
この記事では、土地の税金の特徴、土地を所有しているときにかかる税金、土地の固定資産税の計算方法、固定資産税を下げる方法、そして固定資産税が上がる場合などをご紹介します。
税金は難しい問題ですが、まずはしっかり理解することが大切です。
土地の購入にかかる税金は? 計算方法と軽減措置
土地を購入する際には、印紙税や登録免許税、不動産取得税といった税金がかかります。
それぞれ不動産の価格などによって金額が変わるため、計算方法と利用できる軽減措置を紹介します。
土地の購入にかかる税金① 印紙税(国税)
印紙税とは不動産取引の際、契約書に貼付する形で納める税金です。不動産譲渡契約書、不動産売買契約書、土地建物売買契約書など売買に限らず、不動産取引の契約書や説明書などが対象となります。
不動産取引の印紙税額は、以下の表の通りです。
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上 10万円以下のもの |
200円 |
10万円を超えて 50万円以下のもの |
400円 |
50万円を超えて 100万円以下のもの |
1,000円 |
100万円を超えて 500万円以下のもの |
2,000円 |
500万円を超えて 1,000万円以下のもの |
1万円 |
1,000万円を超えて 5,000万円以下のもの |
2万円 |
5,000万円を超えて 1億円以下のもの |
6万円 |
1億円を超えて 5億円以下のもの |
10万円 |
5億円を超えて 10億円以下のもの |
20万円 |
10億円を超えて50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
軽減措置を利用できるのは「不動産譲渡契約書」と「建設工事請負契約書」の2種類です。
ただし軽減措置は作成された期間に制限があるため、不動産取引をする際は契約書を作成した時期にも注目しましょう。
□参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
土地の購入にかかる税金② 登録免許税(国税)
登録免許税とは、不動産・船舶・航空機・会社などを登記する際に課される税金です。登録免許税は不動産の価額や登記する権利の数、不動産の個数によって課税額が変わります。
税額の計算方法は次の通りです。
【登録免許税額=課税標準×税率】
課税標準とは不動産の価額や個数、債権額などを意味します。
税率は不動産取引の内容別に、次のように分かれています。
登記の内容 | 税率 |
(土地)売買 | 1,000分の20(2%) |
(土地)相続・法人合併・共有物分割 | 1,000分の4(0.4%) |
(土地)その他(贈与・交換・競売等) | 1,000分の20(2%) |
(建物)所有権保存 | 1,000分の4(0.4%) |
(建物)売買・競売による所有権移転 | 1,000分の20(2%) |
(建物)相続・法人合併による所有権移転 | 1,000分の4(0.4%) |
(建物)その他(贈与・交換・収用等) | 1,000分の20(2%) |
登録免許税の軽減措置は土地・建物それぞれに分かれており、期限や適用条件も細かく規定されています。
軽減税率を適用することで、税率は1/4~3/4に軽減されます。
□参考:国税庁 「No.7191 登録免許税の税額表」
土地の購入にかかる税金③ 不動産取得税(地方税)
不動産取得税とは、住宅や土地といった不動産を取得した場合に課される税金です。不動産取得時に一度支払えば、それ以降課されることはありません。
計算方法は次の通りです
【不動産取得税=土地・建物の固定資産税評価額×4%(1,000分の4)】
不動産取得税では「新築住宅」「中古住宅」「土地」の3つの区分で、それぞれ軽減措置と不動産取得税の計算方法が変わります。
・新築住宅
【(固定資産税評価額-1,200万円)×3%】
・中古住宅
【(固定資産税評価額-築年次ごとに定められた控除額)×3%】
・土地
【(固定資産税評価額-2分の1)×3%)-軽減額】
不動産取得税の軽減措置はある?
不動産取得税は、土地や住宅などの不動産を取得した際に課税される税金です。固定資産税と異なり、取得時に一度だけ支払います。不動産取得税を算出する場合「土地や建物の固定資産税評価額×税率」の計算式が用いられ、その税率は4%(土地・建物ともに)です。
この不動産取得税にも、租税特別措置法によって軽減措置が設けられました。2024年3月31日までに取得した土地が対象となり、固定資産税評価額を2分の1に減額したうえに、本則4%の税率を3%に引き下げる軽減措置が取られています。
土地の不動産取得税軽減措置が適用される要件は、新築住宅の場合と中古住宅の場合で違うことから、取得した不動産が対象か否かを事前に確認しましょう。
土地を所有しているときにかかる税金とは?
土地にかかる税金には、「固定資産税」と「都市計画税」があります。
それぞれの詳細については以下で説明しますが、固定資産税と都市計画税には大きな特徴があります。土地の立地と地目(利用用途)によって大きく変わることです。
土地の立地は唯一のもので、ひとつとして同じものは存在しません。そしてそれぞれの土地には「地目」と呼ばれる利用用途が決められています。
地目は登記簿で確認できます。地目の種類には、宅地、田、畑、山林、原野などの22種類と、22種類のいずれにも当てはらまない雑種地の合計23種類があります。
地目は土地の税金、すなわち土地の評価に関わってきます。宅地と山林では、宅地の方が評価が高くなりますが、土地の税金は登記上の地目ではなく現状で決まります。土地の地目を山林で登記しておいて、宅地として使用すれば税金が少なくなるということはありません。
固定資産税、都市計画税を徴収する各市町村は、現況調査を行って土地の用途を調査しています。この調査で土地が実際に何を目的に使われているかを確認し、それに基づいて課税しています。
こちらでは、固定資産税と都市計画税の詳細と違いをご紹介します。
固定資産税
固定資産税は、土地や家屋などの固定遺産を持っている人に課せられる税金で、前述のとおり土地の「現況調査」を行う市町村(東京23区は都)が額を決定して課税します。固定資産税の額を決定するときの基準になるのが「評価額」です。評価額は3年に1度見直されます。土地が更地なら評価額がそのまま固定資産税を計算するベースとなりますが、例えば、住宅が建っている場合は固定資産税が下がります。
□関連リンク:
「固定資産税の計算方法を徹底解説!平均額や減税方法も」
□関連リンク:
「固定資産税の減税は可能?軽減制度や申請方法を徹底解説」
都市計画税
さらに土地や家屋が市街化区域内にある場合は、都市計画税が課せられます。都市計画税は、都市整備などの費用に充てるための税金です。固定資産税と同じく市町村(東京23区は都)が課税します。【シチュエーション別】土地にかかる税金
実際によくあるシチュエーションを想定し、土地にかかる税金について見ていきましょう。
①土地を相続した場合にかかる税金
土地を相続した場合、かかる税金は「相続税」と「登録免許税」の2つです。まず、相続税は遺産の総額が基礎控除額を超えた場合、超えた部分に対して税金が課される仕組みです。
【基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)】
上記の計算で基礎控除額を超えた遺産については、次の計算式で相続税が課されます。
【相続税=課税対象額(基礎控除額を超えた部分)×税率-控除額】
税率と控除額については、以下の表を参考にしましょう。
課税対象額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円以上 | 55% | 7,200万円 |
次に登録免許税については、固定資産税評価額に基づいて次の計算式で求めます。
【登録免許税=固定資産税評価額×0.4%(1,000分の4)】
相続税での登録免許税は、売買よりも低く設定されています。
□関連リンク:
「土地の相続に必要な手続きとは?かかる税金や名義変更について解説」
②土地を売却した場合にかかる税金
土地を売却した場合、税金として「印紙税」「譲渡所得税」「復興特別所得税」「住民税」が課されます。印紙税は前述した通り、不動産取引において契約書を作成した際に必要な印紙を購入し、貼付する形で納税します。
譲渡所得税は土地、建物、株式などを譲渡して利益を得た際に課される税金です
【課税譲渡所得金額=土地の売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額】
上記の計算式で出た課税譲渡所得金額に対し、土地の所有期間に応じて短期譲渡所得、または長期譲渡所得の税率をかけます。
・短期譲渡所得(土地所有期間5年以下)の所得税率:30%
・長期譲渡所得(土地所有期間5年超)の所得税率:15%
加えて、住民税と復興特別所得税として、短期譲渡所得の税率に9.63%、長期譲渡所得の税率に5.315%を加算して計算を行います。
つまり、合算すると短期譲渡の場合は39.63%、長期譲渡の場合は20.315%が税率となります。
□関連リンク:
「土地売却にかかる税金を払うタイミングは?計算方法や控除などをわかりやすく解説!」
まとめ
土地は購入するときも、売却するときもどちらにも税金が発生します。
これから土地の購入を検討している方は、どのような税金が課され、いくらかかるのかを計算することが上手な節税につながります。
また、土地を売却する方も、適用できる軽減措置をしっかりと調べて利益がどのくらいになるか計算することが大切です。
監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。