固定資産税の計算方法を徹底解説!
- 家・土地にかかる固定資産税はどうやって算出する?詳しく解説します
- 固定資産税を決める要素は?具体的な計算式詳しくご紹介します
- 固定資産税を減額する方法が見つかる!新築・中古住宅のシミュレーションも
また、実際にかかる固定資産税を把握するために、シミュレーションをご紹介。減額措置や特例制度とともに詳しく見ていきましょう。
固定資産税とは?
そもそも固定資産税とは、不動産を所有している人が支払わなければならない税金のこと。毎年1月1日時点で、その不動産を所有している人に対して、管轄の市町村から通知が送られ、納付するシステムです。
納付は年4回(6月、9月、12月、2月が一般的)にわけて行うことが多いですが、一括で納入することも可能です。支払い方法は、現金での納入のほか、口座振替、コンビニ払い、クレジットカードなど、自治体ごとに異なります。
固定資産税を決める要素
固定資産税の金額には、次の4つの要素が考慮されて変動します。
要素① 住宅の構造・広さ・設備
住宅の固定資産税は一律で決まっているわけではなく、建物の構造と広さ、設備が考慮されます。例えば、建物の壁、天井、床に使用されている建築材料や、キッチン・バスといった設備も考慮されることとなり、同じ広さの家であっても固定資産税がまったく一緒になるとは限りません。一般的には、占有面積が広くなれば固定資産税も高くなります。
要素② 個人が保有している資産
家、土地は個人が保有している資産とみなされるわけですが、それ以外にもボート、プライベートジェット、ヘリコプターといったものも資産とみなされます。それらの数や内容が考慮されることになります。要素③ 地価
土地の固定資産税は、地価の変動の影響を大きく受けます。例えば、周辺で都市開発が進んだり、近くに新しい公共交通機関が開通したりすれば、地価が上がることが考えられ、そうなると固定資産税も増えていく可能性があります。
建物については経年劣化のため、築年数がたつほど価値は減少していくものですが、土地に関してはそれほど大きな変動がありません。
要素④ 税率
固定資産税の税率は管轄の市町村が決めます。1.4%に設定されているのが一般的ですが、1.5%など異なる税率を取り入れている場合もあります。また、地域により固定資産税とは別に、都市計画税という税金がかかることもあります。都市計画税の税率は0.3%ですが、この分が別途かかることもあると覚えておくといいでしょう。
固定資産税の計算方法とは
固定資産税の具体的な計算方法について見てみましょう。固定資産税は、建物の部分と、土地の部分とそれぞれで算出されます。
建物部分の固定資産税の計算方法
建物の固定資産税を算出す計算式はこちらです。【固定資産税=課税標準額×1.4%】
課税標準額の算出はとても複雑で、上述した要素などが考慮され、次のような計算式で算出されます。
【課税標準額=評価1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正】
床面積を基本に経年劣化を考慮するなどするため、自分で課税標準額を算出することはとても難しいです。建築費用の5~7割程度が目安と言われています。
土地部分の固定資産税の計算方法
土地の固定資産税を算出する際も、建物と同様にこの計算式が使われます。【固定資産税=課税標準額】
土地の課税標準額は、土地の面積×路線価で算出できます。路線価とは、主要道路に面している土地の評価額のこと。国税庁のウェブサイトで公表されており、自分で確認できます。
償却資産の固定資産税の計算方法
償却資産とは建物や土地以外で、事業に使う機械や器具、備品などのこと。この償却資産にも固定資産税がかかり、次の計算式で算出します。【前年に取得した償却資産の評価額=取得価格 ×(1 - 耐用年数に応ずる減価率 ÷ 2 )】
【前年より前に取得した償却資産の評価額=前年度評価額 ×(1-耐用年数に応ずる減価率)】
固定資産税の減額措置や特例制度
固定資産税が減額となる制度があります。
新築住宅の優遇措置
新築住宅について、戸建て住宅なら3年間は2分の1に、マンションなら5年間は2分の1に減額される制度があります。これは2024年3月31日までに新築された戸建てやマンションが対象となります。また、新築の長期優良住宅なら5年間は2分の1に、マンションなら7年間は2分の1に減額されます。
小規模住宅用地・一般住宅用地の特例
住宅用地の固定資産税が減額される制度がこちら。200㎡以下の部分については6分の1に、200㎡を超える部分については3分の1に減額されます。リフォームによる軽減措置
省エネを目的としたリフォームや、バリアフリー、耐震改修などの工事を行った場合、固定資産税が減額される制度があります。固定資産税のシミュレーション
具体的に、固定資産税がいくらぐらいになるのかシミュレーションしてみましょう。
新築マンションの固定資産税額シミュレーション
物件:新築マンション床面積:70㎡
土地の固定資産税評価額 2000万円
建物の固定資産税評価額 1500万円
新築住宅と小規模住宅用地の特例が適用され、 以下のように減額となります。
土地の固定資産税=2000万円×1.4%×1/6=46,000円
建物の固定資産税=1500万円×1.4%×1/2=105,000円
合計 151,000円
新築の分譲住宅の固定資産税額シミュレーション
物件:新築分譲住宅床面積:100㎡
土地の固定資産税評価額 2500万円
建物の固定資産税評価額 1200万円
新築住宅と小規模住宅用地の特例が適用され、 以下のように減額となります。
土地の固定資産税=2500万円×1.4%×1/6=58,000円
建物の固定資産税=1200万円×1.4%×1/2=84,000円
合計 142,000円
中古住宅の固定資産税額シミュレーション
物件:中古マンション(築15年)床面積:80㎡
土地の固定資産税評価額 2000万円
建物の固定資産税評価額 1000万円
土地の固定資産税=2000万円×1.4%×1/6=46,000円
200㎡以下なので1/6になる軽減措置が適用されます。
建物の固定資産税=1000万円×1.4%×0.6225=8,715円
築15年の建物減価補正率0.6225をかけて算出します。
固定資産税の仕組みを理解しよう
不動産を所有していると納税しなければならない固定資産税。決して安い金額ではありませんから、どのような計算方法で算出されるのか、理解しておくといいでしょう。
また、固定資産税は減額される制度が多数ありますので、それらを利用することをおすすめします。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。