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安易な贈与は危険!

今回は、贈与税における落とし穴を紹介する。以前、税金の世界では贈与契約書が大切だと紹介したが、今回はそれ以外の、気をつけなければならない事案を紹介する。

目次

未成年への現金贈与

よく、「三歳の孫に贈与ってできるんですか?とか、何歳から贈与ってできるんですか?」という質問を受ける。この意味は、税務署が認めてくれるでしょうか?という意味と同義と思ってもらっていいのだが、答えは何歳からでもYESだ。

ただし、気をつけなければならないことがある。そもそも、民法上は受贈者(もらった人)に年齢制限を設けていないので、親権者が同意をすれば贈与契約は成立する。国税不服審判の裁決でも、未成年の場合は、本人が贈与の事実を知っていたかどうかは関係ないとされている。

注意すべき点は、贈与契約書を交わし、贈与の事実がしっかりと証明できるようにしておくことだ。未成年の場合、この贈与契約書に、必ず受贈者の親権者(法定代理人)として親の名前と住所を記載することだ。できれば父母とも、それぞれ記載をするといい。そして、最も重要なことは、この贈与された預金を親権者が管理することになるのだが、親権者は安易に引き出して使わないことである。あくまでも受贈者の預金であり、親権者の預金ではないからだ。

定期贈与とみなされないように

定期贈与とは、毎年又は毎月一定の金銭又は物を給付するというように定期的に履行する贈与をいう。たとえば、毎年100万円の贈与をして、10年間で1,000万円の贈与のような場合だ。どこが問題になるかというと、もともと1,000万円の贈与をする前提で、100万円ずつ分割しただけ、とみなされることだ。つまり一度に1,000万円の贈与とみなされるのだ。

これを避けるためには、毎年贈与契約書を作成することはもちろん、毎年、額や贈与日も同一にしないことがポイントである。

負担付贈与の注意点(1)

負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件とする贈与契約(たとえば、家屋を贈与し、その家屋の借入金を弁済させる)をいう。この場合、不動産の評価額は、相続税評価額ではなく、実際の取引時価で算定することになっている。例えば、土地の取引価額が1億円(相続税評価額は6,000万円)借入金が6,000万円の場合、贈与額は1億円-6,000万円=4,000万円ということになる。6,000万円-6,000万円=0円となり、贈与税がかからないということにはならないので注意が必要だ。

負担付贈与の注意点(2)

この負担付贈与の取扱いは、賃貸しているアパートやマンションを経営している場合にも適用されることがある。敷金が関係してくるのだ。敷金は入居者に返済しなければならない債務なので、賃貸アパート等を贈与すると、敷金を返還しなければならないという債務が付いた負担付で贈与したと取扱われるのだ。

ここで何が問題になるかというと、負担付でない賃貸不動産の贈与であれば、路線価や固定資産税評価額を使うことができるというメリットがあるのだが、負担付贈与に該当することでこのメリットを受けられず、取引時価で評価され税負担が増える可能性がでてくるのだ。

したがって、これを防ぐためには、賃貸不動産を贈与する場合には、入居者から預かっている敷金をくっつけて贈与をするといいのである。敷金相当額の現金とともに抱き合わせで贈与すれば、実質的に債務の負担はないということになり、負担付贈与とはみなされなくなるのである。また贈与者にも譲渡所得は発生しないというオマケも付いてくる。

  



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【監修者】

森重 克昌
税理士法人 さくら税務
業務部 本部長
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