タイル長の外壁と調和する形で設置する場合、デザイン性を重視することから100~130万円程度になります。
また元々ウッドデッキを使用していたところに、サンルームを取り付ける場合は150万円前後が必要です。
設備面では、床暖房を設置すると100万円程度が必要になると試算するとよいでしょう。
⑥ 駐車スペース
駐車スペースの増築工事の費用目安は、1㎡あたり8,000円~1万円、1台分の拡張工事では10~15万円程度とされています。ただし、駐車スペースの増築場所によって大掛かりな工事も必要になるため、費用はさらに大きくなることがあります。
元々更地だった土地を駐車場にする場合、費用は安くすみます。
しかし、別の用途に用いられていた土地を解体・舗装しカーポートやガレージを設置すると、1台当たり300~400万円の費用がかかります。
⑦ 地下室
地下室を増築する場合、庭に地下室を作るケースでも建物の下に作るケースでも、地盤を掘り進める必要があります。また、建築基準法によって建築確認申請が必要なケースもあるため、施工に詳しい業者に相談しましょう。
費用の目安としては坪単価が80~120万円、規模にもよりますが総額で700~1,000万円程度になります。
家を増築するメリットは?
増築のメリットはなんといっても「安さ」と「早さ」でしょう。
新築の購入や建て替えに比べて費用を節約でき、建替えより工事期間も短く済みます。
また、建替えは工事期間中の仮住まいを用意する必要があり、家財道具の移動や一時保管のための手間や費用が必要になります。
増築は大規模なものでなければ、住み続けながら工事をしてもらうことも可能なため、負担が小さいと言えるでしょう。
また、増築は今の住まいに住み続けられるのも大きな利点と言えます。
お子さんの学区や通勤・通学の都合を考える必要がなく、住環境に大きな変化がないのも魅力のひとつでしょう。
家を増築するデメリットは?
自分の家とは言っても、無制限で好きなように増築できる訳ではありません。
増築を行う場合、住んでいる地域ごとに定められた「建ぺい率」や「容積率」に従って増築計画を立てる必要があり、増築できる広さは土地の大きさや形状などによって変わってきます。
土地や建物の状態(築年数や工法、メンテナンス状況)によっても施工費用や広さなどが変わってくるため、専門的な知識が必要になります。
また、工事中は室内が一部使えなくなるなど、不都合もあるでしょう。
今住んでいる住まいの状況によっては希望する増築工事ができない場合もあります。まずは増築も対応しているリフォーム会社に相談して確認してみましょう。
増築以外の方法で家を広くするには
今の住まいの構造躯体の状態や傷み具合によっては、修繕費や補強費用の負担が大きくなる場合があります。
その場合は増築ではなく、思い切って建て替え、住み替えに切り替えるのも選択肢です。
費用面での不安が大きくなりますが、住宅ローン減税制度を活用したり、今住んでいる家をできるだけ高値で売却したりすることで、新しい住まいを取得する際の負担を軽減することができます。
必要に応じて増築、建替え、住み替えでそれぞれ見積もりを取り、比較シミュレーションした上で選択しましょう。
増築はプロからアドバイスを受けながらベストな選択を
増築はリフォームの中でも大規模な工事になります。
増築が本当に必要なのか、希望を叶えるためにはどのような工事が必要なのか、経験豊かな信頼できるプロと相談しながら決めていくことが大切です。
実績や資格を持った建築士が多く、保証が手厚いリフォーム会社などからアドバイスを受けながら、ベストな選択をしていきましょう。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。