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いらない土地の処分・放棄や寄付の方法についてわかりやすく解説!

土地をもっているけれど放置している、処分したいけどどうしたらいいのかわからない…など、いらない土地に頭を悩ませていませんか。

この記事ではそのようないらない土地の処分方法について、パターン別に解説していきましょう。
また、土地を処分する際の注意点や、活用方法についてもご紹介します。

目次

いらない土地を放置するリスクとは?

いらない土地を放っておくと、どのような事態が起こるのか、解説していきましょう。
 

固定資産税がかかる

土地は所有しているだけで固定資産税がかかります。これは使っていない土地であっても同じです。

ただし、土地の上に建物があったり、農地であるなどの条件に該当すれば、特例や減税が受けられる場合もあります。それらが受けられたとしても、固定資産税を支払うことは負担となってしまいます。
 

管理の手間・コストがかかる

土地は、草刈や清掃、定期点検などの管理をする必要があります。管理は定期的にしなければならないため、手間がかかります。
管理は委託することもできますが、それには費用がかかるのもネックです。
 

近隣トラブル・賠償責任が起こる可能性がある

土地の管理をせずに放っておくと、近隣トラブルが発生する可能性もあります。
たとえば、生い茂る雑草で景観が悪くなった、不法投棄され、それが土壌汚染につながってしまったなどです。

また、土地が崖にあり、崖崩れが起こって損害が発生した場合には、損害賠償責任を負わなければなりません。
 

「特定空き家」になる可能性もある

いらない土地や建物を放置した場合「特定空き家」に指定される可能性があります。特定空き家とは、放置することが不適切な状態にある建物や敷地のことです。

特定空き家に指定された場合、土地の固定資産税が最大6倍になる可能性があります。また、自治体の指導や勧告を無視すれば、強制的に空き家を解体されることになりかねません。

いらない土地の具体的な処分方法とは?

いらない土地は、寄付や放棄、売却によって手放すことが可能です。それぞれの詳細を解説していきます。
 

■寄付

もう土地をもっていたくない、無償でよいので処分したい、という方におすすめの方法が「寄付」です。
土地は、寄付することができます。寄付する先は、自治体や法人、個人となります。自治体へ寄付する場合は、担当窓口で相談してみてください。
法人への寄付は、さまざまな理由で土地を探している可能性があるので、引き取ってもらえる可能性が高いです。
個人間で土地を寄付することもできますが、なかなか寄付できる人が見つからないということもあります。

以上をまとめると、いらない土地を寄付する場合は3つの方法から選ぶことになります。
 

寄付先① 自治体に寄付

市区町村が設けている条件を満たしていれば、その自治体が無償で土地を引き取ってくれます。しかし実際に使用する目的がない場合、容易に寄付を受け付けてくれません。
 

寄付先② 法人に寄付

事業や保養などの目的に適していれば、法人が寄付を受け付けてくれる可能性もあります。一般企業よりも公益法人等の方が寄付先におすすめです。
 

寄付先③ 個人に寄付

友人や知人などの個人も土地の寄付先に挙げられます。最も寄付を受け付けてくれる可能性が高い存在が、隣地の所有者です。ただし個人への寄付は、相手方に贈与税がかかることから注意が必要となります。
 

■放棄

基本的に土地の放棄はできません。ただし、土地を相続することになった場合、相続放棄をすれば、土地の所有権を放棄することは可能です。

相続放棄には、注意したい点が2つあります。
ひとつは、土地以外の財産もすべて放棄しなければならないこと。
もうひとつは、相続放棄しても土地の管理義務は継続されることです。管理義務を免れるためには、家庭裁判所に申し立てを行い、相続財産管理人を選任しなければなりません。土地を放棄する際には、これらのことに注意してください。
 

■譲渡

譲渡も、いらない土地を処分する際のおもな方法です。
土地を譲渡する場合、不動産会社に売却を依頼する方法や、自治体やNPO法人などが運営する「空き家バンク」に登録する方法があります。

空き家バンクのサイトに登録された物件は、基本的に移住希望者しか閲覧することができないため、本当にその土地を求めている人の目にとまりやすくなる点がメリットです。 通常の不動産売却と空き家バンクの登録を同時におこなうことをおすすめします。
 

■売却

いらない土地は、売却することも考えてみましょう。
一度売却を検討したけど売れなかった…という人は、売り出し価格や売り方、不動産会社の見直しをすると売却できるかもしれません。

自治体への土地放棄手続き「寄附採納申請」とは?

不要になった土地を処分する場合、自治体を相手に土地放棄手続きをおこなう「寄附採納申請」という方法があります。
寄付採納とは、法定外公共物の代替施設(財産)を自治体に与える旨の意思を伝え、自治体がこの寄付を受けることによって成立する契約のことです。

法定外公共物とは、道路法や河川法などの適用を受けない国の財産(土地)を指します。 寄附採納の条件は自治体ごとに異なりますが、概ね「寄付する財産に所有権以外の権利が設定されていない」「寄付する財産の分筆登記が完了している」などです。
一般的な寄附採納の流れは、最初に自治体の各関係課と事前協議をおこない、必要に応じて工事施工願申請・承認を得ます。

続いて工事の実施、完成・検査後に分筆登記をしてもらい、寄付申込書・用途廃止申請書を提出。寄付物件に問題がなければ、自治体の有財産売払い申請書や有財産譲与申請書を提出してください。最後に登記簿を提出したら完了です。
 

寄附採納申請で用意すべきもの・必要書類

実際に寄附採納申請をおこなうためには、申請時にいくつかの書類が必要となります。
おもな必要書類は、法定外公共物として土地を自治体に寄付する際に提出する「寄付申請書」をはじめ、

・登記事項証明書
・登記承認書
・印鑑証明書
・地積測量図
・案内図
・公図
・印鑑証明書 などです。

また、該当する法定外公共物が代替施設の設置や地域開発などによって、用途廃止及び処分することになった場合「定外公共物の用途廃止申請書」「譲与申請書」「売払申請書」などの提出が求められます。

寄附採納の申請時に必要とされる書類は、各自治体が定める基準などで異なるため、寄付物件がある市区町村で必ず事前確認をおこなうようにしてください。

国に土地を返す「相続土地国庫帰属制度」とは?

2023年から施行された「相続土地国庫帰属制度(相続土地国庫帰属法)」とは、相続した土地を国に引き渡せるシステムです。
管理や売却が困難な宅地・山林・農地などの土地を相続や遺贈によって取得した場合、この制度を利用すれば、土地の所有権を国(国庫)へ返す(帰属)ことができます。

ただし制度を利用するためには「国庫帰属が認められる相続土地であること」など、法務省が定める一定の要件を満たさなければなりません。
また、申請時に審査手数料や国庫帰属の認定時に負担金がかかります。さらに申請から引き渡しまでに、手間や時間を要する点にも注意が必要です。

実際に制度を利用する際は、まず法務局へ相続した土地の国庫帰属申請をおこないます。法務局の書面審査や実地調査を受け、申請が承認された場合、負担金額の通知を受けた日から30日以内に所定の負担金を納付し、そのタイミングを持って該当する土地の所有権が国庫に帰属するという流れです。
 

相続土地国庫帰属制度で用意すべきもの・必要書類

相続土地国庫帰属制度を利用するとき、申請時にいくつかの書類が必要です。
おもな必要書類は、

・承認申請書
・承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
・承認申請に係る土地及び当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
・承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
・印鑑証明書
・固定資産税評価額証明書(任意)
・申請土地に辿り着くことが難しい場合は現地案内図(任意)
・承認申請土地の境界等に関する資料(所持している場合) などです。

また、申請時に必要な審査手数料は、土地一筆当たり14,000円(収入印紙で納付)です。
相続土地国庫帰属制度に必要な書類は、法務所のサイトで詳しく確認できます。

いらない土地を処分する際の注意点

いらない土地を処分する際には、次に挙げることに注意が必要です。
 

注意点① 土地の境界を確認する

土地の資産価値を算出するには、土地の総面積が必要となります。それには、境界を明確にしておくことが重要です。土地の境界を調べるには、自治体の窓口に確認します。
もし、境界が不明であったり、あいまいな場合には、土地測量士に依頼して境界を明確にしておきましょう。
 

注意点② 寄付する際には所有権移転登記費用・税金がかかる

寄付する際には、所有権移転登記をしなければなりません。所有権移転登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。登録免許税と司法書士に支払う報酬が、合計10〜30万円程度必要となります。

また、寄付した側に所得税が課される場合もあります。税金は、寄付先がどこかによって取り扱いが変わります。
寄付先が個人の場合や自治体の場合は非課税ですが、法人で一般企業の場合には、みなし譲渡所得として課税される可能性があります。
 

注意点③ 売却すると諸費用・税金がかかる

土地を売却すると、以下のような諸費用、税金がかかることを覚えておいてください。

・譲渡所得税
・登録免許税
・印紙税
・仲介手数料

なお、譲渡所得税は売却金額によって変わります。以下の計算式で算出できるので、シミュレーションしておくとよいでしょう。

譲渡所得税=売却金額-(取得費+売却費用)-特別控除
 

注意点④ 農地の売却は農家のみ

農地は、法律上、農家にしか売ることができません。転用も認められていますが、さまざまな条件をクリアしなければならないので注意してください。
 

注意点⑤ 相続放棄には期限がある

相続放棄には期限があります。
民法では、相続を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立をしなければなりません。期限を過ぎた場合には、原則として相続をしなくてはいけなくなるので注意が必要です。

いらない土地の活用方法はある?

不要な土地でも活用することによって、利益を生み出せるかもしれません。
どのような活用方法があるのかご紹介します。
 

賃貸経営

土地活用のひとつが、賃貸経営です。需要があるような場所に土地があるのなら、賃貸の戸建てやアパートなどを経営するとよいでしょう。建物を建てる初期費用が必要にはなりますが、安定した収入が得られるのがメリットです。

また、建物を建てず、そのまま土地を貸すのも一つの手です。その際は、資材置き場や事業用の土地として貸す方法があります。家の建て替えよりも初期費用も安く抑えられ、地代収入も得ることができます。
 

太陽光発電

田舎にある需要の少ない立地でも活かせるのが、太陽光発電システムです。
初期費用やランニングコスト、コスト回収までに数年かかるデメリットはありますが、長期的に安定した収入を得られる可能性があります。
 

駐車場・コインパーキング経営

初期投資費用が比較的少なく済むのが、コインパーキングや月極駐車場などの駐車場経営です。ランニングコストも低く、狭い土地でもできるので、コスパのいい土地活用法といえます。
 

トランクルーム経営

いらない土地の活用方法として、トランクルーム経営も注目を集めています。
トランクルーム経営とは、不要の土地に大型の倉庫やボックス単位のコンテナを設置し、貸し出すレンタルスペースのサービスです。

トランクルーム経営には複数の経営方式があり、それぞれ初期費用が異なります。アパート経営と比較した場合、初期費用の安さや手間もかからない点が魅力です。
しかし「税制優遇が受けられず、固定資産税の負担が重くなる」「建築確認が通らない可能性がある」などを考慮し、経営をおこなう前には、十分な注意や確認が必要となります。

いらない土地を活用する際の注意点

土地活用では、次のようなことに注意してください。
 

注意点① 複数のプランを比較・検討

土地活用をするなら複数のプランを出し、それぞれをシミュレーションしながら比較・検討することが大切です。
以下のようなことをチェックしましょう。

・土地の広さはどのくらいか
・土地がどんな場所にあるのか(人や車の往来があるかなど)
・初期費用はいくらくらいかかるか
・ランニングコストはどのくらいかかりそうか
・利益を得られるようになるまでに、どのくらいの期間がかかるか
 

注意点② 賃貸経営は立地やニーズを考えて

アパートや戸建てなどの賃貸経営するために建物を建てるときには、立地やニーズを踏まえて建てるようにしましょう。なんの考えもなしに建ててしまうと、借り手がつかないということもあります。

また、空室対策、住民トラブル、管理などの問題も発生する可能性があります。対処できるように準備しておくことも大切です。
 

注意点③ 土地の規制はないかを確認

都市計画法という法律で国土は、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引都市計画区域」「準都市計画区域」「都市計画区域外」に分かれています。
所有する土地がどの区域にあるかによって、利用規制が異なります。場合によっては、建物を建てるのが難しい区域もあるため、確認するようにしましょう。

いらない土地の放置はNG

いらない土地は、放置しておくと不法投棄や住民トラブルなどに発展する可能性があります。放っておかず、寄付や放棄などの処分することを考えましょう。
また、土地を活用できないか検討してみるのもおすすめです。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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