また、固定資産税の相場を調べる方法やその平均も詳しくご説明しています。さらに、固定資産税の支払時期、物件による固定資産税額の違いや、固定資産税が軽減される場合などを徹底的に調べてみました。
目次
固定資産税は何に対して課税されるの?
固定資産税は、所有する土地や家屋、償却資産に対して課税されます。
土地の場合、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)が課税対象です。
家屋の場合、住家、店舗、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫、その他の建物が対象となります。
償却資産とは、土地や家屋以外の事業用資産のことです。また、法人税法や所得税法の規定による所得の計算上、減価償却額もしくは減価償却費が損金や必要経費に算入されるものを指します。
簿外資産、償却済資産、一時的に減価償却していない資産なども償却資産となり、課税対象です。ただし、営業権といった無形減価償却資産、法定規則内の少額資産などは、課税の対象外となります。
戸建ての固定資産税の計算方法とは?
戸建ての固定資産税は、基本的に課税標準額と標準税率を掛け合わせ、算出します。
・課税標準額×標準税率(1.4%)=固定資産税
課税標準額とは、固定資産課税台帳に毎年1月1日の時点で登録されている固定資産の価格をもとに算出された税額のことです。 住宅用の課税標準額を算出する場合、「土地」と「家屋」に分けるようになっています。固定資産税を計算するためには、土地と家屋それぞれの固定資産評価額を出さねばなりません。
この固定資産評価額、通常は課税標準額と同一額です。しかし、各種の特例措置などが適用された場合、固定資産評価額は課税標準額よりも高くなることがあります。
土地の課税標準額
土地の課税標準額は、その立地や用途などを鑑みた上で国が決めた「路線価」に土地の面積を掛け合わせ、そこから出た評価額を用いるようにします。・路線価×土地の面積(地積)=土地の固定資産評価額
家屋の課税標準額
家屋の課税標準額は、再建築価格方式という計算方法を使います。これは、対象の家屋と全く同じ家屋を同じ土地に建てる際に必要な建築費用を現在価格で算出する方式です。この価格から経年原点補修率という経年による家屋の価値の減少率を掛け合わせます。・再建築価格×経年減点補正率=家屋の固定資産評価額
土地と家屋の評価額に各種特例措置などを適用したものが、それぞれの課税標準額です。ちなみに固定資産評価額は、3年に1度すべての固定資産が見直しされ、その時の地価に合わせて評価額が変わる仕組みになっています。
固定資産税の相場を調べる方法とは?
不動産を所有している場合、毎年固定資産税を支払わなければなりません。その固定資産税にも相場があるのです。
ここからは、固定資産税の相場を調べる方法を解説します。相場を知るためには、どうやら家屋調査が重要なカギになってくるようです。
家屋調査とは
家屋調査とは、新しく建てられた家屋の固定資産税を決定する際、各自治体が行う調査のことです。派遣された専門の調査員が家屋を外観から内装、設備機器に至るまで隅々チェックします。この家屋調査は、新築の物件のみが調査対象です。基本的に2年目以降は、毎年の地価や家屋の経年劣化などを踏まえ、固定資産税が算出されるようになります。
家屋調査で必要な書類
家屋調査の当日には、以下の書類を準備しなくてはなりません。1)建築確認済証
2)見積書
3)工事請負契約書
4)家屋の各階平面図(写し)
5)マイナンバーを確認できるもの
建築確認済証は、建築確認申請書類の一式が必要とされ、その中には平面図や立面図、断面図も含まれています。
家屋調査の注意点
特殊な設備機器が設置されている場合、固定資産税額は高くなります。通常の設備とみなされないもの、例えば、床暖房、埋め込み型のエアコン、2階部分に設置された浴室や洗面台、トイレなどが対象です。特に水回りの設備は、それぞれの個数や機能などに厳しいチェックが行われるため、家屋調査の注意点といえるでしょう。
戸建ての固定資産税の平均とは?
地価の変動や経年劣化による家屋の価値減少など、細かい条件に左右されやすいため、明確な平均値を出すことは難しい固定資産税。家屋の構造や設備、立地場所などにもよるのですが、戸建ての場合、その平均値は約10~12万円といわれています。
戸建ては土地の価格が加算されるため、その土地の広さや地域により、固定資産税の負担額は大きく変わります。
固定資産税の支払時期とは?
固定資産税にも支払時期があります。不動産を所有している方は、「知らない間に支払期限が過ぎていた」「支払方法が分からない」といったことがないように注意が必要です。ここでは、固定資産税の支払期限や支払い方法をご説明します。
支払期限
毎年1月1日に課税される固定資産税。その支払時期は原則年4回とされ、4~6月の間に納税通知書が送られてきます。それぞれの支払期限は、1期分が6月末日、2期分が9月末日、3期分が12月末日、最後の4期分が翌年2月末日です。この期限は市町村ごとの条例により、多少異なることもあります。
支払い期限を過ぎると延滞金が課されるため、手元に届いた納税通知書に記載された支払期限を必ず確認してください。
支払い方法
一般的に固定資産税は、年4回に分けた分割納入なのですが、1期分を支払う時に限り、1年分を一括で支払うことができる市町村もあります。支払い方法は以下の通りです。1)現金の窓口支払い(市町村・郵便局・金融機関・コンビニ)
2)口座振替による自動支払い
3)ペイジー支払い(ATM、インターネットバンキング、モバイルバンキング)
4)クレジットカード支払い
物件による固定資産税額の違いとは?
固定資産税は、課税対象となる不動産が、戸建てなのかマンションなのか、新築なのか中古なのかなど、物件の条件によっても違いが出てきます。
戸建て・マンションを新築と中古で比較
ある都市部の土地に耐用年数35年の新築・木造戸建てを購入したとします。その場合、初年度の固定資産税は約22万円程度となるとしましょう。それに対し、同じ都市部の同じ土地に耐用年数60年の新築・鉄筋コンクリート造りのマンションを購入したとします。その場合、初年度の固定資産税は約33万円程度となります。このように同じ新築の物件でも戸建てとマンションを比較すると、固定資産税額に11万円程度の差額があることが分かります。
また、上記と同じ条件で建てられた戸建てとマンションを築10年で購入した場合、それぞれの固定資産税は、戸建てで約25万円、マンションで約42万円。その差額は17万円まで大きく開いてしまうのです。
新築物件は戸建ての方が安い!
新築物件を購入する際、土地に適用される負担税額の特例措置があることをご存じでしょうか? 戸建てやマンションを購入する場合、どちらを選ぶのであれ、土地と建物を同時に購入することになります。マンションの構造上、その購入価格の比率は土地30%、建物70%ほどです。マンションは、その敷地面積を戸数で割るため、土地の所有面積が戸建てよりも狭くなります。
これに対し、戸建てを購入した際の価格比率は土地70%、建物30%ほど。この土地の割合から特例措置が適用され、戸建ての固定資産税が安くなるのです。 それでは、戸建てとマンションの固定資産税額を新築の場合と中古の場合で比較してみましょう。
固定資産税を抑える方法
ここでは、固定資産税を抑える方法をご紹介します。不動産の購入時や建て増し時の注意点、各自治体が設けている制度など、知っておくだけでも固定資産税の軽減につながるものばかりです。
ガレージなどの不動産を増やさないようにする
固定資産税を抑えるため、所有する不動産を増やさないようにしましょう。税法上において「屋根と三方を囲んだ壁があり、基礎等で固定された建物」は、家屋と見なされ、固定資産税の課税対象となります。たとえば、屋根・壁・シャッターのあるガレージや基礎のある倉庫などは、家屋扱いとなることから、固定資産税を払わなくてはいけません。対策としては、駐車場や物置を設置する場合、屋根だけの簡易型車庫や敷地内に置くだけの簡易型倉庫であれば、固定資産税の対象外となります。
自治体の減免・軽減制度を確認する
自治体が設けている減免・軽減制度の適用を受けることで、固定資産税を抑えることができます。たとえば、地震や火事などの災害によって、固定資産に損害を受けた場合、固定資産税を減免してくれる制度、高齢者(65歳以上)や特別障がい者などが一定の要件を満たせば、固定資産税を半額に軽減する制度などです。
この減免・軽減制度は、自治体によっても内容が大きく異なるため、最寄りの役場で制度の有無や詳細を確認するようにしましょう。
クレジットカードで支払う
クレジットカードで固定資産税を支払えば、ポイントが還元されるため、現金で支払うよりも還元額分を得することができます。手数料や還元率は、各自治体やクレジットカードの種類によっても違いますが、支払い額に応じたポイントが付与されるため、わずかでも固定資産税を抑えられるでしょう。
固定資産税が軽減される場合はある?
住宅にかかる固定資産税には、一定の条件を満たすことにより、税金を減額できる軽減措置があります。ここでは、住宅用地・新築住宅・中古住宅に適用される、それぞれの特別措置を見ていきましょう。
住宅用地の特別措置
住宅用地の特別措置が適用される条件は「住宅が建っていること」です。また、住宅としての用途変更をしなければ、適用対象となります。住宅が建っている場合、その土地の面積が200m2以下ならば「小規模住宅用地」と見なされ、課税標準の1/6まで減額される仕組みです。200m2を超えた部分も「一般住宅用地」となるため、課税標準の1/3に減額されます。住宅用地の特別措置は、建物のように期限が定められてないところも特徴です。
新築住宅の特別措置
新築住宅の特別措置は2022年3月31日までに新築された住宅が対象です。床面積が50m2以上280m2以下の家屋に適用されます。また、長期優良住宅の場合、軽減措置が2年間延長され、さらに3階建以上の木造住宅で準耐火建築物であれば7年間の半減措置が適用される仕組みです。長期優良住宅の申請においては、長期優良住宅認定通知書(コピー化)や建築確認申請書、検査済証などを自治体に提出しなくてはいけません。
中古住宅の特別措置
中古住宅でも、耐震や省エネ化、バリアフリーなどのリフォームをおこなえば、工事を完了した翌年度分の家屋に課税される固定資産税が減額される制度があります。2022年3月31日までに設けられた期間限定の特別措置であり、期限内に工事が終了していることが条件です。ただし、各自治体やリフォームの工事内容によっても、制度や適用条件などが異なります。
固定資産税の仕組みを知り、大切な不動産を賢く管理しましょう
この記事では、戸建ての固定資産税の概要をまとめてみました。固定資産税は、特別措置を適用すれば毎年の負担を抑えることができます。
税額の算出方法や相場、支払期限や支払方法など、分からない、知らないで終わらせてはいけません。固定資産税の仕組みや制度を理解することにより、大切な不動産を賢く管理していきましょう。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。