
それなら建物を解体して更地にしてしまえば売りやすいのかも、とお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし建物を解体するに当たっては、法律などの問題に触れるケースもありますので、十分注意する必要があります。
そこで今回は不動産売却に伴う家の解体についてご案内します。
家の解体とは
家の解体とは、その名のとおり家を壊して更地(土地だけの状態)にすることを言います。
不動産を売却する場合、一見建物がある方が高く売れると思われがちですが、それは建物が新しいうちの話で、築年数が経過して古くなってしまうと、いわゆるお荷物(建物が邪魔)になって買い手が見つからないケースもあります。そこで建物を解体してしまい、更地にすることで買いやすい環境にしてしまう動きがあります。
家の解体には、見えている建物部分はもちろんですが、それ以外の付随する建造物もすべて解体して撤去する必要があります。例えば、建物の基礎・庭・カーポートや車庫・物置・土間・門柱や門扉・フェンス・浄化槽などが挙げられ、住宅本体以外の部分も実は多いのです。
不動産売却で解体が必要になるケース
不動産には中古住宅として売り出されているケースはたくさんあります。また、家の解体には解体費用もかかりますから、建物が十分住めるレベルのものであれば、あえて解体して売る必要はありません。
しかし中には解体しないと売れない(売りにくい)場合があります。
築年数が経過しすぎている
築年数が30年以上経過しているなど、建物の価値がゼロに等しい場合で、あちこち傷んでいる場合は、解体を検討する必要があります。
また、近年の地震による大きな被害から、家の耐震性についての関心も高くなっています。特に旧耐震基準が適応されていた1981年以前に建てられた家は、耐震性が低いと言えますので、売りにくいでしょう。
そのままでは住めない場合
不動産売却においては「売主の契約不適合責任」があり、売買契約が済んだあとでも、シロアリや雨漏りなどの問題が発生した場合には、売主が修繕費用を支払わなければいけません。
例えば長い間空家になっていて、建物自体にダメージがある場合は大がかりな修理が必要で、数百万円かかる場合もあります。傾いている場合も同様です。費用はかかるものの解体を選択することで、今後の不安もなくなり売りやすくなると言えるかもしれません。
不動産売却時の解体費用について
「壊して撤去するだけなので、安いのでは」と思われがちですが、建物本体や周辺設備の解体費用に加えて、それらを処分する費用、養生や防塵、防音対策、そのほか事務手数料なども必要になるため、意外に費用がかかってしまいます。
場所や建物の種類にもよりますが、一般的には以下のような解体費用がかかります。
・木造:1坪あたり5~7万円
・鉄筋コンクリート:1坪あたり7~10万円
・RC住宅:1坪あたり7~10万円
上記は平均値ですので、実際には家の構造や近隣の状態、アスベスト対策の有無などによっても変化します。
また、価格だけで飛びついてしまうと、後で別料金を請求されたり、近隣の配慮が上手くできていなかったりとトラブルになるケースもあります。
価格とサービス内容、丁寧な仕事をしてくれるのかなどをしっかり確認したうえで、信頼ある業者へ依頼するようにしてください。
解体し更地にしてから売るメリット・デメリット
建物を解体して更地にすることで、メリットもあれば当然デメリットも発生します。
まずは、メリットとして以下のようなことが挙げられます。
・土地だけとして販売するので、敷地の広さも分かりやすく売りやすい
・空家の場合は老朽化による倒壊、植栽の越境、火災の問題がない
・建物の契約不適合責任など、売却後の保証や不安から解放される
そして、デメリットは、以下のようなことです。
・解体や撤去に費用がかかる
・土地だけにしてしまうと6倍程度の固定資産税がかかるため、早急に売却する必要がある
・思い出の建物がなくなってしまう
・法律の関係で、解体後同じ規模の家が建てられないケースもある
売却のしやすさや保証問題から解放されるなど、一定のメリットが期待できるものの、コスト面の多さがデメリットと言えるでしょう。
しかし更地の方が買い手も見つかりやすいことから、古い老朽化した建物であれば、思い切って解体することも検討してみてください。
このように家の解体をすることによって不動産が売りやすくなることがメリットの1つですが、一度壊してしまうと元には戻せませんので、上記を参考にしながら家の解体を検討してください。
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監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。