
土地の価値についても正確に把握しておかなくては、相続や家族間の持分、財産分与などで問題になるかもしれません。
この記事では不動産売却について基礎知識として、不動産売却に関わる様々な悩みや問題を相談する場所、専門家などを内容別にまとめています。
目次
不動産売却に関する基本的な売却相談は【不動産会社】
不動産を売却するにあたり、不動産会社に相談を行うケースを想定したポイントを紹介します。
不動産会社に相談・依頼できる内容
不動産を売却する際、最も基本的な方法となるのが不動産会社に相談する方法です。土地を売却するためには、不動産会社の訪問査定が必要だからです。不動産会社に相談・依頼すれば、その土地の不動産相場を踏まえて、地価や間取り、築年数なども含めた総合的な資産価値を算定してくれます。
また売却することを決定した場合でも、買取と仲介という選択肢があり、売主は自分の状況や資金力に応じた売却方法を選べます。
不動産会社は土地の査定や売却活動だけでなく、新居購入に向けたアドバイスや資金計画、住宅ローン、確定申告など様々な相談にも対応可能です。
そのため初めて不動産を売却する人や専門家からのアドバイスがほしい人は、不動産会社に相談・依頼するのがおすすめです。
不動産会社に相談するメリット・デメリット
不動産会社に相談するメリット・デメリットをまとめると、次の通りです。メリット | ・専門家の適切なアドバイスがもらえる ・多くの買い手に不動産をアピールできる ・売却活動に伴う交渉や手続きを代行してもらえる ・売却に伴うトラブルを回避しやすい ・適正価格で売却しやすい |
デメリット | ・仲介手数料がかかる ・売却活動期間が長くなる場合がある ・対応する担当者のスキルや経験によってはうまくまとまらない ・不動産会社主導の売却になってしまう可能性がある |
また上記のメリットのほかにも、売却相談自体には原則として費用が発生せず、簡易的な見積もりだけなら査定費用が無料にしている不動産会社は多いです。メリット・デメリットのバランスを見て、不動産会社に相談すべきかどうかを判断しましょう。
不動産会社への相談がおすすめな人の特徴
不動産売却を行う場合に、不動産会社への相談がおすすめな人の特徴を挙げると次の通りです。・不動産売却の専門知識や経験がない人
・一日でも早く不動産を売却したい人
・高い価格で売却したい人
・売却活動の時間的余裕がない人
・トラブルのリスクを減らしたい人
・相場価格で売却したい人
・効果的な宣伝や広告を打ち出したい人
上記の特徴に当てはまる人は、不動産会社に売却の相談を行うのがおすすめです。
不動産会社に相談する方法
土地売却について不動産会社に相談するには、まず不動産会社を決定することです。不動産会社を決定しないことには、売却活動も進められません。しかし不動産会社を決定するには、不動産会社の得意分野を把握することが重要です。
マンション・戸建て・賃貸など、不動産会社によっても得意分野は異なります。そのため不動産一括査定サイトで複数の不動産会社から査定額の見積もりを受け取り、その内容によってどの不動産会社にすべきか選ぶのがよいでしょう。
空き家も含めた相談は【自治体・市役所(空き家バンク)】
不動産相談の中でも、空き家を含めた相談をするなら自治体・市役所が運営する「空き家バンク」がおすすめです。空き家バンクとはどのような仕組みなのか、詳しく紹介します。
自治体・市役所(空き家バンク)に相談・依頼できる内容
空き家の処分方法も含めて相談する場合、自治体・市役所にアドバイスをもらうのがおすすめです。自治体にもよりますが、空き家バンクを運営している自治体であれば、空き家を売却したい人と購入したい人のマッチングシステムを導入していることがあるからです。そのため、自分の理想に合う不動産会社がない場合、自治体の空き家バンクに相談して売却活動を進めるのがよいでしょう。
自治体・市役所(空き家バンク)に相談するメリット・デメリット
自治体・市役所(空き家バンク)に空き家売却の相談をするメリット・デメリットは次の通りです。メリット | ・空き家を求める人への訴求効果が高い ・手数料が安い ・自治体からのサポートを受けられる ・売却以外の活用法も提案してもらえる |
デメリット | ・ターゲット層が限定される ・地域によって競争率が高い可能性がある ・十分なサポートを受けられないことがある ・売却に条件がつけられる場合がある |
自治体・市役所の空き家バンクは利用料金が安く、空き家売却においては便利な方法です。一方で空き家の購入希望者はターゲットとなる購買層が少ないため、競争率の高さと売却活動が長引きやすさがデメリットとなる点に注意しましょう。
自治体・市役所(空き家バンク)への相談がおすすめな人の特徴
空き家売却において、自治体・市役所(空き家バンク)への相談がおすすめな人の特徴は次の通りです。・売却関連の費用を抑えたい人
・地方移住希望者をターゲットにしたい人
・売却までに時間の余裕がある人
・売却以外の活用方法も知りたい人
・自分に合う不動産会社が見つからない人
上記の特徴に当てはまる人は、自治体・市役所や空き家バンクに相談するのがおすすめです。
自治体・市役所(空き家バンク)に相談する方法
自治体・市役所または空き家バンクに相談する場合、次の方法がよいでしょう。・空き家バンクに相談する場合:
インターネットで「(地域名) 空き家バンク」で検索する
・自治体・市役所に相談する場合:
住宅課や都市整備課に相談する
自治体に空き家バンクがないケースもあるため、その場合は住宅課や都市整備課への相談が第一選択になります。
不動産売却の登記依頼や相談は【司法書士・法務局】
不動産売却に伴う登記依頼や相談をするには、司法書士や法務局が窓口となります。それぞれの相談できる内容やメリット・デメリットなどを見ていきましょう。
司法書士・法務局に相談・依頼できる内容
司法書士・法務局は不動産売却そのものの相談はできませんが、売却後の登記に関する相談が可能です。不動産売却に関わる主な登記には、次のものがあります。・表題登記作成
・所有権保存
・所有権移転
・抵当権設定
・抵当権抹消
不動産売却において、買主は所有権移転、売主は住所変更や抵当権抹消といった登記を行うのが一般的です。またこのほかにも相続した土地を売却する場合に、名義人の変更を忘れているときも司法書士・法務局へ相談することになるでしょう。
特に相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を行わないと10万円の過料が科されます。不動産の登記についてよくわからない人は、司法書士や法務局に問い合わせる必要があります。
司法書士・法務局に相談するメリット・デメリット
司法書士・法務局に不動産売却に関する登記を相談・依頼するメリットとデメリットは次の通りです。メリット | ・専門家が手続きするのでスムーズに進められる ・法律関係のトラブルを防止できる ・時間が節約できる ・登記に関する詳細な情報が得られる |
デメリット
|
・司法書士に支払う報酬が発生する ・依頼できる内容は登記に関することが中心になる ・登記申請に必要な書類の準備に時間がかかる |
司法書士や法務局は登記の専門家ですから、登記に関する詳細な情報を指導してもらえます。ただし法務局は個別の案件に対する具体的なアドバイスは行っていないため、相続登記の代行を依頼するなら司法書士を選ぶことになるでしょう。
司法書士・法務局への相談がおすすめな人の特徴
不動産登記で司法書士・法務局への相談がおすすめな人の特徴は次の通りです。・登記申請を初めて行う人
・法的なリスクを避けたい人
・手続きをスムーズに済ませたい人
・不動産売却に複雑な事情がある人
・不動産登記の基本知識を知りたい人
上記に当てはまる人は、司法書士・法務局への相談がおすすめです。不動産登記は準備する資料や手続きの複雑さから、専門知識がないと申請までに膨大な時間を要します。
また法務局で相談すれば、無料で登記に関する基礎知識や申請書作成の手順も指導してもらえますから、不動産登記の手続きに不安がある人は相談してみましょう。
司法書士・法務局に相談する方法
司法書士に相談・依頼するには、インターネットで「(地域名) 司法書士事務所」と検索し、該当する地域の司法書士事務所を探します。このほかの方法としては、日本司法書士会連合会や都道府県の司法書士会のホームページで、各地域の司法書士事務所を検索する方法もあります。また不動産会社に売却を相談した場合、提携している司法書士を紹介してくれるケースもあるため、先に不動産会社へと相談しておくのも有効です。
そして法務局へと登記の相談をする場合、まずは登記手続きの案内を受けるための予約が必要になります。各地域の法務局のホームページ、または電話で予約を取って相談しましょう。
不動産売却で発生する税金の相談は【税理士】
不動産売却で発生する税金について相談する場合、相談先は税理士となります。税理士にはどのような相談・依頼ができるのか、相談のメリット・デメリットは何かを紹介します。
税理士に相談・依頼できる内容
税理士は税制の専門家として、確定申告書や遺産分割協議書の作成、節税対策、譲渡所得税の計算などを行います。そのため不動産売却に関する細かな課税額の計算や節税対策、その後の確定申告まで一括して相談・依頼できます。不動産は所有期間や居住の有無などによって利用できる制度や控除額が変わるため、専門知識を持つ税理士の存在は非常に重要です。
税理士に相談するメリット・デメリット
不動産売却で発生する税金に関する内容を税理士に相談する場合、次のようなメリットとデメリットがあります。メリット | ・節税対策ができる ・適切な確定申告ができる ・手続きの負担が軽減される ・資金計画について相談できる |
デメリット | ・税理士に支払う報酬が発生する ・思うような節税効果につながらないことがある ・税理士の得意分野によってはサービス内容に不満が残る ・時期を誤ると対応してもらえないことがある |
上記の通り、税理士に相談することで節税対策ができ、確定申告にまつわる複雑な譲渡所得税の計算と申請手続きを税理士に任せられます。そのため時間に余裕がない人は税理士に相談すると、余裕を持って節税対策と確定申告を進められるでしょう。
ただし税理士に依頼する際は、税理士が不動産売却の案件をどれだけ経験しているかが重要になります。経験の少ない税理士はサービス内容が不十分だったり、法制度にも詳しくなかったりするリスクもあるため注意してください。
税理士への相談がおすすめな人の特徴
不動産売却での税金に関して、税理士への相談がおすすめな人の特徴は次の通りです。・不動産売却で複雑な税の計算と確定申告が発生する人
・節税対策を進めたい人
・不動産売却以外にも不動産の収入を得ている人
・相続や贈与に関連した不動産売却を行う人
上記の特徴に当てはまる人は、不動産売却で節税対策や確定申告が必要になる可能性が高いため、税理士のアドバイスを受けるのがおすすめです。
税理士に相談する方法
税理士に相談するには、インターネットで「(地域名) 税理士事務所」と検索するか、不動産会社に税理士の紹介を依頼する方法があります。まずは無料で税理士に相談したい人は、各自治体が開催する無料相談会を利用するのもよいでしょう。不動産売却の確定申告の相談は【税務署・国税庁電話相談センター】
不動産売却の確定申告を相談する場合、期間は限定されますが無料で利用できる国税庁電話相談センターがあります。国税庁電話相談センターではどのような相談ができるのか、メリット・デメリットなどを紹介します。
税務署・国税庁電話相談センターに相談・依頼できる内容
不動産売却の確定申告に関しては、毎年2月16日から3月15日までの期間限定で国税庁電話相談センターに確定申告の相談ができます。国税庁電話相談センターに相談できる内容は、国税に関するものが基本で、地方税に関しては対象外です。具体的には所得税・源泉所得税・資産税・法人税・消費税などに関するもので、内容に応じて国税庁電話相談センターから税務署へと転送されます。地方税の所得課税(住民税・事業税)や資産課税、一部の消費税については対象外となる点に注意しましょう。
税務署・国税庁電話相談センターに相談するメリット・デメリット
不動産売却の確定申告について、税務署・国税庁電話相談センターに相談するメリットとデメリットは次の通りです。メリット | ・無料で相談できる ・税に関する公式情報や見解を得られる ・税に関する基本的な質問にもアドバイスがもらえる ・正式な書式や提出方法について指導を受けられる |
デメリット | ・詳しい節税方法についての情報は得られない ・専門的な内容や詳しい相談までは対応してもらえない ・時期によっては対応が難しいことがある ・質問内容によっては解決できない問題もある |
上記の通り、税務署・国税庁電話相談センターは国の機関であり、無料で税金についての相談ができるうえ、最新の税制情報を入手できます。
ただし個別の案件や節税対策といった内容には対応していないため、あらかじめ何を尋ねたいか明確にしてから相談することが大切です。
税務署・国税庁電話相談センターへの相談がおすすめな人の特徴
不動産売却の確定申告にあたり、税務署・国税庁電話相談センターへの相談がおすすめな人の特徴は次の通りです。・税金の基本知識を知りたい人
・確定申告の流れを理解したい人
・自分で確定申告書を作成したい人
・控除や特例の適用基準を知りたい人
・費用を抑えたい人
・申告に必要な書類を知りたい人
・税務署で直接アドバイスを受けたい人
税務署・国税庁電話相談センターに相談する方法
国税庁電話相談センターに相談するには、国税相談専用ダイヤルまたは各地域の税務署の代表番号に電話で連絡し、口頭で要件を伝えましょう。営業時間は平日の8時30分から17時00分までとなっているため、土日祝日は対応していません。また電話以外の方法としては、「チャットボット(ふたば)」なら24時間対応しているため、平日の電話連絡が難しい方は利用をおすすめします。
土地売却に必要な測量や境界確定の相談は【土地家屋調査士】
土地売却を行う際、資産価値を高めるためには土地の正確な測量と境界確定が重要なポイントです。そこで土地家屋調査士に相談できる内容、メリット・デメリットなどを紹介します。
土地家屋調査士に相談・依頼できる内容
土地家屋調査士は土地の境界標調査や地積測量図の作成など、土地の調査・測量を行ってくれます。土地を売却する際、土地の価値を決めるのが土地の測量図や境界標です。売却後に聞いていた面積と実際の面積が違っていたり、境界線の問題で隣地とトラブルになったりすることは珍しくありません。
そのようなトラブルを避け、土地の資産価値を高めるためにも土地家屋調査士へ相談・依頼するのは非常に重要です。
土地家屋調査士に相談するメリット・デメリット
土地売却前の測量や境界調査で土地家屋調査士に相談するメリット・デメリットは次の通りです。メリット | ・隣地との境界問題を防止できる ・正確な土地面積を測定できる ・法的効力を持つ測量図や境界確定図を作成できる ・境界や土地面積に関する複雑な手続きをスムーズに進められる |
デメリット | ・土地家屋調査士に支払う報酬が発生する ・境界確定には時間がかかる場合がある ・隣地所有者とトラブルになるケースがある ・測量や境界の調査は必須ではない |
土地家屋調査士への依頼は土地の面積や境界に法的効力を持たせ、土地の価値を高める有効な手段です。
一方で土地売却で必須の手続きではないため、費用負担が気になる人や隣地とのトラブルを避けたい人は依頼しないという選択肢もあります。
土地家屋調査士への相談がおすすめな人の特徴
土地売却前の測量や境界調査で、土地家屋調査士に相談するのがおすすめな人の特徴は次の通りです。・隣地との境界が不明瞭な土地を持っている人
・古い土地を持っており、登記簿の記録が不明確になっている人
・隣地所有者と境界トラブルが発生している人
・土地分割や再利用を予定している人
・土地売却で買主に境界確定図や測量図の提供を求められた人
上記に当てはまる人は、土地の価値を高めることに加え、売却後の隣地トラブルまで考慮して土地家屋調査士へ相談するのがおすすめです。
土地家屋調査士に相談する方法
土地家屋調査士を探す場合は、インターネットで「(地域名) 土地家屋調査士事務所」と検索するか、各都道府県の土地家屋調査士会のホームページで該当地域を検索するのがおすすめです。土地家屋調査士事務所によって費用は若干変わるため、費用面と実績を踏まえて最適な土地家屋調査士を選びましょう。
不動産売却に関するトラブル・法律相談は【弁護士】

不動産売却では、取引におけるトラブルリスクを軽減するために、弁護士に立会いを依頼することも珍しくありません。不動産売却における弁護士への相談・依頼内容やメリット・デメリットなどを紹介します。
弁護士に相談・依頼できる内容
弁護士には法律の専門家として、不動産取引の契約内容が適正なものかという法的な判断、相手方とトラブルになった場合の相談業務、訴訟における代理人などを依頼できます。相続が発生した場合には、現在の所有者が誰になっているのか、登記に関する相談にも対応しています。特に売買契約では契約書の内容によってトラブルになるケースもあるため、費用はかかっても弁護士に相談・依頼しておくのがおすすめです。
弁護士に相談するメリット・デメリット
不動産売却に関するトラブル・法律相談で、弁護士を頼るメリット・デメリットは次の通りです。メリット | ・法律の専門家から法律を根拠にしたアドバイスを受けられる ・問題が発生しても一緒に解決してもらえる ・訴訟で代理人を任せられる ・不動産売却の事件に基づいたアドバイスがもらえる |
デメリット | ・弁護士に支払う報酬が発生する ・法律トラブルの場合は時間がかかる ・専門分野によっては対応が難しい場合がある ・必ずしも満足のいく結果になるとは限らない |
弁護士は法律に従い、交渉やトラブルでの代理人などを務めてもらえるため、不動産取引に慣れていない人は一度相談してみるのがよいでしょう。他の士業に比べて費用は高くなりますが、法律の専門家としてトラブルがあっても一任できるのは強みといえます。
弁護士への相談がおすすめな人の特徴
不動産売却に関するトラブル・法律相談で、弁護士への相談がおすすめな人の特徴は次の通りです。・法律に関するトラブルに巻き込まれた人
・法的手続きや交渉が必要な人
・売却に関して複雑な権利関係が絡む人
・売買契約のリスクを低くしたい人
・トラブルでの精神的・時間的な負担を減らしたい人
法律は一般人には難解な内容も多く、専門家の知識と見解がなければ解決できない問題もあります。不動産売却で法律や権利関係のトラブルに巻き込まれる可能性がある人は、弁護士への相談でリスクを軽減しましょう。
弁護士に相談する方法
不動産売却の相談に弁護士を談に弁護士を選ぶ際は、インターネットで「(地域名) 弁護士事務所」と検索するか、日本弁護士連合会の「全国の弁護士会の法律相談センター」で弁護士を探しましょう。注意したいのは、弁護士にも得意分野があり、実績のある弁護士事務所を選ぶ点です。事務所のホームページに過去の事例や実績があれば、その中から自分の事例と類似したものを確認し、信頼できる弁護士を探すことが大切です。
相続や同族・関連会社間取引の相談は【不動産鑑定士】
不動産鑑定士は土地の適正価格を算出する専門家であり、土地の価値を正確に判断したいときに相談することになります。不動産鑑定士にはどのような相談・依頼ができるのか、相談のメリット・デメリットなどを紹介します。
不動産鑑定士に相談・依頼できる内容
不動産鑑定士の役割は、土地の正しい価格を算出し、その価値を不動産鑑定評価書として残すことです。不動産鑑定評価書は公的な書類として、相続や同族・関連会社間取引、財産分与などさまざまな場面で活用されます。特に相続や財産分与のような正確な分割が必要な場面では、不動産鑑定評価書に基づいて協議を行うと、交渉がスムーズに進みます。
不動産鑑定士に相談するメリット・デメリット
相続や同族・関連会社間取引の相談で、不動産鑑定士に依頼するメリット・デメリットは次の通りです。メリット | ・不動産が適正な評価を受けられる ・紛争の予防や解決につながる ・専門家による信頼性の高い評価が得られる ・法律・税制面での信頼性が高い |
デメリット | ・不動産鑑定士に支払う報酬が発生する ・評価が出るまでに時間がかかる ・評価額が予想と異なる場合がある ・判明した評価額と税務署や取引相手の評価が異なる場合がある |
不動産鑑定士に相続や同族・関連会社間取引の相談をすれば、客観的で信頼性の高い取引を行うことができます。ただし、不動産鑑定士による評価と第三者からの評価が食い違う可能性もあるため、その点には留意しておく必要があります。
不動産鑑定士への相談がおすすめな人の特徴
相続や同族・関連会社間取引の相談に、不動産鑑定士を頼るのがおすすめな人の特徴は次の通りです。・相続財産に不動産が含まれている人
・同族会社間での不動産取引を予定している人
・税務署への申告に備えたい人
・不動産をめぐるトラブルを解決したい人
・不動産の市場価値を明確にしたい人
不動産鑑定士による調査結果が明らかになれば、土地の価値が判明するだけでなく、相続人間での不動産の分割でも揉めることが少なくなります。
複数の不動産を相続するケースや価値の高い不動産を相続または遺贈されるケースでは、不動産鑑定士に相談するのがおすすめです。
不動産鑑定士に相談する方法
不動産鑑定士に相談する場合は、インターネットで「(地域名) 不動産鑑定士事務所」と検索するか、日本不動産鑑定士協会連合会のホームページから会員検索を行うことで地域の不動産鑑定士を探せます。相談は無料のケースもあれば、30分毎に費用が発生するケースもあるため、各事務所の金額設定を確認しましょう。
また不動産鑑定士が評価する土地の価値に応じて、費用も変動します。そのため土地の評価額が高いほど、支払う費用も高くなる点には留意する必要があります。
農地売却・転用の相談は【行政書士】
農地売却・転用を予定している場合、行政書士に相談するのがおすすめです。行政書士に相談・依頼できる内容、メリット・デメリットなどを紹介します。
行政書士に相談・依頼できる内容&
農地売却や転用は農地法に規定があり、売却は農業委員会の許可、転用には都道府県知事の許可が必要です。これらの許可を取るためには複雑な手続きがあるため、行政書士に申請書作成と手続き代行を依頼するのが一般的です。特に市街化調整区域での農地売却や転用は、農地法に加えて都市計画法の規則も関わってくるため、専門家である行政書士の力が必要になるでしょう。
行政書士に相談するメリット・デメリット
農地売却・転用の相談を行政書士に行うメリットとデメリットは次の通りです。メリット | ・転用の手続きがスムーズに進む ・許可申請に必要な書類が明確になる ・手続きをサポートしてもらえる |
デメリット | ・行政書士に支払う報酬が発生する ・事情によっては許可に時間がかかる ・法的トラブルには対応できない場合がある ・行政書士の得意分野によって対応内容に差がある |
行政書士は役所などへ提出する申請書作成が主な仕事ですが、法的トラブルへの対応は弁護士が専門となります。そのため農地売却や転用に関する相談は専門家でも、売却における家族間や隣地所有者とのトラブルには対応できない点に注意しましょう。
行政書士への相談がおすすめな人の特徴
農地売却・転用の相談を行政書士に行うのがおすすめな人の特徴は次の通りです。・初めて農地売却や転用を行う人
・市街化調整区域などの特殊な場所にある土地を売却したい人
・農業委員会や役所の対応を行う時間が足りない人
・農地法や関連法規への不安がある人
・農地売却や転用の手続きを一括して任せたい人
農地売却や転用には高度な専門知識が必要であり、初心者が自分で手続きを進めるには膨大な時間が必要です。そのため手続きの負担を減らし、ミスなく申請を終わらせるなら、行政書士に依頼するのがおすすめです。
ただし行政書士にも農地売却や転用といった事例を経験したことがない人もいるため、実績や知識が十分にある人を選びましょう。
行政書士に相談する方法
行政書士に相談するには、インターネットで「(地域名) 行政書士事務所」と検索するか、日本行政書士会連合会のホームページで「行政書士会員検索」を選択することで探せます。農地売却や転用の申請・代行経験がない行政書士もいますから、ホームページで実績を確認するか、直接問い合わせてみるのもよいでしょう。農地売却や転用は行政書士の手腕で必要な期間が変わりやすいため、実績豊富で信頼できる行政書士を見つけることが大切です。
まとめ
不動産売却にあたり、多くの方が抱く悩みやトラブルの相談窓口について相談内容別に紹介しました。不動産売却は大きなお金が動きやすく、権利関係も複雑化しやすいため、トラブルになることも少なくありません。
今回紹介した相談先を参考にしながら、自分のケースではどこに、どんな相談をすればよいか考えましょう。そして不動産会社選びで迷ったときは、一括査定サイトも利用し、数ある不動産会社の中から信頼できるパートナーを見つけることが重要です。
監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。