アパートを売却するための基礎知識
まずはアパートの売却にあたり必要となる基礎知識から確認していきましょう。
不動産の価値が下がる前に売却
不動産には売り時があります。それはアパートとて例外ではありません。近年では売却に悩むあまり売り時を逃し、悔しい思いをする人も多いようです。不動産は価値が高いうちに売却するのが鉄則。悩むあまり時期を逃してしまい価値が下がってから売却するという最悪の結果だけは避けたいところです。
売却に適したタイミングを見極める
アパートの価値は経年により減少していくことが基本ですが、社会情勢の変化や周囲の住環境の変化により増加することもあります。この相場の読み方が、損をする人と得をする人との境目です。アパートの相場を調査しておく
アパートの売却を成功させるには相場の調査も重要です。周辺地域の相場を充分に把握しておかないと相場より安く売却してしまい損をしてしまうことがあります。更地にしたほうがよい場合も
土地が数百坪もあるほど広大であったり、アパートの築年数が30年を超えて老朽化しているような場合は無理に売却するより更地にしてしまったほうがよい場合もあります。 そういった場合は売却にこだわらず、土地を別の方法で活用したり新しくアパートを立て直すという手法についても検討するようにしてください。立地や広さによってはそちらのほうが利益を生み出す可能性もあるからです。
アパートの売却に必要な費用と節税方法
続いてアパートの売却に必要な費用と節税方法について紹介します。
抵当権抹消費用
アパートを購入したり建てたとき、金融機関から借入をしていると担保としてアパートに抵当権を設定されることが通常です。ローンを支払い終わっても抵当権は自動では消えないため抹消手続きをすることが必要になります。抵当権抹消登記は司法書士に依頼すると1万円から1万5000円程かかりますが、自身で行うと4000円程度で抹消することができます。
測量費用
不動産を売却するには土地の境界明示をした測量図の登記が必要です。測量については土地家屋調査士に依頼することになります。一般的な相場は35万円から45万円程になります。印紙税
アパートの売却時に作成する不動産売買の契約書は課税文書に該当します。そのため、契約書に記載された金額に応じて収入印紙を貼り、消印する形で印紙税を納付する必要があります。仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼する場合、仲介手数料が発生します。仲介手数料の金額は不動産の売却価格によって異なります。譲渡所得税
アパートの売却により利益が発生していると、その利益に対して譲渡所得税が課税されます。アパートの売却による譲渡所得税は次の計算式で算出することができます。上記のうち売却価格とは売買契約書に記載された金額を、譲渡費用は仲介手数料や抹消登記費用など譲渡のために要した費用を指します。また、取得費は不動産の購入費用などになります。なお、取得費が不明な場合は譲渡価格の5%相当額を取得費とすることもできます。
譲渡所得税の税率はアパートの所有期間が5年未満であると、短期所有として税率が39.63%になります。5年を超えていると長期所有として税率が20.315%にまで軽減されます。
消費税
アパートの売却には10%の消費税が発生します。土地部分には発生せず、あくまでも建物部分のみが対象となります。アパートを売却する手順
アパートの売却に必要な知識全般が身についたところで、実際に売却するための手順を具体的に確認していきましょう。
周辺アパートの市場価格を調査
おおよその相場を掴むため、周辺のアパートの市場価格を調査します。不動産会社に査定を依頼
相場価格をもとに、不動産会社へ実際の価格について査定を依頼します。不動産会社を決定
査定に納得がいけば、不動産会社を決定して媒介契約を結びます。売却価格を決定して市場に出す
土地家屋調査士に作成してもらった測量図をもとに売却価格を決定して市場に出します。売買契約締結
買主が見つかったら売買契約を締結します。代金の受け取りと引き渡し
売買代金を受け取り、アパートを引き渡して売買手続きは完了です。アパートを売却する際の注意点
アパートを売却する際は次のような点に注意してください。
入居者の取り扱い
アパートの売却後、建て替えやリフォームよってアパートが取り壊されたりするなど入居者が住めなくなってしまうような場合、交渉をスムーズに進めるために立ち退き料が必要となることもあります。立ち退き料の額としては賃料の6~10カ月分程度または新居への入居費用全額のどちらかを採用されることが多いようです。なお、売買後も入居者が引き続き住み続けることができる場合、立ち退き料は不要となります。
アパートローンが残っている場合
アパートの売却時に金融機関から借りたローンが残っている場合、売却が一気に難しくなります。ローンが残っていると抵当権を抹消することができず、売却後に抵当権が実行されることで買主がアパートの所有権を失う恐れがあるからです。抵当権が付いたままのアパートを売ろうと思ったら、売却前に自己資金で返済したり、売却によって得た資金ですぐに返済するなどの条件付きでなければ売却できないのが現実です。 なお、信用記録に滞納事故として記載されてしまいますが、金融機関と相談して任意売却にかけることでも売却が可能になります。
高値で売却するためのポイント
アパートを高値で売却したいのであれば次のような点を重視するとよいでしょう。
仲介会社を比較
不動産会社によって営業力は異なります。当然、営業能力の高い不動産会社を仲介会社に選んだほうがアパートも高く、早く売却できます。周辺の不動産価格を把握
周辺の不動産相場が分からなければ適正な価格でアパートを売却することができません。相場より安く売って損をしてしまわないように、必ず周辺の相場を把握するようにしてください。
入居率を高くしておく
入居率の高いアパートは売却後も高い収益が期待できるとして売却価格が高くなる傾向にあります。その際、家賃の滞納者がいると入居率が高くてもマイナス評価になります。家賃の滞納者が存在する場合は早めに滞納の問題を解決しておくことをおすすめします。
アパートの売却は事前の準備が重要
アパートの売却をスムーズに行うには事前の下調べが重要です。いざアパートを売却したいと考えたとき、準備不足で慌ててしまい希望する価格よりも低い価格で売却することになってしまうのは絶対に避けたい事態です。
アパートの売却について考え始めたときは、早めに下調べを行い、準備を進めるようにしましょう。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。