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贈与の基本は、贈与税と相続税の税率の差を利用する

年間110万円までの贈与には贈与税がかからないので、相続税対策として行う生前贈与の一つの目安になっている。しかし、贈与税を払ってでも財産を早く動かし、かつ相続税対策をしたい場合もあるので、今回は相続税と贈与税の実質税率を基に有利不利を判断できるように解説をしていく。

目次

「相続税」の税率を理解する

相続税の計算方法について、意外と勘違いしている人が多い。相続税の税率表は、課税価額を法定相続分で取得したと仮定して、この表に当てはめるようになっている。決して、課税価額の総額を表に当てはめるわけではない。

(例)相続財産3億円、法定相続人は子供が2人の場合
(3億円-基礎控除4,200万円)÷2人=1.29億円
この1.29億円を表に当てはめて1人の相続税を算出する。
1.29億円×40%-1,700万円=3,460万円
3,460万円×2人=6,920万円(合計)…実質23.066%の相続税率
 

「贈与税」の税率を理解する

贈与税は、贈与した金額-110万円をした金額を、贈与税率表に当てはめて計算する。

(例)親から子へ400万円を贈与した場合
400万円-110万円=290万円
290万円×15%-10万円=33.5万円…実質8.375%
 

時間がない場合は、110万円にとらわれない

贈与税の税率が、相続税の税率よりも低い場合は、贈与税を払ってでも贈与したほうが税金上は得になる。親が高齢だったり、資産が多い場合は、110万円の非課税範囲にとらわれずに考えることが重要だ。

(例) 相続税率が実質25.5%で、相続財産3億円、相続人2人の場合
(イ) 孫が4人、一人あたり400万円ずつ贈与とする 贈与税は33.5万円×4人=134万円
(ロ) 贈与後の相続税=6,280万円
(ハ) (イ)+(ロ)=6,414万円
(ニ) 贈与前の相続税=6,920万円
(ホ) (二)-(ハ)=506万円 お得!

贈与契約書を必ず作成すること

預金通帳から預金通帳への資金移動だけでは、贈与の証拠にはならない。短なるお金が動いたという事実がそこにあるだけだ。贈与はお互いの意思が証拠として残っていないとダメなので、贈与の度に贈与契約書を作ることがポイントである。
 

 

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【監修者】

森重 克昌
税理士法人 さくら税務
業務部 本部長
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