うっかり不動産登記を忘れていた!
不動産を取得すると、その所有する権利を守るために登記するのが普通の流れだ。 しかし、世の中には、ずっとほったらかしで、既に何年も前に亡くなった親名義の不動産を持っている人は意外と多い。相続税もかからず、遺産分割もしないでほったらかし状態の場合は、まだ贈与税の問題は関係ないが、生きている親が子に、子が家を建てるにあたって親の土地を息子に贈与する場合などは、注意が必要だ。
たとえば、親から子に土地を贈与して、法務局での登記をしていなくて10年経過し、今になってあわてて登記をしたケースでは、贈与税はどうなるであろうか?0円で息子にあげたから贈与税がかかるが、既に10年経過しているため、時効成立で贈与税はかからないのであろうか?
結論から言うと、今回の登記をしたことで贈与税はかかることとなる。それは不動産などの登記をするものについては、その登記をした日をもって贈与日とするというように通達があるのである。よって時効は当然に関係ないということになる。なお、確定日付の入った公正証書があっても登記の日付で判断することになるので、注意が必要である。根拠規定は以下のとおりである。
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【財産取得の時期の特例】 の3・1の4共-11 所有権等の移転の登記又は登録の目的となる財産について1の3・1の4共-8の(2)の取扱いにより贈与の時期を判定する場合において、その贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限りその登記又は登録があった時に贈与があったものとして取り扱うものとする。
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贈与税の配偶者控除特例の落とし穴
贈与税の配偶者控除特例とは、20年以上の婚姻期間がある夫婦が、居住用の不動産を相手配偶者に贈与した場合、2000万円までは(暦年課税の110万円をプラスするとトータルで2110万円までは)贈与税がかからないという制度である。よく相続対策などで利用されるが、落とし穴があるので、要注意だ。
例として、夫から妻へ現金2000万円を贈与して、家を建替えするケースがあげられる。ここでポイントとなるのは、現金贈与日の翌年の3月15日までに、その新築に居住することが条件の一つであるという点だ。登記をし、住民票を写し、実際に電気ガス水道などのメーターが回っていることが必要なのである。
中には、工事がいろいろな事情で遅れてしまうこともあるかもしれないが、その場合でも受けられるケースもあるのであきらめる必要はないのだが、余裕をもって完成引渡しを受けられるようにしておくことが重要である。意外と間際になってあわてる人がいるので、要注意である。
ついでの話をすると、居住用家屋のうち、土地のみを一部持分で贈与したいというケースがあるが、これはこの特例の対象となるので安心して贈与してもらえばいいと思う。
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