土地が売れない際はどう対処すればいいでしょうか。売り出し価格の見直しなど、5つの対処法を紹介しましょう。
また、売れない土地を維持する場合のデメリットと、寄付・買取など土地を早く手放す方法もご紹介します。
土地が売れない理由とは?
土地を売って処分しようと思っても、思うように借り手が見つからないことがあるでしょう。なぜ自分の土地がなかなか売れないのでしょうか?土地が売れないときに考えられる理由として、次の5つが考えられます。
理由1:土地の情報が足りない
依頼した不動産会社が土地を売り出すとき、土地の面積や場所はもちろん、形状や整地されているかなど、さまざまな情報が必要となります。しかしその情報が不十分だと、買い手はその土地を購入するべきか判断がつきません。理由2:土地が広すぎたり狭すぎたりする
住宅用の土地の場合、戸建てであれば一般的な広さは40~80坪程度。それより極端に広い土地や、逆に狭すぎる土地は使いにくいため、売れにくくなります。理由3:周辺環境が良くない
最寄り駅までの距離や公共交通機関までのアクセスが悪いと、土地は売れにくくなります。また周辺にスーパーやショッピング施設がない場所も敬遠されやすくなります。子どもがいるファミリー層には、周辺に学校がない環境は好まれないでしょう。理由4:地盤が悪い
地震や水害などの自然災害が多い日本では、地盤に注目する方が少なくありません。地盤が弱い土地では、地盤を強化するための追加費用がかかってしまいますから、地盤が弱い地域や液状化が起こりやすい地域の土地は、なかなか売れにくくなります。理由5:売れ方が間違っている
そもそも売り出し価格が相場と見合っているのか、ターゲットが的確に設定され、そのターゲットに向けて売り出されているか、確認する必要があるでしょう。不動産会社のマーケティングがきちんとできておらず、ターゲットのニーズに合わせて売り出されていなければ、売り手が見つかりにくくなるでしょう。
土地が売れない際の対処方法
自分の土地に買い手が見つからない理由が見えてきたら、次は対処法について考えてみましょう。
対処方法1:土地の情報を詳しく調べる
まずは買い手側に十分な土地の情報を提供することが大切です。土地計画区域などの用途地域や、その土地に面した道路の幅など、できるだけ多くの情報を収集して不動産会社に提供しましょう。また地質調査(地盤調査)や、これまでにその土地がどのような使われ方をしてきたわかる地歴調査を行うことも有効でしょう。対処方法2:売り出し価格を見直す
自分の土地がなかなか売れない場合、売り出し価格を見直すことも必要です。周辺相場の価格と比較して、その土地に見合った価格設定がされているか、再度確認しましょう。またファミリー層か独身世帯か?地元住民か地方移住希望者が対象か?など、どんな層をターゲットにするべきかも、あわせて再度考えてみるといいでしょう。対処方法3:売りやすい大きさ・形に変える
土地が広すぎる場合、使いやすい大きさに分割して売ることを考えてみるといいでしょう。また使いにくい形の土地の場合も、使いやすいように分割して売り出すことで、買い手が見つかる可能性が上がってくるかもしれません。対処方法4:整地してきれいにする
建物があった場合、それを解体してゴミや石などを片付け、さらに重機で土地を踏み固めて平らにならすことを「整地」といます。建物が何もない更地の状態よりも、土地を踏み固めて整地した土地の方が売れやすいと言われています。さらに敷地内を清掃して、ゴミや雑草のないきれいな状態に整えておくと、印象が良くなります。対処方法5:不動産会社を変える
不動産会社による売り出しの広告が不十分と感じたり、そもそも不動産会社にやる気がないと思ったりしたら、不動産会社を変えることもひとつの方法です。不動産会社との相性もありますから、信頼して売却を任せられる不動産会社に依頼しましょう。売れない土地を維持するデメリット
自分の土地がなかなか売れない場合、売却をあきらめてそのまま放置しようと考える方がいるかもしれません。でも、土地を何にも使わずそのままにしていると、デメリットやリスクが生じるばかりです。
デメリット1:税金がかかる
土地を所有していると、固定資産税と都市計画税が毎年かかります。毎年1月1日時点でその土地を所有している人に対して、納税通知書が郵送されます。もしその土地を使っていなかったとしても、この税金の支払いは毎年生じるため、無駄な支払いと言うしかありません。デメリット2:管理費用がかかる
所有する土地を長期間放置したままだと、雑草が生えたりゴミが捨てられたりして、近隣住民へ迷惑をかけてしまうことになりかねません。最悪の場合は近隣住民とのトラブルになることも考えられるため、管理会社に管理を依頼することが必要となります。そのための管理費用は決して無視できるものではないでしょう。デメリット3:土地の価値が下がる可能性がある
建物は築年数が増えるほど価値が下がるものですが、土地の場合はそれほど劣化しません。しかし周辺で過疎化が進む場合など、周辺の環境次第では土地の価値が下がる可能性があります。毎年税金や管理費の支払いがある上、資産価値まで落ちる可能性があるのなら、早めに手放した方が良いとわかるでしょう。デメリット4:不審者が集まるリスクがある
誰にも使われていない土地には、不審者が侵入しやすく、ひどい場合は犯罪に利用されるリスクもあります。ゴミが不法投棄されたり、放火されたりすることも考えられます。土地を早く手放す方法
どうしても売れない土地の場合、そのまま所有して税金などの維持費を支払い続けるより、寄付や不動産会社の買取などで早く手放すことを考えてみましょう。
土地を寄付する
不要な土地を、自治内などに寄付することができます。ただ各自治体ごとに、寄付の受付の条件を設けているため、使用目的などに合致しなければ寄付は受け付けてもらえません。そのほかの寄付先としては、隣人などの個人と法人があります。個人への寄付の場合は贈与税がかかることを覚えておきましょう。不動産会社に買い取りをしてもらう
不動産会社が土地を買い取り、その土地に分譲住宅やアパートなどを建てて売り出すことがあります。そのような不動産会社に土地を買い取ってもらうことも、方法として考えられるでしょう。この場合、売却価格が市場価格の7~8割程度と低くなるデメリットがありますが、誰も売り手が見つからないよりは良いと考えることもできます。まずは普通に売却を試みたいという方は、売却活動を行ってみて買い手が見つからない場合に不動産会社に買い取ってもらえる「買取保証」を選ぶといいでしょう。
土地の相続を放棄する
もし相続で土地を所有することになり、まだ相続していない場合は、「相続放棄」という手段でその土地の所有権を放棄できます。ただ相続放棄する場合は、土地以外の財産をすべて放棄しなければならず、相続放棄しても土地の管理義務は残るため注意が必要です。使わない土地は放置せず早く手放そう
土地を所有していても使う予定がないのなら、ただ毎年税金を払い続けるだけの負の財産となってしまいます。
なかなか売れない土地であっても、自治体への寄付、不動産会社の買取など手放す手段はありますから、できるだけ早く土地を売却・手放すことを検討してはいかがでしょうか。
監修者
大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。