相続時精算課税制度で土地を取得した方へ
- 相続時精算課税制度で取得した土地を売りたい方は、この記事で注意点をチェック
- お得に土地を売却するためには、コツを知る必要があります
- 「ポラス」なら、相続時精算課税制度で取得した土地をスムーズに売却できます
土地の売却は、コツや注意点を知ったうえで、不動産会社をうまく使うことがポイント。今回はそのポイントやコツを徹底的に解説しています。
目次
相続時精算課税制度についておさらい
相続時精算課税制度は、65歳以上の親から満20歳以上の子(推定相続人)への贈与について、子・孫の選択により利用できる制度です。この制度は2,500万円までは、特別控除があります。しかし2,500万円を超えた分は、一律20%の贈与税が課税されます。
ここで具体例を見てみましょう。
3,000万円の贈与があった場合に、暦年課税を利用する場合と相続時精算課税を利用する場合では、どのような違いが出るでしょうか。
■暦年課税の場合
(3,000万円(贈与額)-110万円(基礎控除額))✕50%(贈与税率)-250万円(控除額)=1,195万円(贈与税)
■相続時精算課税の場合
(3,000万円(贈与額)-2,500万円(非課税分))✕20%(贈与税率)=100万円(贈与税)
なんと1000万円以上も節税できることとなります。
相続時精算課税制度を使った贈与における注意点は、こちらの記事をご覧ください:https://www.baikyaku.polusnet.com/column/detail.php?n=25
相続時精算課税制度の適用条件
相続時精算課税制度の適用条件は、下記の3つです。・贈与者が60歳以上の父母又は祖父母
・贈与を受ける者が20歳以上の子や孫
・贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日までに贈与税の申告書を提出している
適用要件に年齢が挙げられていますが、これは贈与があった年の1月1日時点で考えます。相続時精算課税制度を利用するためには、年齢がポイントとなります。数か月違いで制度が利用できないこともあるため、注意してください。
相続時精算課税を利用するメリットとは?
土地を売却する際に、相続時精算課税制度を利用するメリットには、下記が考えられます。
・売却利益が大きくなる可能性が高い
・すぐに売却手続きを進められる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット① 売却利益が大きくなる可能性が高い
土地の贈与にかかる税金が少ないということは、土地の取得にかかる費用が少ないことを指します。費用が少なければ利益が大きくなるため、売却益が大きくなる可能性が高いといえます。メリット② すぐに売却手続きを進められる
相続時精算課税を利用すると、暦年課税を利用する場合に比べて、土地の売却に早くとりかかることができます。暦年課税を使うと、年間110万円の控除しか使えないため、何年間もかけて贈与しなければなりません。一方相続時精算課税を使えば、一度に2,500万円までの贈与を非課税にできるため、時間がかかりません。土地の売却に早くとりかかることができれば、その間の余計な税金を払う必要もなくなります。
相続時精算課税を利用するデメリットとは?
相続時精算課税はお得な制度ですが、利用するデメリットもあります。利用する際は、以下のようなデメリットがあることを知っておきましょう。
・小規模宅地等の特例を利用できなくなる
・孫の税負担が大きい
相続時精算課税を利用して受け取った土地は、「小規模宅地等の特例」が適用されません。小規模宅地等の特例は、被相続人と一緒に住んでいた土地を相続した場合、その土地が小規模宅地と認められれば土地の価格の80%が非課税になる制度です。具体的に小規模宅地とは、大きさが330㎡以下の土地です。
また相続時精算課税を利用すると、孫の負担が大きくなってしまいます。遺産の相続人が故人の一親等の親族でない場合は、相続税額の2割が相続税に加算されるルールがあります。この仕組みは孫にも適用されるため、相続人でない孫も2割加算された相続税を支払わなければなりません。
相続時精算課税制度で取得した土地を売却するときの注意点とは?
相続時精算課税制度で取得した土地を売却する場合、注意点があります。手続きが漏れたり、想定外の費用が発生しないように、事前に確認しておきましょう。
1:売却に際し税務手続きが必要
売却に際して、税務手続きが必要なことを知らない人がいます。具体的には下記の3つが必要です。・相続時精算課税制度の選択届の提出
・贈与税の申告
・譲渡所得の所得税申告
相続時精算課税制度の選択届の提出は、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに提出します。
贈与税の申告も、相続時精算課税制度の選択届の提出と同様の期日です。
譲渡所得の所得税申告は、売却時に行います。
2:売却前に手続きが必要
売却前には下記2種類の手続きが必要です。・贈与契約書の作成
・名義変更登記
贈与契約書は、名義変更登記をするときに、所有者が贈与を希望した証明になります。
名義変更登記は、司法書士に依頼して行います。不動産売却は、所有者でなければ行えないため、必ず名義変更の登記が必要です。
3:売却に際し費用が発生
最後に土地の売却には費用がかかることを覚えておきましょう。代表的な費用を2つ紹介します。・測量費
・仲介手数料
測定費は、土地の正確な広さを測るための費用で、土地家屋調査士に貼ります。土地の大きさによって売却価格は変わるため、正確に境界線を決めて測定しなければなりません。
仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料です。400万円超えの場合、下記の式で計算できます。
仲介手数料=成約価格×3%+6万円+消費税
ただしこの計算式は、不動産会社によって変わる可能性もあるため、事前に確認しましょう。
土地の売却前にするべきこと
土地を売却する前には、やっておくべきことがあります。具体的には下記の3点を解説します。
①土地の調査
②周辺の相場観の把握
③売却意思の確認
1:土地の調査
土地の調査とは、その名の通り、土地の状況や状態を調べることです。土地を調査しなければ、売却後に不具合が発覚して、契約不適合責任を問われる可能性があります。また、土地の履歴を確認し、以前土地がどのように使用されていたかも確認しましょう。
2:周辺の相場の把握
周辺の相場を把握すると、不動産会社から受けた査定価格が、適切であるか判断できます。査定額の良し悪しがわからなければ、不動産会社の思うつぼです。周辺の相場は、レインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システムで、調べられるためご利用ください。
3:売却意思の確認(名義人が複数いる場合)
土地を売却する際は、名義人の意思確認が必要です。気を付けるべきは、名義人が複数人いるパターンです。名義人が複数人いる場合は、全員の売却意思を確認しなければなりません。一人でも売却意思がないと判断されると、売却できないため、注意してください。不動産会社の種類と選び方のポイントとは?
土地を少しでも高く売却したい場合は、不動産仲介がおすすめです。
それでは不動産会社は、どのように選べば良いでしょうか。具体的な選び方のポイントを紹介します。
ポイント① 査定は複数社に依頼する
1つ目のポイントは、査定を複数社に依頼することです。1~2社だけ見て、良し悪しを判断することはきわめて危険です。査定額の正当性を判断するためにも、最低3社程度は査定を依頼しましょう。ポイント② 高値査定を出した会社に安易に飛びつかない
不動産仲介会社の中には、あえて他かね査定額を提示するところもあります。他の会社と比べて著しく価格が高い場合、査定額に疑いを持ちましょう。査定と事実が全然違ったと後悔しないためにも、正確な情報をつかむ意識が重要です。
早めに買い手を見つけるためのコツと、見つからなかった場合の対処法とは?
不動産売買は手続きも煩雑で、エネルギーが必要なため早めに買い手を見つけたいところです。買い手を早く見つけるためのコツは、下記の4点です。
・相場並みで売れることを目指し、高値を目指しすぎない
・最低売却価格や値引き時における対応を事前に決めておく
・売り出した価格で進展がない場合の対処法を考えておく
・担当者とは密に連絡を取る
不動産売買でなかなか買い手が見つからない理由は、値段や引き際を決定していないためです。いつまでも高値や好条件を目指していては、なかなか買い手は見つかりません。事前に許せる条件を決めたり、対処法を考えておきましょう。
見つからなかった場合の対処法
条件を甘くしたにもかかわらず、買い手が見つからないケースはもちろんあり得ます。なかなか買い手が見つからない場合は、下記の方法を実行しましょう。・不動産会社を変える
・買取りに出す
・土地活用も検討してみる
土地をどうしても売却したい場合は、不動産会社を変えることも一つの手です。新しい視点や、顧客が見つかるかもしれません。
また、余った土地は、売却しかできないわけではありません。不動産買取に出したり、他の活用方法がないかも探ってみましょう。
まとめ
相続時精算課税制度は非常にお得な制度で、便利に活用できます。土地を相続し、その後売却したい方は、今回の記事を参考にしてください。
土地の売却は、難しく、根気のいる作業です。不動産会社を頼りながら、メリットのある取引を目指しましょう。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。