「戸建ての売却は難しい」と聞いて、ご不安に感じていませんか。
- この記事では、戸建ての売却が難しいと言われる理由から、売れ残った場合のリスク、具体的な対策までを専門家が分かりやすく解説します。
- 高く売るためのポイントを知り、安心して売却活動を進めましょう。
「もし売れ残ってしまったらどうしよう?」
確かに、一戸建ての売却にはマンションとは異なる特有の難しさがあるのも事実です。しかし、売却が難しいと言われる理由や、売却が進まないときのリスクをあらかじめ理解し、適切な対策を講じることで、スムーズに売却できます。
本記事では、戸建て売却の基本的な流れから売却が難しいとされる理由、具体的なケース別の対処法、そしてお持ちの戸建てをできるだけ高く売却するためのポイントなどを解説します。
目次
一戸建ての売却が難しいと言われる理由
なぜ「一戸建ての売却は難しい」と言われることがあるのでしょうか。その背景には、マンションとは異なる一戸建て特有の事情があります。
主な理由を3つの観点から見ていきましょう。
① 資産価値が早く下がるため売却しづらい
木造住宅の場合、耐用年数が短く、築年数が進むごとに評価が下がりやすい傾向にあります。実際の使用に問題がなくても、買い手からは「古い家=劣化している」という印象を持たれやすく、結果として敬遠されるケースも少なくありません。さらに、住宅ローン審査における担保評価も厳しくなるため、買い手にとってはローンが組みにくいというハードルも生じます。
② 需要が限られており買い手が少ない
近年の日本では、少子化や単身・二人暮らし世帯の増加といった社会構造の変化に伴い、一戸建てのような広い居住スペースを必要とするファミリー層が減少しています。実際に、矢野経済研究所によると、2018年度以降、着工戸数は減少傾向が続いています。特に都市部では、交通の便や管理のしやすさから、コンパクトなマンションに人気が集中する傾向が顕著です。資産価値の観点からも、マンションに比べて価格の上昇率が低いとみなされることがあり、買い手の選択肢から外れやすい側面があります。
参考:株式会社矢野経済研究所戸建住宅市場に関する調査を実施(2025年)
③ 中古戸建てに対する購入者の不安が多い
日本では伝統的に「家を買うなら新築」という考え方が根強く、中古の建物に対して漠然とした不安を感じる購入者が少なくありません。特に一戸建ての場合、建物の内部構造や基礎の状態が見えにくいため、「耐震性は大丈夫か」「雨漏りやシロアリは発生していないか」といった品質への懸念が抱かれやすい傾向があります。また、間取りや設備が現代のライフスタイルに合わないことや、売主が負うべき契約不適合責任の期間が短いことも、購入をためらわせる要因のひとつといえるでしょう。
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戸建て売却の一般的な流れ
戸建ての売却は、一般的にどのようなステップで進むのでしょうか。全体の流れを把握しておくことで、計画的に準備を進めることができます。
① 不動産会社に査定を依頼
はじめに、売却したい戸建てがいくらで売れそうか、不動産会社に査定を依頼します。査定には、物件情報をもとに概算価格を算出する「机上査定」と、現地を訪問して詳細に調査する「訪問査定」の2種類があります。まずは複数社に机上査定を依頼し、その中から納得できる会社に訪問査定を依頼するのが効率的です。査定額の高さだけで選ぶのではなく、「なぜその価格になるのか」という根拠や「どのような販売戦略を考えているのか」を比較し、信頼できる会社を見極めましょう。
② 媒介契約の締結
売却を任せる不動産会社が決まったら、「媒介契約」を結びます。媒介契約とは、不動産の売却活動を正式に依頼するための契約です。媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、それぞれ同時に依頼できる会社数や、売主自身で買主を見つけられるか(自己発見取引)といった条件が異なります。ご自身の売却方針に合った契約形態を選びましょう。
③ 売却活動の開始
契約後、いよいよ売却活動が始まります。不動産会社は、不動産情報サイトへの物件掲載、チラシの配布、既存顧客への紹介など、さまざまな方法で買主を探します。このとき、物件の魅力を最大限に伝えるため、掲載する写真や間取り図をきれいに整えておくことが大切です。購入希望者から内覧の申し込みがあれば、室内を見学してもらうことになります。良い印象を持ってもらえるよう、家の中の清掃や整理整頓を心がけましょう。
④ 売買契約の締結
購入希望者が現れ、価格や引き渡しの時期などの条件交渉がまとまったら、売買契約を締結します。契約に先立ち、宅地建物取引士から物件に関する重要な事柄を説明する「重要事項説明」がおこなわれます。契約時には、買主から手付金(売買価格の5〜10%程度が一般的)を受け取ります。契約書の内容をしっかりと確認し、納得したうえで署名・捺印しましょう。
⑤ 決済・引き渡し
契約で定められた引き渡し日に、残りの売買代金を受け取り、物件の所有権を買主に移転します。当日は、司法書士の立ち会いのもと、所有権移転の登記手続きをおこないます。事前に鍵や登記済権利証、境界確認書などの必要書類を準備しておき、固定資産税などの精算もおこないます。これらの手続きが完了すると、取引は無事終了です。
戸建ての売却が進まないことによるリスク
万が一、戸建ての売却が長引いてしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは具体的な3つのリスクを紹介しますま
① 維持費がかかり続けるリスク
不動産を所有している限り、売却できない間も経済的な負担は続きます。たとえば戸建てでは、毎年の固定資産税や都市計画税だけで一般的に10万〜30万円ほどかかり、空き家であっても支払い義務はなくなりません。さらに、火災保険料や、近隣への迷惑を防ぐための最低限の維持管理(庭木の剪定、草刈り、清掃など)にも費用が必要です。維持費は売却が長引くほど積み重なり、最終的に売却できても手取り額が目減りしてしまうことにつながるため注意しましょう。
② 「特定空き家」に指定されるリスク
管理が行き届かないまま空き家を長期間放置すると、自治体から「空家等対策特別措置法」に基づき「特定空き家」に指定されてしまう可能性があります。特定空き家に指定されると、土地にかかる固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税金の負担が最大で6倍に跳ね上がることもあるため注意が必要です。さらに、自治体からの改善指導に従わない場合は過料(最大50万円)が科されたり、最悪の場合は行政によって家が強制的に解体され、費用を請求されたりする深刻なリスクも存在します。
③ 資産価値がさらに下落するリスク
時間の経過とともに建物は少しずつ劣化し、それに伴い資産価値も低下していくのが一般的です。売却活動が長引くと、市場での魅力が薄れ、売り出し価格を下げざるを得ない状況になることも考えられます。状況によっては価格の見直しや、後述する「買取」という選択肢を検討して早めに売却することが、結果として良い判断となる場合もあります。
【ケース別】戸建ての売却が進まないときの対処法
売却活動が思うように進まないときは、その原因に合わせた対策を講じることが大切です。ここでは、よくある3つのケースごとに対処法をご紹介します。
【ケース1】築年数が古い家の場合
築20年以上経過した戸建ての場合、まずは「売り出し価格」が相場に対して適正かを見直すことが重要です。価格が高すぎると、購入検討の対象から外されてしまいます。複数の不動産会社に査定を依頼するなどして、客観的な視点で価格を再設定しましょう。また、建物の専門家が状態を診断する「ホームインスペクション」を実施し、結果を買い手に開示することで、品質に対する不安を和らげる効果が期待できます。さらに、「住宅瑕疵保険」に加入しておけば、売却後に欠陥が見つかった場合の保証を付けられるため、買い手はより安心して購入を決断しやすくなります。
【ケース2】なかなか内覧者が来ない場合
内覧希望者がなかなか現れない場合、広告の掲載内容を見直してみましょう。物件写真の枚数を増やしたり、より魅力的に見えるアングルで撮り直したりするだけでも、印象は大きく変わります。室内の写真を中心に、間取り図も分かりやすく整理されているか確認し、物件の魅力が十分に伝わる情報量になっているかチェックしましょう。
【ケース3】郊外・地方に家がある場合
郊外や地方にある戸建ての場合は、立地の特性をポジティブに捉え、「広告内容」を工夫することが効果的です。例えば、「豊かな自然環境」「静かな住環境」「自治体の子育て支援制度」など、地域ならではの魅力を丁寧にアピールしましょう。物件の写真や間取り図を充実させることも、見込み客の関心を引くために重要です。該当するエリアの売却実績が豊富で、地域情報に精通した不動産会社に依頼することも大切です。地域に強い会社はその土地の購入を希望している顧客リストを持っている可能性が高く、買い手が見つかる機会を増やせます。
例えばポラスの仲介は、創業以来、埼玉県・千葉県・東京都に地域密着で事業を展開してまいりました。地域を知り尽くした私たちだからこそできるご提案がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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戸建てをできるだけ高く売却するためのポイント
せっかく売却するなら、できるだけ良い条件で取引を成立させたいものです。ここでは、戸建てを高く売却するために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
ポイント① 適切なタイミングで売却する
不動産の価格は、市場の動向や季節によっても変動します。一般的に、新生活が始まる前の2月〜3月や人事異動の多い9月〜10月は、住宅を探す人が増えるため、売却には有利な時期とされています。売却活動には準備期間も含めて3ヶ月から半年ほどかかるのが一般的であるため、逆算して早めに動き出すのが理想的です。計画的に準備を進めておけば、余裕を持って買い手との交渉に臨むことができ、希望価格での売却の可能性も高まります。
ポイント② 家の魅力を最大限に引き出す
内覧は、買い手が購入を決めるうえで非常に重要です。第一印象を良くするために、家の見た目や雰囲気を磨きましょう。専門業者に依頼するハウスクリーニングや、家の中をモデルルームのように演出する「ホームステージング」なども効果的です。そこまで費用をかけられない場合でも、ご自身でできる範囲の清掃や整理整頓、不要品の処分をおこなうだけでも印象は大きく改善します。特に、水回りや玄関、リビングは重点的にきれいにすることで、内覧時の印象アップが期待できます。
ポイント③ 信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産を売却するうえで大切なのが、不動産会社の選び方です。まず、査定額が高いからといって安易に決めてしまうのは避けましょう。とくに戸建ての売却では、実績が豊富で、その地域の特性に精通している会社を選ぶことが大切です。そのためには、複数社に査定を依頼し、提示額だけでなく担当者の提案力や対応の速さ、説明の丁寧さなどを比較してみてください。親身に相談に乗ってくれる信頼できる担当者と出会えるかどうかが、売却の成功を大きく左右します。
まとめ
戸建ての売却には、資産価値の下がりやすさや需要の問題など、確かに難しい側面もあります。しかし、売却の基本的な流れや起こりうるリスクを理解し、ご自身の状況に合わせて適切な対策をおこなうことで、納得のいく売却は十分に可能です。
特に、築年数が古い、郊外にある、なかなか内覧者が来ないといったお悩みをお持ちの場合は、一人で抱え込まずに不動産の専門家に相談することが解決への一番の近道です。
ポラスの仲介は、埼玉県・千葉県・東京都を中心に、長年地域に密着した不動産サービスを提供してまいりました。お客様一人ひとりのご事情やご不安に真摯に寄り添い、豊富な経験と知識に基づいて最適な売却プランをご提案させていただきます。
「まずは何から始めたらいいの?」「うちの場合はどうしたらいい?」といった些細なご相談でも大歓迎です。まずはお気軽にご相談ください。
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監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。