ここでは、空き家対策措置法で何が変わるのか、また空き家を有効活用するにはどうすれば良いのかなどについてご説明します。
空き家の問題とは何か
日本の空き家ですが、総務省の調査では、2013年の時点で全国の空き家件数は820万戸で、2008年に比べ63万戸の増加となり、空き家率は13.5%です。
◆空き家が増えた原因
空き家が増加した原因としては、人口の減少に加え、核家族化で親と同居しない世帯や1人暮らしが増えたことなどがまず挙げられます。
このような世帯では、進学や就職などで都市部に出ていき、もともと親などが所有していた家に住まずにより便利な都市部のマンションなどに住む傾向があるのです。
また、郊外においては地価の下落や需要の大幅な減少により、売るに売れない状況が発生しています。さらに、空き家は都市部でも大きな問題になっており、借地などの複雑な権利関係が、空き家を賃貸物件としての再利用を阻んでいることも大きな要因です。
さらに根本的な原因として挙げられるのが、税金の仕組みでしょう。
固定資産税には土地上に住宅が建っていれば6分の1に減額されるという制度があり、家を解体すると固定資産税が一気に増えることから、たとえ使わない家でも節税のためにそのまま放置されているのです。
空き家対策特別措置法
2014年11月、空き家問題を解決するための「空き家対策特別措置法」が成立しました。
「空き家対策特別措置法」は、倒壊の恐れなどの問題がある空き家があった場合に、行政が所有者特定のための固定資産税の納税者番号を利用して、所有者を特定できる法律です。また、自治体の立ち入り調査、指導、勧告、命令、行政代執行が行いやすくなりました。
自治体によって、「特定空き家」として認定されたあと、所有者が適正管理を促す助言や指導に従わずにそのまま放置するとさらに勧告が下されます。一度勧告が下されると「住宅用地特例」の対象から外され、固定資産税の減免措置の適用が受けられなくなるため注意してください。
それでも改善が見られない場合には、命令が下され、その後に最大50万円の罰金も科すことも可能です。いずれの要請も無視し続けた所有者には、行政代執行により空き家の解体が行われることもあります。
つまり、法的に空き家を処分することができるため、行政側は従来よりも空き家問題をスムーズに解決できるでしょう。
資産活用としての空き家売却
ご紹介してきた空き家問題は負の面ばかりに目が向きがちです。しかし、一方で空き家問題をビジネスチャンスととらえ、不動産業界活性化の起爆剤や新たな資産活用になることも十分考えられるでしょう。
空き家はフルリフォームして再生することで、売却しやすくなる物件です。特に、古くても立地の良いマンションや戸建てなどはリノベーションすることで新たな付加価値が与えられ、その立地に重きを置く方には唯一無二の存在になる場合があります。
また、政府や地方自治体、さらにNPO法人などは空き家対策として「空き家バンク」を始めました。空き家バンクとは、空き家の賃貸や売却の仲介を行うために空き家のデータベースを作成し、空き家の所有者や借りたい人からの相談窓口です。このような窓口を利用すれば、空き家売却も円滑に進むでしょう。
空き家がいつまでも残されていると、景観の悪化や異臭、事故などさまざまな問題に発展する危険性があります。
しかし今後は「空き家対策特別措置法」によって状況が変化し、空き家が「資産」として活用されることが予想されます。
空き家の対処に悩んでいる方は、ぜひ一度不動産会社などに相談してみましょう。
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監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。