
また、相続した土地を売却する場合、土地を分割相続する場合の方法も解説。さらに、土地のみを相続する場合の注意点も紹介していきますので、ご参考になさってください。
目次
土地を相続したら何をすればいい?
土地の相続は、なにからはじめたらよいのかわからないことも多いことでしょう。実は、土地を相続したら、最優先でやるべきことがあります。その事柄や流れ、必要な書類についてを解説していきます。
相続人の人数をチェック
まずやるべきことは、相続人の人数を確認することです。というのも、相続人が1人の場合と、複数の場合で手続きが変わってくるからです。 相続人が1人だけの場合を「単独相続」といいます。単独相続の場合は、手続きは不要です。しかし、相続人が複数いる場合は、手続きが必要となってきます。相続人が複数いる場合にまずやることは、遺言書の確認です。遺言書に家や土地の相続人についてどのように書かれているかを確認します。もし、遺言書がない場合は遺産分割協議をする必要があります。遺産分割協議とは、遺産となる不動産を、誰が相続するのかを決める話し合いのことです。相続は人の死亡時に発生し、その時点で相続人全員の共有持ち物となります。そのため、遺産分割協議で相続人を決める必要があるのです。
不動産の分割方法
不動産の遺産分割方法には、大きく分けて3つあります。ただし、遺産分割の明確な決まりはありませんので、あくまでも指針となる方法として捉えてください。◆換価分割
◆代償分割
◆代償分割
不動産の相続登記
複数の相続人で相続する場合には、誰がどのように相続するか協議しなければなりません。この協議のことを「遺産分割協議」といいます。協議によって相続の仕方が決まったら、不動産の名義を変更する手続きである「相続登記」を行います。 この相続登記の手続きには、期限が設けられていないのが特徴です。端的にいえばいつでもできることなります。そのため、この手続きを済ませず、放っておかれていることはよくあることです。
相続登記には期限がないのはよいのですが、もちろんデメリットもあります。それは後述します。
◆不動産の相続登記に必要な書類
-相続する人に関する書類
-被相続人(亡くなられた方)に関する書類
-相続する不動産に関する書類
◆不動産の相続登記の進め方
-1 法務局に必要書類を提出する
-2 法務局が相続登記書類の精査を行う
-3 登記識別情報通知書が交付される
土地の相続登記における注意点とは?
土地の相続登記に期限はないと前述しました。しかし、相続登記をせずに放っておくとことにより生じるデメリットがあるのです。そのデメリットについて解説していきましょう。 相続登記をしていないと、手続きが複雑化するのがデメリットです。名義を変更するまでの不動産は、相続人全員で共有されていることになります。
時間が経過するごとに相続人は増えていき、遺産分割協議が進まず、権利関係が複雑になっていく可能性があります。 また、相続登記上の名義が被相続人(亡くなった方)のままだと、土地の売却ができないこともデメリットでしょう。できるだけ早い段階で相続登記を行うことをおすすめします。
土地を相続するとかかる費用とは?
土地を相続した場合には、税金や費用がかかります。それにはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
相続税について
「相続税」とは、親や配偶者などの亡くなった方の遺産を相続する際にかかる税金のことです。これは、遺産の総額にかかりますので、相続した土地だけにかかるものではないことをあらかじめ知っておいてください。相続税は、すべての人が納めなくてはならないものではありません。その理由は、「基礎控除」という、相続税が非課税になる一定の枠が設けられているからです。遺産総額が、この基礎控除額を超える場合のみ、相続税を納税することになります。 この基礎控除額は以下の計算式で算出できます。
・基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税以外の費用について
相続税以外にかかる費用には、おもに3つあります。◆登録免許税
◆戸籍謄本など書類の取得費用
◆司法書士への報酬(手続きを依頼した場合)
相続税を引き下げる特例
相続税を引き下げる「小規模宅地の特例」があります。被相続人の不動産に対して、一定の条件を満たしていれば、大幅な減税が認められる制度です。この特例を受けられる不動産は、以下のいずれかに該当する宅地になります。
◆特定事業用宅地等
◆特定居住用宅地等
◆特定同族会社事業用宅地等
◆貸付事業用宅地等
相続した土地を売却する場合は?

「相続した土地を売却したい」ということもあるかもしれません。その場合、どのような流れで売却するのかというと、
1 相続登記で名義換えをする
2 不動産会社に売却依頼をする
3 買い手がつきやすい土地にする
4 不動産譲渡税を支払う
という手順を踏みます。それぞれを詳しく説明していきましょう。
手順1:相続登記で名義換えをする
まずは相続登記を行い、名義を変更します。名義を変更しないと、買い手がつきにくかったり、トラブルが発生することもあるので必ず名義換えをしておきましょう。手順2:不動産会社に売却依頼をする
名義換えを終えたら、不動産会社を訪れ、売却査定をしてもらいましょう。このとき、複数の不動産会社に査定してもらい、提示金額を比較してください。比較することで、相場が見えてきます。そして、売却を依頼する不動産会社を1社に絞り、媒介契約を結びます。手順3:買い手がつきやすい土地にする
どんなものも売るときには、きれいにしていたほうが買い手がつきやすいですよね。これは土地も同じです。購入希望者によい印象を与えるよう、土地に生えた雑草を抜いたり、ゴミなどがあれば片付けてきれいな状態にしておきましょう。手順4:不動産譲渡税を支払う
土地が売却できたら、不動産譲渡税を納めます。不動産譲渡税とは、土地や建物を売却して得た利益にかかる税金のことです。これは、利益が発生した場合のみ支払うことになります。土地を分割相続する場合の方法とは?
ここでは、土地を分割相続した場合の方法について詳しく解説していきます。分割相続の方法には、「現物分割」、「代償分割」、「換価分割」、「共有分割」があります。
現物分割
「現物分割」とは、不動産を複数に分割して相続する方法のことです。土地の現物分割は、利用価値のある十分な面積があれば検討に値しますが、狭い土地であれば別の方法で分割することをおすすめします。代償分割
「代償分割」は、相続人ひとりが土地をそのまま相続し、ほかの相続人に土地の価値分を現金で代償する(支払う)方法です。 代償分割が有効なケースとしては、・相続した土地に建物を建てて住むことが決まっている場合
・土地が狭く、分割し難い場合
・相続人の中に現物よりも現金で相続したい人がいる場合
などがあります。
換価分割
「換価分割」は、相続した土地を売却し、その売却金額を複数の相続人で分割することをいいます。現金化することで、分割は容易くなるのがメリットです。ただし、土地の買い手が見つかること、すべての相続人が納得する金額で売却できることが大前提です。共有分割
「共有分割」は、複数の相続人の共有名義のまま相続することです。そのままの状態なので遺産分割協議をする必要がなく、揉め事になることもありません。ただし、のちに不動産を売却することになった場合、相続人全員の同意が必要となります。ということは、面倒な手続きを先延ばししているだけとなり、時間が経過している分、手続きが複雑になったり、トラブルが発生したりすることもあります。土地のみを相続する場合の注意点とは?
土地のみを相続する場合、注意したいポイントがいくつかあります。その注意点をご紹介します。
土地相続の方法について
土地の相続は、相続人がひとりの場合はとくに問題はありませんが、相続人が複数いる場合は注意が必要です。どのようにして相続した土地を分けるのか話し合いをしなければなりません。 分割方法には、前述したとおり、「現物分割」、「代償分割」、「換価分割」、「共有分割」があります。どの方法にもメリット・デメリットがありますし、土地の面積や、相続人の人数によっても変わります。揉めないように話し合いをし、全員が納得する分割方法を決めましょう。手続きをすると変更が難しい
土地の相続は、一度手続きしてしまうと変更することが困難です。たとえば土地を売却すると買い戻すことはほぼできませんし、代償分割によって相続した場合、土地の価格の変動によって、ほかの相続人が不利になる可能性もあります。 ですので、相続人全員の納得する相続方法を決め、手続きを進めるようにしましょう。翌年から固定資産税がかかる
土地を現物で相続した場合は、相続した翌年から固定資産税がかかります。 固定資産税の税額は、対象となる不動産の固定資産税評価額に、原則1.4%をかけた額となります。よって、評価額が高いと固定資産税も高額となる恐れがあるので、固定資産税をきちんと支払うことができるか、相続前に確認しておいたほうがよいかもしれません。
土地を相続したら、早めに分割方法を決めよう!
今回は、土地を相続した場合の相続登記の注意点や、相続でかかる費用、売却方法、土地の分割相続する方法などを解説しました。 土地を相続したら、まずは相続人の確認を行ってください。
複数相続人がいる場合は、分割方法などを決める必要があります。円滑に相続するためにも、早めに協議することをおすすめします。
監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。