(1)一般の人でも相続税の申告が必要になった!?
改正が発表されて既に1年以上経ったが、自分に影響があるのかどうか、あるとしたらどう影響が及ぶのかを知らない人が多い。
そもそも、財産がたくさんある人は「税額が増えます」ということで、生前贈与等で対策をすすめればいいが、問題は今まで相続税とは縁のなかった人たちだ。財産価格でいうと、だいたい5,000万円から8,000万円くらいの人たちが該当する。
まずは、申告が必要になる可能性がでてきたということである。更に相続税が発生するかどうかは、特例が使えるかによっても大きく分かれる。自宅の土地は、なるべく相続税の負担が少なくなるようにと「小規模宅地の減額の特例」という特例があり、相続税の計算上、価格を8割減少させることができるようになっている。よって、これが使える人で上記の価格帯の人は、相続税がかからない可能性が高い。
また、この特例は期限内に申告をして初めて適用できるという点も大事なポイントである。1日でも期限を過ぎると、適用は出来なくなるので注意が必要だ。ちなみに、相続税の申告期限は、亡くなった日から10ヶ月である。
(2)遺産分割協議書も必要
税務申告不要の人は、作成しないで登記もそのままほったらかしという人も結構いるのだが、税務申告が必要になれば、「遺産分割協議書」というものを作成しなければならない。これは誰が何を相続したかを決め、書類にし、相続人全員がそれぞれ実印を押すという重要な書類である。分ける財産が少ない人ほど、あるいは不動産が財産のほとんどである人は、改めてはっきりさせることになるので、実は結構もめる。
特に不動産はその価値そのものや収益力、あるいは思い入れによって、均等に分けることが難しいのだ。もめれば、10ヶ月なんてあっという間に過ぎてしまう。納税の多い少ない以前に、争いごとになって遺産分割が決まらず、そのせいで特例が使えず結果多く納税をしなければならない、という残念な結果になってしまうケースが起こるのである。
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監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。