特に、空家対策特別措置法が成立したことで、空き家を放置しておくことに対する処分は厳しいものになりました。
特定空家とは?
特定空家とは、以下のような状態の空き家のことです。
・倒壊などの危険があるもの
・衛生上、有害になるおそれがあるもの
・適切な管理が行われないことで、著しく景観を損なっているもの
・周辺の生活環境の保全を考慮したとき、放置が不適切だと判断されたもの
特定空家は、所有者に対して何らかの処分や罰則が科せられる可能性があります。
空き家を放置するリスクとは?
近年日本では、空き家問題が大きな社会問題になっています。
相続はしたけれど、管理費や固定資産税がかかるので、このまま放置しておけないというケースが多いのです。
今後増加の一途を辿ることが予想される空き家問題ですが、空き家を放置するリスクには、どんなものがあるのでしょうか?
1.犯罪と災害リスク
第三者の不法占拠や犯罪者の侵入などで犯罪リスクが増加します。不法投棄があったりすると環境悪化の懸念もあります。さらに、建物の崩壊や放火による火災などがあれば、災害リスクにもつながります。
単に空き家の所有者の問題だけでなく、周辺住民にも迷惑をかけてしまうこともあり、見逃せない課題となっています。
2.有効活用されないリスク
空き家を放置しても固定資産税はかかります。本来なら、そこを賃貸住宅やマンションなどに活用すれば収入になるのです。
あるいは、不動産屋に売買して、欲しい人に買ってもらうこともできます。
3.資産価値が下がるリスク
空き家があると、その空き家だけでなく、周囲の資産価値も下落するリスクがあります。景観を損ねたり、犯罪や災害リスクを高めたりすれば、その地域の不動産評価額が低くなり、中古物件の価格も下がってしまいます。
4.空家対策特別措置法による懸念
平成26年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法(略して空家対策特別措置法)」が成立しました。上記のような様々なリスクのある空き家を減少させ、周辺住民を保護するためです。
この特別措置法で一番大きなポイントは、空き家処分を第三者が行える点にあります。
災害リスクがある古い建物や、景観を著しく損ねる建物は強制的に取り壊しができるようになりました。行政処分として強制的に取り壊され、その費用は所有者に負担させられます。
「(特定空家等に対する措置) 第十四条」
市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」 より引用
また、これまで土地と建物に対しての固定資産税は、以下のように軽減されていました。
(A)土地(建物がない更地)は固定資産税評価額×1.4%
(B)土地(建物あり1戸200平米以下の部分)は固定資産税評価額×1/6×1.4%
(C)土地(建物あり1戸200平米を超える部分)は固定資産税評価額×1/3×1.4%
4,000万円評価額の土地で建物がない更地では、年間56万円の固定資産税がかかりますが、建物があれば評価額が最大1/6に軽減されて、年間約10万円弱で済むのです。
しかし、空家対策特別措置法が成立したことで、所有する空き家に改善勧告があると、この税金面での優遇もなくなります。
空き家の管理は非常に大変で、通風と換気、通水や雨漏り確認、清掃、外壁などの確認と補修、樹木の管理など、少なくとも1ヶ月に1回の頻度で行わなければなりません。
マンションであれば修繕積立金や管理が毎月かかりますし、一戸建てでも管理費用の準備や固定資産税を支払う必要があります。
「空き家」のまま放置しておくのは、あまり効率的とは言えません。
今まで生活してきた思い入れのある自宅を手放すのは、大変心苦しいことでしょう。しかし現実的には、活用していない不動産を売却することは、管理する側としては最も負担が少なくなる方法です。
お手持ちの空家でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談下さい。
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監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。