
実は資産価値の高い家には、ある共通した特徴が存在しています。
今回は家の価値の決まり方と資産価値の高い家の特徴について解説していきます。
目次
家の価値を調べる際の主な指標
家の価値を評価する際には、主な指標を考慮しましょう。
これらは、家の市場価値を正確に把握するための基本的な要素です。以下に、家の価値を調べる際に考慮すべき主な指標を紹介します。
指標 | 説明 |
立地 (ロケーション) |
家が所在する場所のこと。近隣の環境、交通アクセス、学校、商業施設、公園などの周辺施設が評価対象となる。 |
面積と間取り | 家の広さや部屋の数、間取り配置が重要。広い面積や多機能な間取りは、一般的に価値が高くなる。 |
築年数 | 家の建設からの経過年数。新しいほど価値が高いが、古くても適切なメンテナンスが行われている場合は高評価。 |
建物の状態 | 建物の内部・外部の状態。改修やリフォームの有無、構造の耐久性などが影響。 |
環境・景観 | 自然環境や景観の良さ。騒音や日当たり、眺望などが評価の対象。 |
市場動向 | 不動産市場の現在のトレンドや経済状況。需要と供給のバランスが価値に大きく影響。 |
法的要因 | 土地の用途地域や建築規制などの法的制限。これらが活用可能性に影響する。 |
周辺の価格相場 | 近隣の似た条件の物件の価格。これにより相場感がつかめる。 |
これらの指標を総合的に分析することで、家の市場価値を正確に評価できます。たとえば、優れた立地にありながら築年数が古い家でも、適切にリフォームされていれば高い価値を維持できます。
また建物の状態が良くても、周辺環境や市場の需要が低ければ価値が低く評価されることもあります。したがって、複数の指標をバランスよく考慮することが重要です。
特に最近では、スマートホーム機能やエネルギー効率などの新しい要素も価値評価のポイントとなっています。これにより、環境に優しい家や最新技術を取り入れた家が高評価を受ける傾向にあります。
これらの指標を用いることで、自分の家の価値をより正確に把握し、市場での適正価格を見極められます。売却や購入を考えている場合は、これらの指標を基にしっかりと調査を行いましょう。
家の価値の査定方法
家の価値を算出する方法には収益還元法、取引事例比較法、原価法の3つの方法があります。それぞれについて順に確認していきます。
収益還元法
収益還元法とは、不動産の価値について1年間の純収益を利回り(いわば利益配当)で割って求める方法です。たとえば、年間40万の経費がかかるが月12万円で貸せる家を利回り4.5%の設定としたい場合、家の価値を求める計算式は次のようになります。
家の価値=12万円×12か月-40万円÷0.045=約2311万円
この方法は周辺の賃料が分かりやすいマンションにおいて有効な方法です。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、周辺で取引された同じような家を基準に決める方法です。周辺に同じような家の取引がされていないような場合は相場観が近い街のデータを基準にします。
取引事例比較法は、不動産会社において最もよく利用されている方法になります。
原価法
原価法とは、今と同じ建物を取得する場合はいくらかかるのという観点から算出する方法になります。原価法=新価(同等の物を新たに入手する場合の価格)-経年劣化及び仕様による消耗分
資産価値の評価が高い物件
家の価値が高いと評価される物件は概ね駅に近くて住環境に優れ、防災性の高い地域にある家です。それでは、実際にどのような物件の価値が高いと判断されるのか具体的な内容について解説していきます。
駅近物件
通勤や通学に便利な駅近であるか否かは家の価値を決める重要な要素です。特にマンションでは徒歩10分以上というだけで検討対象から外されてしまうことも珍しくありません。一軒家でも徒歩20分が限度となることも多いです。それ以上の距離となると、バス停まで徒歩5分以内であるなどの付加要素が求められることもあります。
住環境
住環境も家の価値を決める重要な要素となりえます。たとえば、すぐ近くにスーパーやコンビニ、学校や金融機関など生活に必須な施設が多くあると、住環境が良好であるとして家の価値は高くなる傾向にあります。
逆に、産業廃棄物処理施設やパチンコ屋、火葬場などが近くにあると、住環境が好ましくないとして家の価値が低く判断される傾向にあります。
防災性
風水害の多い地域であるか、地盤は安定しているかといった防災性の高さも家の価値を決める重要な要素になります。地盤が安定し、水害や土砂崩れによる被害の恐れもないという土地にある家は価値が高いと判断されます。
防災性の低い地域ではせっかく家を購入してもすぐに損壊してしまう恐れもあり、それだけで敬遠されることも多くなります。
築年数が古くても人気の不動産の特徴

家の価値は築年数に左右されやすいとはいえ、それだけですべてが決まるわけではありません。
築年数が古い家でもその他の条件によって価値が高いとされることもよくあります。
人気エリア
人気のエリアにある家は価値が落ちにくく、築年数が30年以上となっても価値が高いということもよくあります。新規に開発する土地がない地域
新規に開発する土地がない地域は物件の売り出しが少なくなるため、築年数が古くても家の価値が下がりづらい傾向にあります。大規模開発が決定した地域
今後発展の見込まれるような大規模開発が決定した地域にある家は、築年数が古くとも価値が下がりづらく、多くの場合開発決定前と比べて価値が大きく上昇します。早めに売ったほうが良い物件
家によっては現在の価値に関わらず早めに売ったほうがいいこともあります。
具体的には以下のような条件に当てはまる家です。
過疎化が進んでいる地域
過疎化が進んでいる地域は不人気な地域です。そういった地域は今後も家の価値の下落が続くことが多く、早めに売ったほうが良いという場合がほとんどです。個性的な間取りの家
個性的な間取りの家は居住者を選びます。多くの人にとって住みづらいといえる個性的な間取りの家は、築年数の経過により価値が落ちていく一方であるため早めに売ることをおすすめします。
具体的な家の価値を調べる方法
家の価値を正確に調べるには、以下のような方法があります。
■オンライン評価ツールの利用
不動産サイトや専用の評価ツールを利用すると、家の価値を算出できます。物件の所在地や面積、築年数などの基本情報を入力するだけで、おおよその市場価値を知ることができます。
■近隣の売買事例を調査
近所で最近売買された物件の価格を参考にすることも有効です。類似の物件の価格を調べることで、自分の家の相場を把握する手がかりになります。
■不動産エージェントに相談
プロの不動産エージェントに評価を依頼することで、より正確な市場価値を知ることができます。エージェントは市場の動向や物件の特徴を考慮し、詳細な評価をしてくれます。
■公的機関のデータを活用
政府や自治体が提供する不動産の価格データベースを利用することも有効です。これらのデータは信頼性が高く、客観的な情報を得ることができます。
■評価書の取得
不動産鑑定士に依頼して評価書を作成してもらうことで、正式な価値を確認できます。これは特に売却を考えている場合に有効です。
これらの方法を組み合わせることで、家の価値をより正確に調べることができます。それぞれの方法について、目的や状況に応じて最適なものを選びましょう。
■参考関連リンク:
あなたの家はいくら?不動産の資産価値の調べ方・計算方法を徹底解説!
家の価値を調べるときの注意点
家の価値を調べる際には、いくつかの注意点があります。自分で調べる場合、専門家に依頼する場合についての主な注意点を紹介します。
自分で調べる場合
自分で家の価値を調べる場合、まずは信頼性の高い情報源を探すことが重要です。オンライン評価ツールや不動産情報サイトを利用すると、簡単に大まかな市場価値を知ることができます。しかしこれらはあくまで参考値を提供するものであり、必ずしも正確な価値を反映しているわけではない点に注意しましょう。
次に、近隣の売買事例を調査することも有効です。似たような条件の物件の価格を調べることで、自分の家の相場を把握する手助けになります。
ただし物件の状態や具体的な立地条件など、価格に影響する要素は多岐にわたるため、単純な比較だけで結論を出すのは避けるべきです。
さらに、公的機関の提供するデータを活用することも検討しましょう。政府や自治体が提供する不動産の価格データベースは信頼性が高く、客観的な情報を得ることができます。
不動産会社に依頼する場合
不動産会社に家の評価を依頼する場合、まずは信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。不動産会社によっては、特定のエリアや物件タイプに強みを持っている場合があり、適切な会社を選ぶことでより正確な評価を得られるでしょう。また複数の不動産会社に評価を依頼することで、より多角的な視点からの評価を得ることができます。
さらに不動産会社に評価を依頼する際は、物件の詳細情報をしっかり提供することが大切です。建物の状態やリフォーム歴、周辺環境など、評価に影響する情報を正確に伝えることで、信頼性の高い評価を得ることができます。
注意点としては、不動産会社が提供する評価額には、売却を前提とした営業目的が含まれていることがあるため、必ずしも中立な評価とは限らない点です。
そのため評価結果をそのまま鵜呑みにするのではなく、他の情報源と比較しながら判断しましょう。
不動産鑑定士に依頼する場合
不動産鑑定士に家の価値を評価してもらう場合は、最も正確で信頼性の高い評価を得ることができます。不動産鑑定士は公正な第三者として法的根拠に基づいた評価を行うため、評価の精度が非常に高いです。特に相続や売却などの法的手続きを伴う場合には、不動産鑑定士の評価が必要不可欠です。
依頼する際には、鑑定士の資格や経験、評価実績を確認することが重要です。信頼できる鑑定士に依頼することで、安心して評価結果を利用できます。
注意点としては、不動産鑑定士に依頼する際の費用が比較的高額であることです。しかし、その費用は正確な評価を得るための投資と考えることもできます。また鑑定結果が法的効力を持つため、後々のトラブルを避けるためにも役立ちます。
【築年数別】家の価格と10年後の価値の推移シミュレーション
家の価格は築年数によって大きく異なり、時間の経過とともにその価値も変動します。ここでは、築年数ごとに家の価格と10年後の価値の推移をシミュレーションしてみましょう。以下の表は、一般的な住宅の価値の変動を簡単に示したものです。
築年数 | 現在の価格 | 10年後の 予想価格 |
価値の 変動率 |
新築 | 3,500万円 | 2,800万円 | -20% |
5年 | 3,000万円 | 2,400万円 | -20% |
10年 | 2,500万円 | 2,000万円 | -20% |
20年 | 1,800万円 | 1,440万円 | -20% |
30年 | 1,200万円 | 960万円 | -20% |
新築
新築の家は最も高い価格で取引されます。しかし、購入後数年間で価値が下がる傾向があります。これは時間の経過とともに建物の新しさが失われ、需要が低下するためです。築5年
築5年の家はまだ比較的新しく、設備や内装の状態も良好です。このため価値の減少は新築に比べて緩やかです。しかし、依然として10年間で約20%の価値減少が見込まれます。築10年
築10年の家は設備の一部に更新が必要になることが増え、価値がさらに低下する傾向にあります。メンテナンス次第ではあるものの、10年後には価値が約20%減少すると予想されます。築20年
築20年を迎えると大規模なリフォームや修繕が必要になることが多く、これが価値に大きく影響します。家の機能や性能が時代遅れになるため、さらに価値が下がることも予想されます。築30年
築30年の家は建て替えや大規模な改修を考える時期に入ることが多く、価値は大幅に下がります。建物の老朽化が進み修繕費用が増えるため、10年間で20%の価値減少が見込まれます。■参考リンク:
戸建てを売却する際に知っておくべき築年数との関係
まとめ
家の価値は築年数だけでなく、住環境や地域の将来性などによって決まります。現在あまり価値の高くない家であっても、街の開発が決定して一気に価値が高くなるということも珍しくありません。
もし家の価値が気になった時は、お近くの不動産会社に相談するとよいでしょう。
監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。