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土地や建物を譲渡する時のポイント!税金の計算方法・特別控除は?

不動産の譲渡(売買)をおこなう前には、あらかじめ税金がいくらかかるのかを把握しておく必要があります。何も知らずに譲渡してしまい、あとから高額な税金の請求が届いては大変です。 とはいえ、税金の計算は非常に難解です。譲渡する不動産にいくら税金がかかるのか、そもそも課税対象なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産の譲渡にかかる税金の特例や税額計算についてやさしく解説していきます。売却の予定がある方には参考になる内容ですので、ぜひチェックしてください。

目次

土地譲渡でかかる税金とは?

税金の計算をおこなう前に、そもそも土地の譲渡でどんな税金がかかるのか知っていなければいけません。土地の譲渡で発生する税金は「印紙税」と「譲渡所得税」の二種類です。それぞれどんな税金なのか確認していきましょう。
 

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産の譲渡(売買)によって得た利益に課税される税金です。不動産の所有期間や用途に応じて、所得税と住民税の両方に課されます。税率は合計14.21%から39.63%です。不動産の譲渡の所得は、給与などとは別で計算されます。

譲渡所得税は、どんな場合も一律で課税されるわけではなく、売買の事情や不動産の用途によって、税率の変動や特例による控除を受けられる場合があります。そのため、自分に当てはまる控除や特例がないか確認が必要です。
譲渡所得税の計算や特例について、詳細は後述します。
 

印紙税

印紙税も、不動産の譲渡でかかる税金の一つです。印紙税は、譲渡の契約書に対して課される税金であり、印紙を購入し、契約書に貼り付けることで納付します。
印紙税の税額は、契約書に記載されている金額(取引する金額の大きさ)によって変動します。具体的な税額は以下のとおりです。
 
契約書の記載金額 印紙税の金額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
50万円以下 200円
100万円以下 500円
500万円以下 1,000円
1,000万円以下 5,000円
5,000万円以下 10,000円
1億円以下 30,000円
5億円以下 60,000円
10億円以下 160,000円
50億円以下 320,000円
50億円超 480,000円
金額の記載なし 200円

 

譲渡所得税の計算式とは?

不動産の譲渡をおこなう際に、特に注意が必要なのが譲渡所得税です。譲渡所得税の計算はどのようにおこなえばよいのでしょうか。
 

税額の計算式

譲渡所得税の算出では「課税譲渡所得金額」に対し、譲渡の状況に応じた適切な税率をかけて計算します。たとえば、課税譲渡所得金額が500万円の不動産に対し、20.315%の税率が課される場合、税額は以下のとおりです。
500万円×20.315%=101万5750円
 

計算の時考慮すべき所得

譲渡所得税の計算において、課税の対象となるのは取引金額ではなく課税譲渡所得金額です。この金額はいったい何かというと、譲渡の価格から不動産の取得費や譲渡にかかった費用、控除額を引いて残った金額のことです。具体的には、以下のような項目が取得費や譲渡費用に含まれます。

 
不動産の取得費 ・土地や建物の購入代金
・建築にかかった費用
・不動産業者に支払った購入手数料
・設備の改良費用
など
譲渡費用 ・不動産業者に支払った仲介手数料
・売主が負担した印紙税
・売却のために賃借人に支払った立退料
など
特別控除 あらかじめ定められた税金の控除額。
不動産の用途など、譲渡の事情に応じて適用できる


課税譲渡所得金額の計算を計算式に表すと、以下のようになります。
 
課税譲渡所得金額=譲渡価格-(取得費+譲渡費用+特別控除)

所有期間による課税方法の違い

譲渡所得税の金額は譲渡の事情によって異なると説明しましたが、その中でも税率に影響してくるのが「対象の不動産の所有期間」です。具体的には、「5年以下」「5年超」「10年超(居住用のみ)」の三つの基準で税率が変化します。この中でも、所有期間が5年以下の不動産の譲渡所得を「短期譲渡所得」5年超のものを「長期譲渡所得」と呼んでいます。 基本的には、長く所有していた方が税率は低くなります。
 

税率表

所有期間と不動産の用途に応じた税率(所得税と住民税の合計)は以下のとおりです。
 
所有期間 5年以下 5年超 10年超
居住用物件 39.63% 20.315% 課税譲渡所得6000万円以下の部分:14.21%
課税譲渡所得6000万円超の部分:20.315%
非居住用物件 39.63% 20.315% 20.315%

特例について

先ほど譲渡所得税の金額と税率について紹介しましたが、実は譲渡で利益が出れば必ずしも先ほどの税率で税を徴収されるわけではありません。ここで関係してくるのが、譲渡所得税に設けられている、いくつかの特例です。詳細を見てみましょう。

譲渡する物件が居住用の場合、譲渡所得にかかる税率の優遇措置を受けることができます。10年以上の期間所有していた居住用物件であれば、非居住用のものと比較して税率が大幅に低くなるのです。

非居住用の物件であれば、本来税率は20.315%ですが、10年超所有の軽減税率が適用されると、譲渡所得6000万円以下の物件なら税率は14.21%で収まります。
なお、軽減税率の対象である「居住用財産」は、必ずしも現在居住中のマイホームのみとは限りません。具体的には、居住用財産の条件を満たすのは以下のような物件です。

・国内にある居住用の家屋と敷地
・住まなくなってから3年目の12月31日までに譲渡される不動産
・取り壊しから1年以内に譲渡の契約をし、かつ住まなくなってから3年目の12月31日までに譲渡される不動産
・災害により滅失した不動産で、災害から3年目の12月31日までに譲渡される不動産

なお、各種特例を適用する場合、所有期間の条件も合わせて満たす必要もあるため注意が必要です。
 

譲渡損失が発生した場合の特例

不動産の譲渡に関する特例は、損失が出た場合に適用できるものもあります。
譲渡で損失が出た場合、譲渡の損益はマイナスになるため、譲渡所得税は課税されません。さらに、損失分を売却した年以降の所得と相殺し、所得税・住民税を安くすることができます。なお、売却した年の所得だけでは相殺しきれない場合、翌年以降に繰り越しが可能です。最長4年間、税金の軽減措置を受けることができます。
譲渡損失の繰越控除は、住宅の買い替えをおこなうかどうかで二種類が存在します。おおまかな条件は以下のとおりです。
 
  条件
マイホームを買い替える場合 ・売却不動産の所有期間が5年超
・敷地面積が500m2以内の部分まで
・合計所得金額が3000万円以下
・所定の要件を満たした新居であること
買い替えない場合 ・上記所得と所有期間の要件を満たしている
・返済期間10年以上の住宅ローン残高があり売却価格で相殺しきれないこと

その他にも控除の上限額など細かい規定があるため、損失の繰り越しをおこなう場合は税理士に相談することをおすすめします。
 

特別控除について

不動産の譲渡所得税には、税金の軽減措置として、俗に言う「3,000万円の特別控除」が用意されています。特別控除の内容と注意点を見てみましょう。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除は、おもにマイホームの売却時の利用が対象となっています。課税対象となる譲渡所得から3000万円引くことができるため、譲渡所得税を大幅に軽減することが可能です。また、控除を適用した結果譲渡所得が0円、またはマイナスになる場合は課税されません。
3,000万円特別控除は、マイホームの売却時だけでなく、相続空き家やマイホームを取り壊した土地の売却にも利用できる場合があります。その場合、条件は以下のとおりです。

 
相続空き家の売却 ・被相続人が相続開始の直前まで居住していた家であること
・1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること
・マンションなど区分所有建築物以外の家であること
・相続開始直前に被相続人以外が居住していなかったこと
・相続から譲渡の間に誰も住んでおらず貸付されていなかったこと
・譲渡価格が1億円以下
・現行の耐震基準を満たしていること
マイホームを取り壊した土地の売却 ・取り壊しから1年以内に譲渡の契約をし、かつ住まなくなってから3年目の12月31日までに譲渡されること
・災害により滅失した不動産で、災害から3年目の12月31日までに譲渡されること
 
どちらの場合も、売却前に賃貸に出してしまうと対象外となりますので注意してください。

譲渡所得税の対象かどうか譲渡前に確認しておく

譲渡所得税の請求が届いてから慌てないよう、譲渡前に所得税の対象になるのか、いくらかかるかを確認しておきましょう。また、損失が出た際も、税金の優遇措置を受けられるためあわせて調べておくことをおすすめします。
 
不動産の売却は金額が大きい分、譲渡所得税も多額になりがちです。節税制度をチェックし、損をしてしまわないようあらかじめ準備をしておきましょう。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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